今回はミニ記事というか雑記として、
「名古屋市の公立中で2025年から4年間使う英語の教科書について」
「名古屋市の公立中で使う教科書ってどうやって決めているの?」
という2つについて軽く書きたいと思います。(まぁほぼ愚痴なんですけど)
2025年から使う英語の教科書について
当ブログでは以前”私立中高一貫校の英語教科書”についてまとめた事がありました。

私立校は使用する教科書が自由で、上記記事でまとめたような”検定外教科書”も使用することが可能ですが、
公立小・公立中では4年に1度検討会が行われ、そこで決まった検定教科書を4年間使う
というルールになっています。
(“検定教科書”というのは”文部科学大臣の検定を経た教科用図書”のことで、公立中ではこれを使う事が義務)
具体的には、英語の場合
“NEW CROWN”
とか
“NEW HORIZON”
といった教科書教科書ですね。
さて、本題の2025年から名古屋市の公立中で使用する英語教科書は
NEW HORIZON(東京書籍)
が採択されました。
簡単に言えば、(改定はあるけど)今使っている教科書と同じものを使う、という事になりました。
引用元:東京書籍ホームページより抜粋
なお、詳細は後述しますが、英語教科書の採択自体は
「令和6年度 教育委員会8月定例会」
にて実施され、議事録も読むことができます。
名古屋市の公立中で使う教科書ってどうやって決めているの?
さて、2025年から使う英語教科書は決まったわけですが、どうやって決めているのか?という話に少し触れたいと思います。
決め方の流れ
公立中で使う教科書をどう決めるか、というのを簡単に書くと、以下の2種類の評価をベースに、教育委員会で採択するという感じになっています。
- 各中学校へのヒアリング&投票(学校調査会)
- 専門委員会による評価(使用教科用図書調査専門委員会)
まぁ要するに、学校と専門家の評価を参考にして、最終的な判断は教育委員会で行う、という感じですね。
教科書の変更については、4年に1度採択が行われる事になっており、小学校と中学校で変更タイミングに1年の差があります。
直近だと、
小学校:2024年から変更(議論は2023年夏に実施)
中学校:2025年から変更(議論は2024年夏に実施)
という感じです。
学校調査会と専門委員会の評価
【学校調査会の評価の仕方と結果】
簡単に言えば、13ある評価項目について、各中学校が「最も優れている教科書」1つ選んだものを集計するという形で報告されます。
2025年の評価の場合、以下のような評価項目と結果になっていました。
引用元:令和6年度 教育委員会8月定例会「(資料4)学校調査会 調査研究報告書集計結果」より抜粋
上記の通り、学校評価は「東書(=東京書籍)、つまりが”NEW HORIZON”が圧倒的高評価でした。
ちなみに、今回採択の対象となった教科書は
- 東京書籍:NEW HORIZON
- 開隆堂 :SUNSHINE
- 三省堂 :NEW CROWN
- 教育出版:ONE WORLD
- 光村図書:Here We Go!
- 啓林館 :BLUE SKY
の6つでした。
教科書の中身について私は判断する能力が無いのでコメントし辛いのですが、ここまで差が出てしまうと、
「今使っている教科書から変えたくないという意識が働いてしまったのでは?」
と思ってしまうんですよね。
現在の版だと東京書籍は44.5%のシェアがあり最も選ばれているのですが…
もちろん改定はあるにしろ、
大筋の流れは大きく変わらない=今使っている教材の流用ができる
という部分を考えると、どうしても同じ教科書に偏ってしまうのは仕方が無いんですが…
逆に言えば、そのような状況のなかで三省堂=NEW CROWNは健闘していると言え、実際に教育委員会の採択の際にも三省堂の名前が頻繁に出ていました。
【専門委員会の評価の仕方と結果】
こちらは、学校調査会と同様の評価項目に対して専門家が「特に優れている教科書に◯を付ける」という形で報告されます。
学校へのヒアリングと異なり、こちらは1つ選択するわけではなく、優れていれば複数の出版社に◯を付けられます。
また、専門委員会には「各教科固有の追加調査事項」というものもあります。
ちょっと細かいので、詳細結果はコチラのファイルを見ていただくとして、専門委員会の評価でも東京書籍(NEW HORIZON)が13項目中8項目で”優れている”という評価を受けて、2位の開隆堂(SUNSHINE)の3項目と大きな差が出ました。
なお、以下の通り「各教科固有の追加調査事項」では東京書籍(NEW HORIZON)と三省堂(NEW CROWN)が満点で同率1位でした。
引用元:令和6年度 教育委員会8月定例会「(資料3)調査専門委員会調査研究報告書 英語」より抜粋
教育委員会での議論について
最終的には上記2点の結果を参考に、教育委員会にて使用する教科書を決めるのですが、今回の議論の流れとしては
名古屋市の中学生の英語レベルの低さを理由に英語教科書の変更意見が出る
↓
他の委員から東京書籍(NEW HORIZON)と三省堂(NEW CROWN)を評価する意見が出る
↓
最終的に小学校で使っている教科書と同じ出版社が良い(※)という意見が複数出る
↓
東京書籍(NEW HORIZON)に決まる
という感じでした。(議事録はコチラ。18ページから英語教科書の採択)
※実際に中1のNEW HORIZONはUnit0からUnit4までは小学校との接続を意識した作りになっているという意見もあった
じゃあ、昨年の小学校の英語教科書の採択はどうだったかというと、
東京書籍と開隆堂で意見が分かれたが、最終的に現場で支持されている=先生が使いやすい教材(※)という理由で東京書籍になった
という感じだったんですよね。
※具体的な資料は非公表だが、「校長調査(学校調査)で4倍ぐらい差がある(圧倒的に東京書籍が選ばれている)」という結果に言及されている
そして、この”小学校で使っている出版社と同じが良いのでは”という意見は4年前の採択時も同じ意見が出て、東京書籍に決まっています。
引用元:令和2年7月月名古屋市教育委員会臨時会議事録より抜粋
結局、今回も前回も(小学校の教科書も)
現場で支持されている(教員が使いやすい)、小学校と同じ出版社が良い
という意見で選定されている向きが強い採択だったと言えます。
じゃあ、なんでこんな愚痴っぽいことを書いているかと言うと、今回の採択で意見のあった”名古屋市の中学生の英語レベルの低さ”が結構衝撃的だったから。
次のパートで詳しくご紹介しますが、検討委員であるサガミホールディングスの鎌田敏行CEOの意見がかなり刺さりました。
引用元:「令和6年度 教育委員会8月定例会議事録」より抜粋
名古屋市の英語レベル
上のパートでご紹介した”名古屋市の中学生の英語レベルが低い”というところを改めて調査してみました。
ベースとなっているデータは文部科学省が行っている「英語教育実施状況調査」における令和5年の結果で、今回使用したのは
中3生徒におけるCEFRのA1レベル(英検3級相当)以上の資格を有している生徒割合
です。
全国の都道府県+政令指定都市が載っていますが、今回は政令指定都市+東京都で比較してみました。
結果は以下のようになりました。
引用元:令和5年「英語教育実施状況調査」より作成
結果としては、
名古屋市は英語レベルとしてはかなり下位になってしまっており、全国平均以下
という事が分かりました。
異常に取得率が高い自治体があるので追加調査したところ、”公立”高校入試では以下のような状況である事が分かりました。
(私立は学校によって違うので調査対象外)
- 埼玉県:内申点の加点
- 大阪府:一般試験得点保証(2級以上)
- 千葉県:一般試験点数加算
- 岡山県:5-10名の特別選抜あり
埼玉県は高校によって異なりますが、”一定以上の級取得で内申点に加点”としているところが多いようです。
大阪府はもっと過激で、”英検2級で80%得点保証、準1級以上で100%保証”という内容。(まぁハードルはかなり高いですが)
なお、”内申点に記載する”、”合否判定の参考にする”程度の記載がある都道府県は沢山ありますが、今回は”加点”や”特別選抜”、”得点保証”と明記されているもののみピックアップしました。
上記優遇措置がある都道府県はあるとしても、これはかなりショックで、採択時のコメントで出ていた、
「名古屋市は英語レベルが芳しくないので何か変えなければ」
という意見が、改めてかなり重いものに感じるようになりました。
このような現状、つまり”現場が結果を出せていない状況”で、”現場の使いやすい教材”を重視するのはかなり疑問に感じますね。。。
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以上、今回は
[雑記]名古屋市の公立中で2025年から4年間使う英語の教科書が決まりました
についてご紹介しました。
皆様の参考になれば幸いです。










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