Twitterでやんわりと告知させていただきましたが、今回は新企画、
「プロの先生に聞いてみた!」
の第一弾です。
これは、中学受験、高校受験に対応している塾の先生にインタビューを行って、東海地区の中学受験や高校受験の実情などを皆様にお伝えしていく企画です。
なお、インタビュー先の塾の紹介は行いますが、あくまで中立な立場を維持して記事を書いていく予定です。
(記事内容の間違い等はチェックいただいていますが、「ここを強調、アピールしたい」といった要望は受けていません)
今回は、当ブログを最初期より見ていただいており、直接ご連絡をいただいている、
「西塾 車道校 教室長の川邊先生」
にインタビューをさせていただきました。
プロの先生に聞いてみた!第一弾の一覧は以下の通りです。
【Part2】

【Part3】

【Part4】

西塾 車道校と先生のご紹介
西塾、車道校は地下鉄桜通線「車道」駅の1番出口の目の前にある塾です。
実はココ、東海中の登校ルートにあります。
実際に東海中に通う生徒を頻繁に目にすることになるのでモチベーションも上がりますし、別パートでご紹介する予定の「中高一貫コース」(東海中等の中高一貫校に通う生徒向けコース)の事を考えるととても良い立地だと思います。
今回インタビューさせていただいた川邊先生は車道校の教室長で、前述の中高一貫コースを立ち上げた先生でもあります。
大学生のアルバイトで中学受験の個別指導塾で指導する機会があり、そこで中学受験に魅了されたそうです。
西塾に入社される前は私立の学校の先生もなさっていたそうで、内部事情も熟知。
学生時代から長期間、東海地区の中学受験に携わっているので長期的な受験環境の変化もご存知で、そこも踏まえた上で様々な生徒に合わせたご指導をされています。
西塾車道校は以下のリンクからどうぞ。
インタビュー
Part1の今回は、インタビューのなかから
- 中学受験ってどんな意味があるのか?
- 中学受験の適性と塾選び
についてご紹介します。
中学受験ってどんな意味があるのか?
まずは、東海地区ではあまり馴染みがない私立中学受験の意味について聞いてみました。

今日はよろしくおねがいします。
まず、名古屋地区において中学受験はあまり馴染み(※)がないと思うのですが、先生の考える「中学受験の意味・メリット」は何なのか教えていただけますか?
※名古屋地区の中学受験率は10%前後で推移しておりあまり一般的な選択肢ではない

具体的には
「時間に余裕が生まれる」
「系列校へのエスカレーター進学」
「指定校推薦が豊富」
という3つのメリットがあり、大学受験を優位に進める事ができます。
“時間に余裕が生まれる”とは?

1点目の時間に余裕が生まれるというのはどういう事でしょうか?

もうひとつは、各私立中のカリキュラムは中学の時点から大学受験を見据えたカリキュラムになっている事が多く、大学受験を考えれば効率的というのがあります。
例えば、数学などは中学で習う単元は高校数学と密接に関わる分野もあり、一度に教えてしまったほうが効率的なんです。あとは、色々とストレスのかかる高校受験がない、というのは精神的な余裕もできますね。

なるほど。
私立は数学の教科書で「体系数学」を使っているところが多かったりしますもんね。(※)
※体系数学は「中高6ヵ年の内容を学習指導要領にとらわれない体系的な配列で再編成した教材」とされている。例えば密接に関係している三角比と三角関数は通常は一度に学習することはないが、体系数学では一度に学習する。イメージとしては、中学3年間で、数学IA全部+Ⅱの半分、高校1年までに、数学ⅡB、Cが半分といった感じ。

中高一貫校の多くは大学受験を最終目標とした効率的な学習を中学校のうちから行っていきます。
最終的に中学~高校で学習する内容を終えるのが半年~1年早いので、その分大学入試に対策に時間を使える、というわけです。
系列校進学は美味しいルートも…


この2校は進学実績を見ると分かるように、エスカレーターで系列の大学に進学する生徒の割合が高いです。また、意外とそこまで話題になりませんが、やはり聖霊高校から南山大学に行けるのはとても”美味しい”エスカレーター進学だと思いますよ。

南山大学に行ける枠はどれぐらいの数があるのでしょうか。

聖霊高校は1学年240人なので、上位1/4に入れば確実に南山大学に行けることになります。(※)
※実際には21年から上智大学へのカトリック推薦が10人程度出るので、もう少し余裕がある


ただ、近年は聖霊中の人気が非常に上がっており、VAP入試(※)でも非常に入学しづらくなっている。
従来通りの入学試験も行われますが、合格者の大部分はVAP入試なので、昔ほど入学のハードルは低くないので注意が必要です。
※VAP入試:公式には「本校を第一志望(専願)とし、本校に入学してぜひがんばりたいという強い意志のある児童に出願していただき、その適性に重点を置いて選考する入試」とされ、「聴く力」「考える力」「考えたことを表現する力」という「リフレクション力」が重視される。
指定校推薦を取りたい子ほど推薦を取れない…?

男の子だったら名古屋中などは関西難関3私大(同志社大学、立命館大学、関西学院大学)との特別協定があって枠が多く、国公立大学にこだわらないなら非常に”オトクな制度”というイメージがありますが…

ただ、最近の指定校推薦は以前ほど楽ではなく、大学によっては共通テストの受験を条件とすることもあります。(※最下部補足参照)
それでも結果的に受験勉強して合格するよりは、楽ですね。
また、早慶上智といった難関私大は合格者の半数近くが指定校推薦(学校推薦型選抜)という状況になっているのも頭に入れておいたほうが良いです。
もちろん、名古屋中以外の中高一貫私立校にも、多数の指定校推薦のオファーが来ています。

昔の指定校推薦は小論文+面接というところが多かったのですが、そのあたりもルールが変わってきているのですね。
ちなみに、公立高校は指定校推薦のイメージがないのですが、公立高校にも指定校推薦のオファーは来ているのですか?

ただ、公立高校の場合は国公立志向が強い傾向があるので、あまり積極的に利用する雰囲気ではないですね。また、指定校推薦に関しては、公立高も私立高も進学校の場合、
「”指定校推薦を取りたい子”は指定校推薦を取れない」
という事が多いんです。


学校によって必要な平均評定点が4.0だったり4.3だったりするのですが、評定平均が基準を上回っているような子は国公立大を狙うんですよ。
そして評定点の4とか5、といった評価はこのような国公立大を狙う子が独占する事が多い。
そうなると、国公立大を狙わず、難関私立に行きたい子は必然的に評定点が足りなくなるんです。
※評定点:いわゆる通知表を5段階評価にしたもの。大学によって採用される学年度や科目は異なる。難関大の場合は平均4.0以上は必要な事が多い。


ただ、学校によっては指定校推薦を取れるような評定平均の優秀な子には、国公立を狙いなさい、という指導をする学校が多いんですよ。


実際、今年は某学校の上位クラス所属で80人中60番目ぐらいの塾生が、ダメ元で早慶の指定校推薦を出したら、取れてしまった、という事がありました。


また、成績でクラス(コース)が分かれる学校の場合、指定校推薦を狙うなら上位クラスじゃない方が…といった内情もあるので、そのあたりは悩ましいところです。

ただ、中学受験の時点でそのあたりの話をしておくのはなかなかハードルが高そうですが…

逆に中学受験の場合は子どももまだ話の持っていきかたで意図した方向にやる気を出させる事は可能です。
もちろん、私のところに連れてきてもらえれば、うまく説明して、中学受験に向かうようにできますよ(笑)

【中学受験のメリットまとめ】
- 中学受験は「大学受験の最短距離」
- 「時間に余裕が生まれる」「系列校へのエスカレーター進学」「指定校推薦が豊富」という3つの優位性がある
- 時間に余裕が生まれる
→大学受験を見据えた効率的な学習を中学から行うカリキュラム - 系列校へのエスカレーター進学
→系列校への進学の容易さ。聖霊から南山大といったオトクなルートも。 - 指定校推薦が豊富
→私立は指定校推薦枠が多い傾向 - ただし、指定校推薦は”取りたい子ほど取りにくい”といった内部事情もあるので計画的に考える必要がある
中学受験の適性と塾選びについて
中学受験のメリットが分かったところで、中学受験に向いている子や各塾の特性、親の役割について聞いてみました。
中学受験に向いている子

「こういう子が中学受験に向いている」
というのはありますか?

もちろん、最終的に、訓練していけばほとんどの子はやれるようにはなりますが、自主性が当初からある方がスムーズに進みます。
※講義形式メインの4塾(日能研、名進研、浜学園、馬渕教室)



「オール3-4ぐらい」
「明らかな優等生という柄じゃない」
といった子ですね。西塾のホームページにも「普通の子をトップ校へ」書いてありますが、いわゆる「普通の子」をグッと引き上げられるのが中学受験です。
高校受験の場合は勉強以外の要素も入りますし、科目も多いですが、中学受験は4教科ですから。
ちょっと宣伝になりますが、特に個別指導タイプの塾は付きっきりで指導できるので、こういった子が向いています。

中学受験は「優秀な子がするもの」というイメージがありますが、生活態度が見られたり、科目が多い高校受験は「優等生」と「普通の子」の差がより開いてしまう、ということですね。

親の伴走と塾選び

「親が一緒になってやるもの」
「親のサポートが不可欠なもの」
と感じているのですが、大手4塾だとどの塾もこういった”親の伴走”というのが不可欠になってくるのでしょうか?

もちろん、中には全部自分でこなしてしまう子も居ますが、そういう子は少数派ですね。

例えば西塾車道校の個別指導部は、親の手厚いサポート、家庭教師の追加等が一切不要、という事を売りにされていますが、どういった指導の流れになるのですか?

家庭学習はそのやった内容をもう一度解く、という流れになります。




ここのここにあるプリント(※下の画像)のように、個別指導部ではその日に家で何をするかまでしっかりカバーします。
ただし、例えば西塾でも先生によってどこまでサポートするかは差があります。手厚さを期待して大手塾以外の塾を検討される際はそのあたりも確認したほうが良いと思いますよ。
引用元:西塾車道校配布資料より

間違えた問題の問題集的なものを親が切り貼りして作っていたり(※下の画像のイメージ)、という話をよく聞きますが、このあたりもカバーしていただけるのでしょうか。
東海地区ではあまり聞きませんが、関東などはコピー機を家庭でリースしたり…などという話もありますが…

切り貼りした問題集については、少なくとも当校では塾側が生徒に合わせたものを作り、それを解いてもらう、というところまでサポートします。

しかし、実際には親も含めて環境に合わせた塾選びが重要だと思うので、是非大手塾以外にも足を運んで話を聞いてほしいと思います。


その費用まで考えれば、個別指導塾が必ずしも高額ではないと思いますよ。
引用元:西塾車道校配布資料より
【中学受験の適性と塾選びまとめ】
- 中学受験に向いているのは「自主的に勉強できる子」だが、訓練すればある程度は身につく
- 中学受験をするのをオススメしているのは「普通の子」で、中学受験なら上位層へ引き上げられる
→高校受験では「優等生」と「普通の子」の差が開きやすい - 大手塾の場合、親の手厚いサポート(親の伴走)が不可欠なケースが多い
- 親御さんが中学受験を経験していなかったり、手厚いサポートが難しい場合は大手塾以外という選択肢もある
- 個別指導塾の中には、学習計画や弱点克服プランの作成等の細かなサポートを受けられ、親の負担が軽いところもある
- ただし、個別指導塾でも各塾で対応に差があるため塾を決めてしまう前によく確認する必要がある
- 親のサポートが難しく大手塾+家庭教師という形にするなら、個別指導の方が安くつくケースもある
補足
指定校推薦について
指定校推薦についてはインタビュー後、先生から以下のサイトに詳しく書かれていると、補足情報をいただきました。

上記サイトにも書かれていますが、文部科学省が出している大学入試の実施要項(※)を見ると、指定校推薦だったとしても調査書・推薦書等の出願書類だけを判断基準とすることはできず、
- 学力検査
- 小論文
- 口頭試問
- 資格・検定試験の成績
- 大学入学共通テスト
等のなかから、少なくともひとつを活用する、と定められています。
※文部科学省令和5年度大学入学者選抜実施要項
やはり昔のように、ほぼ対策ナシで大丈夫、といった状況ではなくなっているようですね。
塾選びについての補足
今回は個別指導のメリットに言及している内容が多くなっていますが、これは、
“中学受験対策を行う塾は大手だけではない”
という事を伝えたかったためであり、特に個別指導塾を推しているわけではありません。
では、なぜわざわざこんな内容にしたのか、と言うと、
「中学受験を始めてみて、伴走に苦労する親御さんの声を本当に沢山見かける」
からです。
インタビュー内でも触れていますが、中学受験は(特に大手4塾は)想像以上に親の負担が大きいです。
特に算数分野は特殊で、数学が得意だった人でも難解な部分が沢山あり、中学受験の経験がないと理解が難しく、子どもに教えようとしてもなかなかハードルが高い教科です。
もちろん、大手塾でも積極的に質問をする等である程度は対応することが可能だとは思いますが、子どもの性格によっては”質問をする”という行為そのものがかなりハードルが高い行為になる事もあります。
また、親がかなり時間をかけて計画を立てたり、教える必要が出てくるケースもありますが、”仕事等でそもそも時間が取れない”というパターンもあると思います。
このようなパターンでは、
「少しお金をかけて良いからどうにかならないか」
といった方向性で検討する事もあり得るのではないでしょうか。
そういった状況に対する回答の一つとして、
「個別指導塾という選択肢もある」
という事を伝えたかったので上記のような内容とさせていただきました。
なお、実績については、規模が違う&大手は生徒数が公表されていないので比較記事には掲載していませんが、小規模塾の場合もHP等で以下のように合格数(場合によっては母数となる生徒数)も掲載しているので、チェックしてみてはいかがでしょうか。
引用元:西塾実績チラシより
===
以上、今回は、
[プロの先生に聞いてみた!]西塾車道校 川邊先生インタビュー part1 中部地区における中学受験のメリット、適性と塾選び
についてご紹介しました。
次回は
中学受験塾の入塾タイミングや転塾、小学校低学年の過ごし方等、実際に中学受験をすることになったら…
という内容をご紹介する予定です。
皆様の参考になれば幸いです。
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