今回は、
「プロの先生に聞いてみた!」
の第一弾”西塾 車道校 教室長の川邊先生”編のPart2です。
プロの先生に聞いてみた!第一弾の一覧は以下の通りです。
【Part1】

【Part3】

【Part4】

前回は、中部地区における中学受験のメリット、適性と塾選びについてのインタビューをまとめましたが、今回は
- 中学受験をスタートする時期と早期教育
- 高校受験・公立中高一貫校と中学受験
- 全国統一小学生テストとトップ校の合格率
についてまとめます。
インタビュー
中学受験をスタートする時期と早期教育
前回、どんな子が中学受験に向いているか、どんな塾があるのか、というお話をしましたが、
「実際に中学受験をするならいつから始めるの?早期教育は?」
といった内容を聞いてみました。
中学受験塾に通い始める時期

実際に”中学受験をする!”となった場合、4年生スタート、つまり3年生終わりの2月に中学受験の勉強が本格的にスタートするのが一般的なイメージですよね。
しかし、実情として、5年生になってから
「この子は高校受験に向かないかもしれないから中学受験をさせたい」
となるケースもあると思います。
その場合、どのタイミングだとどこまで(どれぐらいの偏差値の学校まで対応可能か)、という目安はあるのでしょうか?

実際、4-6年の3年間塾に通ってもすべての学校に落ちてしまう、という子はいます。
ただ、それだと答えにならないので、仮に、西塾なら、という前提でお話しますね。

これは大手塾でも4年生スタートが基本、という状況は概ね同じだと思います。
もちろん、トップレベル校の東海、南女、滝を狙う場合も、少なくとも4年生(3年生終わりの2月)からスタートするのが望ましいです。
早期教育について

また、オススメはありますか?

中学受験塾の大手のほとんどは低学年から受講可能なクラスを開講しているので、能力開発としての意味はもちろん、授業に慣れる、という意味で通う意味はあると思います。
浜学園の低学年コースは親の同席が必要ですが評判が良いですね。
もちろん、西塾もアップルコースとして低学年向けコースを開講しています。
このクラスで実施するフラッシュカードはオススメですよ!


公文で四則演算+分数が終わった状態で中学受験の勉強に入れるのは非常に有利なのは間違いないです。
ただ、1点だけ注意が必要で、公文の算数は突き詰めていくと、途中式を書かなくなってしまう癖がつく可能性があります。中学受験において途中式の省略はマイナスに作用してしまうので、そこは注意してほしいですね。

公文の途中式省略は盲点でした…確かに公文は計算のスピードアップを求められるのでそういう傾向はありますね。
あと、小学生1年生2年生ぐらいだと、西塾さんでやられている、全国統一小学生テストを受けられる方も多いかと思いますが、あれはどう捉えれば良いですか?

偏差値55以上:学校の勉強だけでなくそれ以上の事もできる
偏差値50前後:学校の勉強がしっかりできている
と考えれば良いです。
そもそも、低学年の場合はテストをしっかり受けられる、という時点ですごいですからね。

※偏差値55以上の場合は賞状がもらえる

基本的には偏差値45以上取れていれば、そこまで心配することはないと思いますよ。
逆に、小1,小2の時点で偏差値60を超えるような子も、頭打ちしてしまってその後伸びない、というパターンもありますので…
※全国統一小学生テストに関しては、記事最下部に補足があります
5年生入塾の厳しさについて

追いつくのが大変なイメージがありますが、そのあたりの対応はどのようになるのでしょうか。

基本的に、塾には一定のカリキュラムがあるので、復習するタイミングがあまりないんですよ。
西塾の個別指導だったとしても、基本カリキュラムはあるので事情は同じです。一方で、夏期講習は基本的に復習で組まれていますので、ある程度追いつく事ができます。
さらに個別指導であれば1ヶ月間みっちりお時間をいただけるので、その子の習熟状況に合わせた復習計画を立てられますよ。
また、特に社会は5年生の夏休み後から歴史に入っていくところが多いので、夏期講習後の入塾だとそれまでやっていた地理を復習するタイミングがなくなってしまうので厳しくなりますね。

具体的には愛知、名電、春日丘、椙山、名女あたりのイメージです。

しかし、先程申し上げた通り、それまでに学習した内容もカバーする必要があるので「通常のカリキュラムは無視します」と先に伝えてからの対応となりますね。




遅くスタートする場合は、個別指導タイプの塾で、あらゆるパターンで追いつくノウハウがあるところが強いと思います。
転塾について


順調に勉強が進んでいる場合は基本的にはしないほうが良いです。強いて言うなら、4年→5年に切り替わるタイミングでの転塾は無理が少ないですが、6年になるタイミングの転塾はあまりオススメできません。


【中学受験をスタートする時期と早期教育まとめ】
- 偏差値50前後の学校なら4年生から通えば誰でも充分狙う事が可能
- トップレベル校志望の場合は4年生以前にも何らかの早期教育を受けていたほうが有利(必須ではない)
- 公文は四則演算+分数が終わった状態で中学受験の勉強に入れるのは非常に有利だが、途中式の省略に注意が必要
- 低学年で受ける全国統一小学生テストはそこまで重く捉える必要はなく、偏差値45以上取れていれば、そこまで心配することはない
- 5年生以降に入塾する場合、”5年生夏期講習の前か”どうかが重要
- 5年生夏期講習を過ぎると塾の通常カリキュラムの流れで追いつくのは非常に困難
- 個別指導タイプの塾は、遅めに中学受験を始めるケースや、大手塾についていけない場合の転塾に向いている
公立高校受験・公立中高一貫校に関して
私立中学受験をするかどうかを検討する際に重要な要素となる、高校受験や2022年に話題になった公立中高一貫校対応塾のお話を軽く聞いてみました。
高校受験について


・テスト
・提出物
・授業態度/意欲
の3つが重要な要素で、それに基づいて5段階評価がつくイメージです。あとは、「頑張り方」というのも評価があるようです。






これは、先生としても「絶対に公立高校全落ちは避けなければいけない」という内情があるので、仕方のないことではありますが…
公立中高一貫校について


西塾としても、中高一貫公立校の対応は基本的にはしない予定です。


これまでの私立中受験で無かった内容(※)が含まれているので、どの私立中受験塾では基本的には対応は難しいと思います。
また、名進研が対応クラスをやる、と表明したので、そこに流れるのではないでしょうか。
※適性検査は思考力・判断力・表現力・問題解決力を総合的に測る内容で、作文等の私立中受験にはない内容が含まれる可能性が高い
【公立高校受験・公立中高一貫校に関するまとめ】
- 高校受験の評定点は「テスト」「提出物」「授業態度/意欲」が影響するが「頑張り方」という視点も入っている
- 受験校決定には中3時の担任の先生の先生の裁量が大きい
- 持ち内申点より上位の学校を受験しようとしても、受けさせてもらえないか、第二志望の学校の偏差値をかなり下げる事が条件になる
- 公立中高一貫校の募集が開始される事による私立中受験への影響はほとんどない
- 適性検査はこれまでの私立中受験とは異なる領域が含まれるので一般的な私立中受験塾では対応が難しい
補足
全国統一小学生テストの偏差値について
補足と言いつつ、今回は先生から全国統一小学生テストに関するかなり貴重な情データをいただいたいのでご紹介します。
そもそも全国統一小学生テストとは?
全国統一小学生テストとは四谷大塚が行っている年長生~小学6年生までが無料で受けられるテストで、毎年6月と11月に実施されています。
※四谷大塚は東京に本社がある中学受験塾。テキストの予習シリーズが有名。
名古屋地区では西塾の教室で受ける事が可能で、事前の対策授業や、事後の解説授業もあったりします。(これも無料)
色々と入塾の勧誘されそうな雰囲気を感じますが、実はそこまでグイグイ来ることもなく、テストを受けて結果を受け取るだけ、という事も普通に可能です。
さて、そんな全国統一小学生テストですが、受けたテスト結果に偏差値が載っているのですが、イマイチこの偏差値の意味するところを掴みきれない方も多いのではないでしょうか。
というのも、全国統一小学生テストは普段、各塾で見ている偏差値(日能研なら日能研R4偏差値)とは母数が異なるので単純比較はできないですし、特に各偏差値帯と受験校の合格率が明示されているわけではないからです。
今回、川邊先生に、
「各テストとトップ校(東海・南女・滝)の合格率の関係」
というデータをいただきました。
簡単に言えば、
各全国統一小学生テストの偏差値から東海・南女・滝のどこかに合格する合格率を確認できる
というデータになります。
このデータは、西塾を運営するNEホールディングス社長ブログで一部紹介されている程度で、詳細なデータが示されるのはかなり珍しいと思います。
(こんなデータをいただいた上に、掲載許可までいただいて良かったのだろうか…)
3年生時の偏差値とトップ校合格率
3年生時の結果は以下の通りとなります。
引用元:西塾提供資料より作成
解釈の仕方としては、
「3年生6月テストでは偏差値60-62以上あった子は、東海・南山女子・滝のどこかには合格している」
というイメージです。
普段目にする合格率80%以上となる偏差値は
- 3年生6月:偏差値60-62前後
- 3年生11月:偏差値62-64前後
といった感じです。
まだまだ3年生時の結果はトップ校合格率との関係性が薄いとは言え、ある程度偏差値が高くなると合格率が高くなる、という関係性は見えますね。
4年生時の偏差値とトップ校合格率
4年生時の結果は以下の通りとなります。
※4年生11月結果の偏差値66以上はサンプルがかなり少なかったので参考値として破線で表記引用元:西塾提供資料より作成
上記の通り、普段目にする合格率80%以上となる偏差値は
- 4年生6月:偏差値58-60前後
- 4年生11月:偏差値60-62前後
といった感じです。
3年生時よりも若干偏差値帯が下がっていますが、3年生、4年生は少しサンプルが少なく、ブレやすいのでその影響もあると思います。
5年生時の偏差値とトップ校合格率
5年生時の結果は以下の通りとなります。
引用元:西塾提供資料より作成
上記の通り、普段目にする合格率80%以上となる偏差値は
- 5年生6月:偏差値56-58前後
- 5年生11月:偏差値62-64前後
といった感じです。
本格的に中学受験対策をしている子が受験し始める時期のテストで、サンプル数も多いです。
やはり偏差値60以上は欲しい、という感じでしょうか。
6年生時の偏差値とトップ校合格率
6年生時の結果は以下の通りとなります。
引用元:西塾提供資料より作成
上記の通り、普段目にする合格率80%以上となる偏差値は
- 6年生6月:偏差値62-64前後
- 6年生11月:偏差値68-70前後
といった感じです。
受験直前期となる6年生の結果は、やはり偏差値帯と合格率がキレイにリンクしており、偏差値が上がれば上がるほど合格率が高くなっています。
===
以上、今回は
[プロの先生に聞いてみた!]西塾車道校 川邊先生インタビュー part2 中学受験をスタートする時期と早期教育
についてご紹介しました。
次回は、
志望校選びと最近の入試内容の変化
といった内容をご紹介する予定です。
皆様の参考になれば幸いです。
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