さて、前回は
「他の大都市と比べて名古屋の世帯年収は高いのか?」
というのをご紹介しましたが、今回は
「物価・住居費を考慮に入れたら名古屋の暮らしは豊かなのか?」
というのを見ていきたいと思います。
前回までのおさらい
前回は東名阪+福岡+札幌の世帯年収中央値をランキング形式でご紹介しました。
ランキング形式だと全体感が見えにくいので、
- 各都市の各区の世帯年収中央値
- 各都市の世帯年収の幅
を可視化してみました。
出典:「住宅・土地統計調査」令和5年版より作成/cite>
各都市全体の中央値ランキングでは可視化されていませんでしたが、実は各区の世帯年収中央値(黒い点)まで分解すると、実は名古屋でも東京(関東地区)と遜色ない世帯年収となっている区も多いです。
なお、5年前のデータで同様のグラフを作ると以下のようになり、東京の格差がかなり拡大している事が分かります。
(※ベースデータとなっている住宅・土地統計調査は全数調査ではないのである程度のブレはあると思いますが)
出典:「住宅・土地統計調査」平成30年版より作成/cite>
東京の千代田区、中央区は突出して高いですが、実は名古屋の区でも23区よりも世帯年収が高い区はそれなりに多いです。
各都市の生活費比較
それでは本題です。
これまでの分析で、各都市の”収入”部分は分かってきましたが、生活の状況は”支出”部分も比べないと真の姿は見えてきません。
ただ、一言で”支出”と言っても多岐に渡るので、今回は「基礎支出」ということで、
食費・住居費・水道光熱費
の3点の合計値を比べてみることにしました。
使用するデータ
今回は
「2019年全国家計構造調査」
を使用します。
少し古いデータとなっていますが、このデータを使用している理由は
「持ち家の帰属家賃」
という項目があり、持ち家も消費されるものと仮定した費用が算出されているからです。
※持ち家の帰属家賃についての定義・計算方法はこちらをご確認ください。
具体的に基礎支出として合算する項目としては
- 210101_食料
- 22_[持ち家(現住居)の帰属家賃]
- 210102_住居
- 210103_光熱・水道
の4つです。(念の為項目IDもそのまま載せました)
なお、統計局の定義を引用すると、以下のような記載となっています。
持ち家の帰属家賃とは,自己が所有する住宅(持ち家住宅)に居住した場合,家賃の支払は発生しないものの,通常の借家や借間と同様のサービスが生産され,消費されるものと仮定して,それを一般の市場価格で評価したものである。
引用元:総務省統計局「持ち家の帰属家賃の推計方法」より抜粋
また、各都市・各項目の支出額は収入階級毎に集計されていますが、各都市のサンプル数が少なくブレが大きいので、住宅・土地統計調査で算出された「世帯年収中央値の階級」1区分と、「その前後の年収階級」2区分の合計3区分の平均値とします。
例えば、名古屋市の世帯年収中央値は422万円なので、年収が「300~400万円」「400~500万円」「500~600万円」の3区分の平均値を利用した、という感じです。
(※概ね上位40%~60%の世帯の支出ぐらいになるイメージ)
大都市の基礎支出ランキング
結果は以下の通りとなりました。
やはり、東京・横浜が圧倒的で3位と30万円前後の差があります。
名古屋は真ん中ぐらいで、東京23区とは約50万円程度の差がある感じ。
実はよく見ると、この差はほとんどが住居費となっており、食費などは名古屋市のほうがむしろ高いぐらいですね。
ちなみに、この”全国家計構造調査”は5年おきに実施される調査となっており、今年(2024年)に再度調査が行われます。
結果が発表されるのは来年以降ですが、ここ5年で関東エリアの住居費は信じられないぐらい上昇しているので、他地区との差が更に開いている可能性が高そうです。
(参考)各都市の「自由に使えるお金」の比較
調査対象や、調査時期が違っていたりするので単純に引き算をするのは正直に言って微妙ではあるのですが、これまでご紹介してきた「世帯年収中央値」から「基礎支出」を引き、
「各都市の”自由に使えるお金”」
というのを参考までに比べてみました。
引用元:2019年全国家計構造調査および「住宅・土地統計調査」令和5年版より作成
上位は関東勢が占め、名古屋市は4位という結果でした。
さいたまがかなり強いですが、意外にも横浜・23区と名古屋市の違いは10万円未満という結果です。
ちょっと負け惜しみ的な事を言うと、上位の関東勢は通勤時間が長く、特に子育て世帯は名古屋市よりも1日あたり30分以上長い(=年間100時間ぐらいの差がある)という事を考えると名古屋は恵まれている方だと思います。
また、前回ご紹介した通り、ベースとなっている収入は”世帯”収入なので、23区は共働き比率が1割以上も高くてこの結果だという事は考慮に入れて考えたほうが良いと思います。
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以上、今回は
[23年データ]生活費を考慮に入れた各都市の収入差比較
をご紹介しました。
皆様の参考になれば幸いです。








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