今回は大手中学受験塾の合格実績推移について、ようやく2026年の最新データが揃いましたのでご紹介します。
最近受験ネタばかりで申し訳ないですが、そういう時期、ということでご容赦ください…
前提条件の注意点
合格者数が多い塾=優秀な塾ではない
通常、子育て情報局では合格数の単純比較は控えています。
というのも、各塾は規模が全く異なるため、合格者数のみを出してしまうと誤解を生む危険性があるからです。
しかし、生徒数が非公表である以上、合格数しか出しようがない、というのが現状です。
そのため今回は、以下の3点を充分ご留意いただけますと幸いです。
- 各塾の生徒数(受験者数)は大きく異なるため合格者数の数そのものの比較にあまり意味はない
- 上記の関係から、合格者数が多い塾=優秀な塾ではない
- 合格数を塾選びの参考にするなら見るべきは推移の中長期傾向で、合格者数が増加傾向か否かである
また、
「各中学受験塾の合格者数の数字は1年間限定で公開され、次年度のテストが終わると消されてしまう」
という状況に対して後年のためにデータを残す、という意味もあります。
柔軟な対応の有無と受験生から選ばれているかが大事
上記ポイントに「合格者数が増加傾向にあるか否かが大事」と書いていますが、これは、
- 刻々と変化する受験環境に対して柔軟な対応が出来ているか
- 受験生から選ばれているか(シェアを伸ばしている)
という事に繋がるためです。
というのも、各塾のカリキュラムが各校の合格に役立っているか・求められているものの変化に対応出来ているかどうかは、合格者数が伸びているか否か、というところが判断基準の1つになりますし、合格者数を伸ばすための母数(=受験生数)は受験生から選ばれないと伸びていきません。
以前、塾に支払う金額のイメージをまとめましたが、塾を選ぶ側も安い金額ではないことは分かっているので、それなりに調べた結果ちゃんと理由があって選ばれている、と考えることが出来ますので、合格者数が増加傾向にあるか否かが大事だと考えています。
今回対象とする塾と学校
今回対象とする塾と学校は以下の通りです。
なお、推移を見るのは
2013年~2026年
としました。
対象とする塾
名古屋には中学受験塾が沢山ありますが、今回は大手とされる
- 日能研
- 名進研
- 馬渕教室
- 浜学園
の4つを対象としました。
各塾の教室数の推移
既述の通り、各塾の生徒数(受験者数)は不明ですが、教室数の推移は過去のデータから分かっているので、参考としてご紹介します。
なお、県外受験者もそれなりに居るので東海地区にある教室を対象に集計しています。
引用元:各塾における以下のページの教室数より作成
日能研/名進研/馬渕教室/浜学園
※上記校舎数は各年の教室数であり、新規開校のタイミングによっては合格数の母数とリンクしない可能性があるので注意
現時点(2025年2月)の教室数は
- 名進研 :37教室
- 日能研 :19教室
- 浜学園 :10教室
- 馬渕教室:6教室
といった感じ。
2025年から日能研が1教室(多治見)、浜学園が1教室(星ヶ丘)増えていますね。
対象とする学校
今回は男子校編ということで、
- 東海中
- 南山男子
- 名古屋中
の3校を対象としました。
本当は名古屋中はスカラー合格数も比較したいところですが、塾によってスカラー合格数の公表が無かったりするので、単純な合格数のみにしています。
主要私立中学の合格実績推移
東海中
引用元:各塾における以下のページの合格者数より作成
日能研/名進研/馬渕教室/浜学園
※馬渕教室は2018年10月に名古屋進出
男子における最難関である東海中の合格実績は上記の通りとなりました。
東海中に対応したクラスは各塾が最も力を入れるところでもあるので、ハイレベル分野における各塾の実力が出るのではないかと思います。
ザックリとまとめると、
- 日能研は超好調で昨年比2割超の増加で過去最高の実績
- 浜学園も過去最高実績で昨年比1割弱の増加
- 馬渕教室は昨年と同数で横ばい
- 名進研がかなり不調で、昨年から1割以上も合格数を減らした
- 昨年、名進研は日能研にほぼ追いついていたが、今年はかなり差を広げられた
といった感じです。
今年は何と言っても日能研の超好調が最大のトピック。
昨年は日能研と名進研がほぼ同数まで近づいており、今年はついに名進研が王座奪還かと思いきや、差がかなり広がったという結果に。
日能研は2018年に名進研にほぼ追いついていましたが、それ以降で最も差が開いた年になりました。
名進研は下落傾向へのテコ入れのため20年からSクラスを設立、24年入試の3期生からSAPIXメソッドを100%受講した生徒が入試に挑んでおり、復調の兆しは見えていましたが、今年は大きく数字を落としてしまいました、
名進研はSAPIXのテキスト”コアマスター”だけでなく、名進研独自の問題集も併用するなど、ローカライズの積み上げを行ってきましたが、ここで大ブレーキといったところ。
浜学園は昨年は数字を落としてしまったものの今年はしっかりと数字を伸ばして過去最高実績をマーク。
教室数も順調に増やしており、今後も数字が伸びそうな予感がします。
馬渕教室は昨年と同様の実績で変化がありません。
教室数も増えておらず、一時期の勢いは無くなってしまっているのが残念ですね。
余談ですが、現時点の4塾の東海中合格数の合計は433人。
東海中の定員は360人なので、この4塾だけで定員以上の合格数を出している事になります。
名古屋中
名古屋中の結果は以下の通りとなりました。
引用元:各塾における以下のページの合格者数より作成
日能研/名進研/馬渕教室/浜学園
※馬渕教室は2018年10月に名古屋進出
こちらはやたらと合格者数が多いように感じますが、これは名古屋中は受験日程が比較的早いうえ日程が被っている学校がなく、東海地区で中学受験をする男子の多くが名古屋中を受験するという事情があります。
ザックリとポイントをまとめると、
- 日能研は前年比25%増で絶好調、過去最高実績をマーク
- 名進研は減少率2割超の絶不調。全盛期の半分以下の合格実績となってしまった
- 浜学園も絶対数は少ないものの前年比15%超の減少で少し苦しい
- 馬渕教室は微減であまり変化がない
といった感じです。
名古屋中は偏差値が一定以上の生徒のほとんどが受験する学校なので、この結果からは、
「日能研の層の厚さが明確になった」
と言えるのではないでしょうか。
また、毎回書いていますが、名古屋中の場合は、
環境が変化する中で合格者数を大きく伸ばしているか否か
という事が重要です。
以前ご紹介した通り、名古屋中は近年偏差値が上昇しており、難易度も上昇しているという変化が起こっています。
ここ10年で合格者数を大きく伸ばしている塾は、様々な変化に対応できる塾であると言えるのではないでしょうか。
そういう意味だと、日能研はそのあたりの対応力の強さが出ているのかもしれません。
浜学園も今年は数字を落としてしまっていますが、長期目線では順調に数字を伸ばしていると言って良いと思います。
名進研に関しては、近年は2019年~22年の大幅減に歯止めがかかっていたように見えたのですが、今年はその頃よりも激しい減少率なのが気になるところ。
基本的に合格実績は3年周期で影響する(新4年生が合格実績を見て塾を選ぶ)ので、今年の結果は2029年に影響を与えそうな予感がします。
ちなみに、スカラー合格(いわゆる特待生合格)数は浜学園と馬渕教室で数字が出ていますが、現時点では26年実績は浜学園の数字が未だ出ていません。
馬渕教室は15人で-3人だったので、数字としては減っていますね。(浜学園のものが公開されたら追記します)
※名古屋中のスカラー合格は東海中に合格するよりも難しいと言われており、”東海中に余裕を持って合格できる”という上位層の変動がこの数字から分かる
南山男子
引用元:各塾における以下のページの合格者数より作成
日能研/名進研/馬渕教室/浜学園
※馬渕教室は2018年10月に名古屋進出
東海や名古屋に比べると合格者数の絶対数が少なく見えますが、これは大手塾以外が多いわけではなく、南山男子は東海に比べると定員が少なく、さらに余剰合格者が少ない(定員以上の合格者をあまり出さない)事が関係しています。
また、試験日程的に東海中と両方受験できないことも影響していると思います。
東海・名古屋と傾向は同じですがザックリとポイントをまとめると、
- 日能研は大幅増で5割以上も合格数が増えた
- 名進研・浜学園・馬渕教室が合格数を減らしており、特に馬渕教室と浜学園の減少率が高い
- 日能研が名進研を抜いた
といった感じです。
他の男子校と同様、ここでも日能研が一人勝ちしていますね。
増加率で言えば他2校よりも格段に大きく、5割超の増加率で驚きました。
南山男子の場合、近年の傾向としては
名古屋中に合格したら東海中チャレンジ、不合格なら南山男子
という流れが定着しつつあり、失礼ながら
南山男子の数字が伸びているのは必ずしも嬉しいとは言い切れない
と見ることもできます。
しかし、今年の日能研に関しては、既述の通り名古屋中も東海中も数字をしっかり伸ばしていることから、
「あらゆる層の受験生を自塾に引き入れることができている」
と考えることが可能なので、手放しで喜んで良い状況でしょう。
名進研は今年は約15%減。
元々南山男子に関しては名進研が強く、東海・名古屋の実績が日能研に抜かれても南山男子はトップを維持し、昨年は日能研を大きく引き離していました。
個人的には、ここから”地元密着塾の層の厚さ”を感じていましたが、まさか1年で抜かれるとは思っていなかったのでかなり驚きましたね。。。
絶対数は大奥無いものの、浜学園・馬渕教室も2割超の減少で苦しいのは名進研と同じ。
南山男子は立ち位置が微妙で浜学園・馬渕教室のメインターゲットではないかもしれませんが、塾運営にはある程度の層の厚さは必要だと思うので、少し心配な流れです。
(参考)塾の傾向について
毎年恒例になりつつありますが、
「難関校(名古屋)とトップ校(東海)の合格数比較」
を今年も行ってみたいと思います。
確認するのは、「東海中の合格者」÷「名古屋中の合格者」の数字で、
「名古屋中に合格した生徒の何割が東海中に合格できているか?」
というところから、各塾の生徒層や考え方を見る試みです。
計算結果は以下の通りとなりました。
結果をまとめると、
- 近年は日能研・名進研・浜学園は概ね60%弱に収束している
- 馬渕教室だけが突出して高い
- かつては浜学園も馬渕教室と同様にかなり高い数字だった
という感じ。
東海中の日能研R3-R4偏差値(合格可能性50%-80%)のレンジが”58-61″という事を考えると、「偏差値53の名古屋中に合格した日能研・名進研・浜学園の生徒」の60%弱が東海中に合格した、というのはあまり違和感がありません。
逆に、この数字が100%を超えている、つまり「名古屋中に合格した生徒よりも東海中に合格した生徒の方が多い」という現象については少し違和感を感じます。
この現象について考えられるのは
- 名古屋中を受験せずに東海中を受験した
- 名古屋中は不合格だったが東海中は合格だった
という2パターンで、このどちらかが多数発生した際に出てくる事になると思います。
後者のパターンは相当レアなので、前者のパターンが多かったと思われます。
前者のパターンに関しては、「生徒のレベルが相当高い」「他地区からの遠征受験」のどちらかだったと考えるのが自然でしょう。
馬渕教室には灘中合格を主眼に置いた”NKクラス”という類のクラスが設置されており、名古屋地区では千種校で開設されています。
このクラスの生徒は、名古屋在住ではあるものの、本気で灘合格を目指す子が大半で、「東海は滑り止め」に近い扱いだそう。
ちょっとハイレベル過ぎて想像し辛いですが、こういう層の場合「東海中は受験するが、名古屋中は受験しない」ということも普通にあるそうです。
ちなみに、馬渕教室だけでなく、浜学園でも名古屋校で「日曜特訓前期〈灘コース〉」というのが設置されているように、似たような層の生徒が一定数在籍しているクラスが用意されています。
もちろん、「他地区の最難関校受験クラス」は大手4塾には必ず設置されていますが、どの塾も設置されている校舎(生徒数)はかなり限られており、校舎数(生徒数)がまだ少ない馬渕教室・浜学園はこういった最難関校を目指す生徒の割合が高い傾向にあるのだと思います。
なお、遠征受験に関しては”あまり積極的でない”というお話も聞きましたが、”関西エリアの”合格体験記に掲載されている受験生の合格校のリストを見ると、全くゼロというわけでもなさそうです。
(各地区の最難関を取りたい、という本人の意思で受けている可能性もあります)
下の画像は25年のものですが、26年も似たような傾向の受験生は変わらず存在しています。
引用元:馬渕教室関西エリア2025年合格体験記より
もちろん、他地区に拠点を持つ他塾(日能研・浜学園)でも遠征受験が存在する可能性はあります。
何が言いたいか分からなくなってきましたが、要するに
「単純な合格数比較だけで”塾の優劣や”東海地区への対応ができているか”を考えることはできない」
という事を頭に入れておいた方が良い、という事です。
個人的には、合格実績だけなく、各塾の説明会に足を運び、保護者・受験生ともに納得できる塾を選んだ方が最終的に納得できる受験になると思っています。
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以上、今回は
[2026年]大手中学受験塾の合格実績推移(男子校編)
についてご紹介しました。
今回の表題画像はGoogleのAI(Gemini)が考える
「日本人小学生に対し、熱心に算数の講義を行っている学習塾の日本人講師の様子」
です。
こちらも昨年から考えると、しっかりと日本語対応していて進化の凄まじさを感じますが、黒板に書いてある計算式は間違っていますね…w
皆様の参考になれば幸いです。









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