今回は、
「プロの先生に聞いてみた!」
の第一弾”西塾 車道校 教室長の川邊先生”編のPart3です。
プロの先生に聞いてみた!第一弾の一覧は以下の通りです。
【Part1】

【Part2】

【Part3】

今回は
- 最近の入試傾向について
- 入試に向けた対応について
- 入試の後の対応について
についてまとめます。
インタビュー
最近の入試傾向について
最近の中学入試そのもの、つまりテスト問題について、どのような変化が起こっているか聞いてみました。
“考える力”が問われる

最近の動向として、入学試験、つまりテスト内容で変化しているところはありますか?例えば、名古屋中などは偏差値が上昇傾向ですが、それに応じて入学試験も変化していたりするのでしょうか。

特に社会が顕著ですが、「考えさせる問題」の傾向が強くなった、という事です。

単純に難易度が上昇した、というわけではないんですか?

これは、大学受験の共通テストで求められる要素が入ってきた、という感じです。
特に名古屋中は入試問題のテコ入れを頻繁に行う学校で、3年前の共通テスト導入から変化が始まっています。


滝も2年前ぐらいから変化を感じています。
教科別に言えば、今回の変化の影響を受けやすいのは社会で、データの読み取りが増加するなど、暗記だけでは解けないものが増えています。
算数の場合は、解き方を暗記するだけでは答えにたどり着けない、考える力が問われる問題が増えています。
近代史と時事


例えば、数年前に愛知淑徳で日韓ワールドカップの話題が出されました。



ちなみに、もっと今に近い話題、つまり時事問題は学校によって出る、出ない、の傾向はありますか?

時事は全般的にはどの学校でも出てきます。
男子校では、南山男子が最先端で名古屋はごく普通の問題、東海はほとんど出ない。
共学校は、滝が最先端で、愛知や名電、春日丘などはニュースの教材レベル。
女子校は各校特徴のある出題内容になっています。
金城はG20などの内容から出ることもあり、環境問題等に力を入れていますね。
南山女子は、女子高の優だけあって女性の活躍や、キリスト教学校なので、差別の問題などが取り上げられることが多いです。
淑徳や椙山はニュースの教材レベルです。
ただ、淑徳は、必ずと言っていいほど、きちんとニュースなどを見ていないと分からない事も出てますね。具体的には、世界の文化(ミネストローネ、マトリョーシカ等…)に関することやトランプ首相の人物像、小池百合子都知事をフルネームで書かせたり、歴代の首相や知事の顔写真から選べ、といった内容です。


英語については、一部の入試で既に何らかの英語能力を利用する形の試験は設定されていますが、一般的な試験として必須化される可能性は非常に低いのではないかと考えています。
これは、各私立中、特に上位校は自分の学校の英語カリキュラムに自信を持っているからです。
つまり、自分の学校のカリキュラムでゼロから英語は仕上げられるので、小学校の段階でそこまで勉強しなくても良い、入試を設定して勉強してもらう必要はないと考えている、という事です。
- 最近は愛知県でも”考えさせる問題”が増加傾向にある
- 問われる力は暗記能力ではなく、「論理的思考力」「情報処理能力」で、つまりは「読んで考える力」である
- この傾向は大学入試の共通テストに通じる内容である
- 社会は近代史が多く扱われるようになっている
- 時事問題は、東海はほとんど出ない等、学校によって扱いに差がある
- 各校は自分の英語カリキュラムに自信を持っているので、入学試験で英語が必須化される可能性は低い
入試に向けた対応について
6年生の勉強時間



関東だと「学校を休ませる」という話も聞きますが…

ちなみに、西塾の場合は、1月、2月の起きている時間は全て管理して指導するオプションも用意しています。
年明けから入試終了までの期間、モーニングコールから対策講座、昼間の学習管理まで行って約30万円程度(※)、入学試験費用を考えれば40万円程度になります。
一見、高額に思えるかもしれませんが、家庭教師をつきっきりで雇う事を考えたらお値打ちなオプションになっていますよ。
※冬期講習:6万円、入試対策(正月特訓と1,2月の受験対策までの月謝):16万、昼間学習:3,520円×20日の合計が約30万円
過去問の使い方

第一志望校の過去問は直前期に解くとして、それ以外の学校の過去問の上手な活用方法はありますか?

基礎的な問題が素直に出題されている愛知がおすすめです。
その後で、滝や淑徳の過去問にステップアップしていきます。


もちろん、滝の過去問などは最初は解けない問題も多いです。
しかし、解けなくても良いので、何度も繰り返しやる、というのが大事です。
これをしっかりやっていれば、名古屋中の問題などは簡単に感じますから。
なお、西塾のカリキュラムでは、淑徳と滝は夏休みに解き、東海南女を秋以降に解くという流れになっています。
- 6年生は(川邊先生的目安として)平日5時間、休日10時間程度の勉強が必要
- 最後の追い込み時期は小学校を休むのも一つの選択肢としてアリ
- 6年生の夏までは基礎固めが重要で、偏差値が高くない学校の過去問を活用するのがおすすめ
- 10月以降から、滝等の高偏差値校の過去問を使って基礎から一歩先に行った問題に慣れていくのが良い
入試の後の対応について
ギリギリ合格は覚悟が必要

ようやく入試も終わり、持ち偏差値よりも上の学校に合格したとして、授業についていけるか、というところを不安になるご家庭も多いと聞きます。
たとえば、男子では東海が東海地区のトップ校ですが、1学年の生徒数が多いため、灘に入れるレベルの子も居るし、ギリギリ合格の子も居て、生徒の学力差がかなり大きいように思います。
その差は入学後にどう影響するのでしょうか?

学力差のイメージとしては、1回言われただけで英単語が覚えられる子と3回言われても覚えられない子が混在している中で授業が進んでいく、と考えていただければ分かるのではないでしょうか。
当然、学校の授業は後者(3回の子)に合わせて行われるわけではないので、ギリギリ合格したような子は相応の努力は必要だと思います。


東海の話ではないのですが、愛知に入学した生徒で実例があります。
その子は6年生でとても努力をして、自分の持ち偏差値よりも上位の愛知中学に合格し、受かったからには入学したい、と希望しました。
先程お話した(Part3参照)通り、愛知は選抜クラスに入れるトップ40に入れるかが非常に重要です。
そのため、周りが自分より理解力が高く、入学後しっかり勉強することが大事だという事を念押ししたのですが、やはり続かなかったようで、だんだん授業についていけなくなってしまいました。

特に定員が多く、ゆっくり授業が進む学校でない場合は注意したほうが良さそうですね。

もう男子については、極端な事を言ってしまえば「医者になりたい」というのがハッキリしているわけではない場合は、そこまで無理して東海に入学する必要はないのではないかと考えることがあるぐらいです。

女子はどうでしょう?南山女子も似たような傾向があるのでしょうか?

どちらかというと、南山女子は付属小から進学してきた生徒たちが苦労している、という話を聞く事の方が多いですね。
入学後の塾選び

確か河合塾に私立中高一貫上位校向けのコースがあったような気がしていますが…(※東海南女エンリッチコースやONE WEXなど)



あ、もちろん、西塾車道校も中高一貫校に通う生徒向けのコースを開講しているので大歓迎です!
中学受験で通っていた生徒から過去問も集めているので定期考査対策もバッチリです!

車道経由で通学する子の場合、ほぼ確実に塾の前を通るわけですから…
入学までにしておくこと

この間に何かやっておいたほうが良い事ってありますか?



中学受験で身につけた、面積図、線分図も大事ですが、数学で使う文字式に対応できるように慣れる作業をやっておくとスムーズに中1の”数学”に入っていけます。

なんだか中学受験時代に”算数”が得意だった子ほど引っかかりそうなトラップに感じますが…

算数以外の3教科は、中学受験で勉強した内容にプラスして積み上げていく形の勉強になりますが、算数だけは中学受験の延長線上という関係性が薄いので、慣れが必要です。
中1向けの問題集等を使って、1次方程式と比例まで関数で解けるようになっておくと良いと思います。
- 自分の持ち偏差値よりも上位の学校に入学する場合は覚悟が必要
- 東海・南女合格後に優秀な子はSEAに申し込むパターンが多い
- 大手で中高一貫校対応コースをやっているところは少ない
- 入学までの間に”算数を抜く”訓練をしておくのがオススメ
→1次方程式と比例まで関数で解けるようになっておくと良い
→実際にギリギリ合格の後、苦労している生徒も多い
→最近の上位層は河合塾よりもSEAを選ぶ
→エストぐらい…?西塾車道校もやってる!
まとめ
「プロの先生に聞いてみた!」の第一弾は以上です。
4回に渡ってご紹介してきたこの企画はいかがでしたでしょうか。
既に中学受験の世界にどっぷり浸かっている方には「知ってるよ!」という内容も多かったかもしれませんが、「ギリギリ合格は油断禁物!」「合格後は”算数を抜く”のがオススメ」といった、あまり他では聞かない話もご紹介できたのではないかと思います。
実は今回の4記事を書くにあたっては2時間超のインタビューをさせていただきました。
名古屋子育て情報局初のインタビューということで、慣れないなか川邊先生には非常に丁寧にご対応いただきました。
この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。
詳細は別記事で書く予定ですが、このインタビュー企画は今後も続けていきたいと思っています。インタビューに関するご意見やご感想も大歓迎!ブログ自体にコメントいただいてもOKですし、TwitterやInstagramにコメントいただいても大丈夫です。いいね、やRTしていただけるとさらに嬉しいです。
(次回は高校受験塾の話を聞いてみたいと思っていますが…誰かインタビュー受けてくれないかな…)
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以上、今回は
[プロの先生に聞いてみた!]西塾車道校 川邊先生インタビュー part4 最近の入試傾向と入学までにすること
をご紹介しました。
皆様の参考になれば幸いです。
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