ここ数ヶ月、私立中入試や公立高校入試の合格最低点について分析してきましたが、今回はそれをふまえて、トップ校に進学しようとする場合における傾向の違いについてまとめようと思います。
合格最低点シリーズは以下のリンクからどうぞ。
◯私立中入試
・東海中 →こちら
・南山女子 →こちら
・滝中 →こちら
・名古屋中 →こちら
・愛知淑徳 →こちら
・南山男子 →こちら
◯公立高校入試
・尾張1群(旭丘・菊里等)
→こちら
・尾張2群(明和・向陽等)
→こちら
ちなみに、名古屋子育て情報局では中学受験情報を多めに書いていますが、これは
「中学受験という選択肢があることを知ってほしいから」
です。
なぜ中学受験という選択肢を知ってほしいかというと、名古屋においては私立中進学率は1割程度でメジャーな選択肢ではない一方で、公立高校入試の適性が低い子も存在しているから。
今回の記事でも触れますが、基本的に公立高校入試で上位校に合格するためには
「実技も含めた全教科でオールマイティにこなす必要がある」
という傾向が強いです。
以前から度々言っていますが、この傾向に合っていない子どもが一定数存在しているのは間違いなく、これが中学受験であれば上位校に合格できる可能性を秘めた子は沢山存在していると思います。
もちろん、経済的なハードルはありますが、もう少し”中学受験”という選択肢を選ぶ子が増えても良いのでは、という想いから、中学受験の情報を多めに書いています。
そのため、私個人としては
「私立中受験・公立高校受験で優劣はない」
「その子に合った選択肢を考えてあげるべき」
と考えている、というのは誤解のないように最初に書いておきます。
試験の違い
まず、前提となる入学試験の形式の違いは以下のようになっています。
合否判定
ここが最も異なるところで、公立高校入試には内申点が合否に影響します。
上位校の場合、近年内申点比率が下がってきていますが、それでも約3割が内申点となっており、軽視できる比率ではありません。
“内申点”は実技科目、つまり音楽・美術・保健/体育・家庭/技術の4科目も対象なので、勉強だけじゃあなくて芸術系の能力やフィジカルも求められます。
しかも、以下の通り上位校合格者の内申点は高止まりしているため、「芸術系・体育系が苦手でも他の科目で挽回すれば…」という作戦はかなり厳しい、というのが正直なところ。
中学受験の場合は、一般入試の場合は入学試験の点数のみで合否判定が行われる学校が大半。
一部の学校で調査書(通知表)の提出が必要が場合もありますが、合否に影響することはほぼ無いと考えて良いでしょう。
入試問題
入試問題は公立高校受験の場合は、全員が同じ問題の試験を受けます。
つまり、偏差値60超の学校を志望する生徒も、偏差値40前後の学校を志望する生徒も同じ問題を解く、ということ。
そのため、極端に難しい問題が出ることが少なく、基礎問題をベースとした問題の比率が高いです。
中学受験の場合は、学校それぞれが独自の入試問題を作成します。
もちろん、学校によって出題レベルや傾向が異なり、トップ校では非常に難しい応用問題が出題され、そこで差が出るような試験であることも多いです。
問題の傾向の違いについては後のパートで詳細分析します。
科目数
これは、単純に英語があるか否かの違いで、英語が得意な生徒にとっては公立高校入試の方が有利とも言えます。
配点
公立高校入試の場合は全科目22点満点で科目間の配点の違いはありません。
一方で、中学受験の場合は科目間に配点の違いがある学校があります。
中部地区の場合は国語・算数の配点が高い学校も多く、この2科目が得意な生徒は有利な場合があります。
併願
これも公立高校入試独特のルールで、併願先が制限されています。
言葉で説明するのはややこしいのですが、名古屋の尾張地区の場合、まず群を選び、その群のAグループから1校、Bグループから1校選ぶ形です。
例えば旭丘高校を受験する場合を例にすると、明和高校は群が違うので受験できませんし、熱田高校も群が同じですがグループが同じなので受験できません。
つまり、旭丘高校・明和高校・向陽高校といったトップ校の併願が不可能という事です。
一方で、中学受験の場合は併願先の制限は少なく、試験日が同じでなければ併願に制限はありません。
そのため、東海中学と滝中学の併願、南山女子と滝中学の併願といったトップ校の併願が可能です。
そもそも公立高校を2校受験(出願)できるルールは全国的に見てかなり特殊ではあるのですが…
(公立高校の併願というルールはない県が多い)
合格最低点データから見る傾向の違い
前置きがかなり長くなってしまいましたが、ここからが本題です。
以下は、私立中・公立高校のトップ校3校における合格最低点/合格者平均点/合格者最高点の得点比率の比較ですが、大きな違いがあることが分かります。
※データは2023年のもの
※滝中は合格最低点のみ公表
※南山女子は合格最低点と合格者平均点のみ公表
重要なのは■で表されている合格最低点で、私立中と公立高校で大きく異なります。
公立高校の場合、上位校志望の生徒とそうでない生徒が同じ試験を受ける関係で、合格最低得点率が約85%は必要です。
つまり、どちらかと言うと基礎的な内容が多く、上位校を志望する生徒にとっては「ミスの少なさ」が問われる入試です。
このタイプの入試では不得意科目があるのは致命的です。
例えば、旭丘高校の場合は5科目で110点満点中14点しか落とせないわけで、数学・理科が苦手で他が満点だったとしても、約7割は得点する必要があります。
一方で、例えば東海中の入試の場合は、合格最低点が低めなので、不得意科目があっても充分合格を目指すことができます。
冒頭で伝えた通り、この2つの形式に優劣は無いと考えています。
考えるべきは、自分(自分の子ども)がどちらの形式に向いているか。
つまり、
- 基礎的な問題をミス無く解くのが得意
→公立高校入試に適している - 不得意科目がある一方で、得意科目は難問も解ける
→私立中入試に適している
という傾向はあるので、どちらが自分に向いているか、というのを考えて選べば良いという事です。
もちろん(合格最低点しかデータが無いですが)滝中学のように、私立中では合格最低点が高めで、傾向が公立高校入試に近い学校もあるので、中学受験の方が選択肢が多いというのは言えると思います。
また、グラフを見ると公立高校入試は合格者最低点と合格者平均点、合格者最高点の幅が狭く、得点差が出にくい入試でもある事が分かります。
これは、内申点が芳しくなかった場合の挽回が非常に難しい事を示しており、このあたりも頭に入れておく必要がありますね。
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以上、今回は
愛知県の中学受験と高校受験の違い ~入学試験の傾向~
をご紹介しました。
今回は入学試験にフォーカスした考察でしたが、実際に私立中受験・公立高校受験のどちらを選択するかは
- 経済的なハードル
- 内申点が取りやすい学区か
- 本人の性格(先生に好かれるか)
あたりも重要な要素になってくるので、今回の内容だけで判断するのは難しいと思います。
また、私立中受験をするか考えるタイミングは3年生の2月(4年生になる直前)なわけで、その時点でどちらに向いているか判断するのが難しいことも中学受験を選択するハードルの一つ。
「4年生の1年間だけやってみて判断するか…」と思っても1年間で50万円程度はかかるので、悩ましいところです。
個人的には、
小3前後で公文式の算数を嫌がらずに独りで進められれば中学受験に向いている可能性がある
と考えていますが、これも個人差があるので確実じゃあないですしね…
皆様の参考になれば幸いです。











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