今回は、
「プロの先生に聞いてみた!」
の第一弾”西塾 車道校 教室長の川邊先生”編のPart3です。
プロの先生に聞いてみた!第一弾の一覧は以下の通りです。
【Part1】

【Part2】

【Part4】

今回は
- 受験環境の変化について
- 各学校の校風について
- 受験校選びについて
についてまとめます。
インタビュー
受験環境の変化について
ここ数年、東海地区の私立中学受験をとりまく環境が変化しています。
そのあたりの事情について、軽く確認してみました。
聖霊と名女のポジション

分かりやすい例だと聖霊が滑り止め扱いでなくなった、というのがあると思いますが…

まず例として挙げられている聖霊は、指定校推薦のところでも触れましたが(※Part1参照)VAP入試が主体になった結果、合格するハードルがかなり上がりました。
結果として、滑り止めとして受験する生徒は激減し、女子の受験パターンの王道が変化しました。


先日、名女の先生と話しましたが、非常に喜んでいましたね。
※名古屋女子大学中学校については記事最下部に補足を書いています


一方で、進学実績はこれから上昇していくのではないかと思っています。
これには、2点理由があります。
1点目は、これまで金城や椙山にギリギリ落ちてしまった層の子は聖霊に入学していたのですが、この子たちが名女に入学することになった点です。
これは単純に入学してくる生徒のレベルが引き上げられる事を意味します。
2点目は、学校自体のカリキュラムが今の高1から無理をさせすぎない方向に変化した事です。
これまでは若干現実的ではない目標を掲げていたりしたのですが、この変化な良い方向に作用すると思います。
この2点の変化が出てくるのは2-3年後からになりますが、今後が楽しみです。

VAP導入で”本当に聖霊に入りたい子”が入学するようになった変化がどう影響しているか気になっています。

海陽も1期生がすごかったけど2期生が…のようなパターンもあるので、評価はこれからですね。
一方で、実は南山大学への内部進学が可能であることやその規模はあまり知られていないので、この点がもっと浸透していけば聖霊の人気は高まっていくと思いますよ。
男子校の変化について

近年、名古屋中の偏差値が著しく上昇していると思うのですが…

名古屋+東海or南山男子を受ける子の場合、愛知→名古屋→東海or南山男子というのが王道のままです。


結果として、名古屋合格→東海挑戦という名古屋+東海の入試を受ける子が多かったですが、名古屋残念→南山男子受験という名古屋+南山男子の入試を受けるパターンも増えています。

※名古屋中の偏差値推移は記事最下部の補足参照

強いて言うなら、名古屋中としては進学実績を高めようとしていたところに、東海中の定員を40人削ったのが大きく影響しているのではないかと考えています。
同じタイミングで偏差値が上がっているので関係している可能性は高いと思います。
【中学受験の環境変化まとめ】
- 聖霊のVAP導入で女子の中学受験王道ルートに変化が生まれた
- 名女は聖霊と入れ替わりで滑り止め校のポジションに
- 聖霊も人気は衰えず
- 男子の王道ルートは変化なし
- 名古屋の難易度が上がった結果名古屋落ち→南山男子のパターンが増加
- 名古屋中の偏差値上昇は学校の努力と東海の定員削減の影響が大きそう
各学校の校風について
最近人気が上がってきている学校の校風、その他の学校の特徴について聞いてみました。
名女、愛知、名電、春日丘について

お恥ずかしながら過去の王道パターンに入っていない学校の情報には疎くて…

きっちり学校がやるべき勉強の内容・課題を管理して、生徒の学力を伸ばすカリキュラムになっていて、上位層の学力をグッ引き上げる方向性になっています。
そして実は名女でオススメなのは理系志望の生徒。
女子高なので、理系志望は多くはなく、少人数での授業を受けられます。
戦略として、早めから医療系志望などと、学校側へ打診しておくことで、学校のサポートも手厚くしてくれると思いますよ。
大学受験で一般入試を考えていて、女子校が良いなら名女はオススメです。

啓明コースの場合、高校は部活も禁止だとか…

部活の例もそうですが、名女よりも生徒全体を引き上げていく方向性で、最終的に上位層の生徒が国公立を狙っていく、というイメージです。
何を重視するかによりますが、大学受験の一般入試を第一に考えるなら、偏差値50以下の私立中の場合は学校が勉強をしっかり管理してくれる春日と名女がオススメです。


つまり、他の大学をチャレンジしても愛工大には絶対入れる。
そこが親として許容できるならおすすめできます。
先日、名電の先生と話す機会がありましたが、色々話を聞くと「良い学校だな」という印象を改めて持ちました。
椙山と金城について

あまり縁がない、という事もあり、理解しきれていなくて…

ただ、方向性の違いがあり、ざっくりと言うと、
金城→きらびやか
椙山→おしとやか
というイメージですね。


金城にない椙山の特徴としては、高校入学組が居るので、新しい風が入ってくる、環境変化があるというのがあります。
そのあたりをどう考えるかは好みだと思いますよ。
南山男子、名古屋、愛知淑徳について


名古屋:ある程度の管理教育
南山男子:自由
という違いがあります。
名古屋は春日丘ほどではないですが、補習がしっかり設定してあるなど、面倒見が良いです。
一方で、南山男子はそもそも制服がない、というほど自由な校風が特徴。
全く管理されない、というわけではないですが、強く勉強を管理していく校風ではないです。


特に理系はじっくりやる方針だそうです。
なので、「授業について行けない子」というのは男子の2校よりは少ないかもしれないですね。
ゆっくりとはいっても進学実績は良く、MARCHクラスの一般入試なら充分対応できます。
スクールライフを楽しむなら…


あえて言うなら、スクールライフを満喫したい場合は南山男子、愛知淑徳がオススメですね。

そして高校に入っても成績順のクラス分けが一切ないので、生徒間でギスギスすることもない、というのは大きそうですね。
淑徳は校則が厳しいイメージがありますが…

少なくとも、愛知淑徳に進学した生徒たちは楽しそうにしています。
【各学校の校風まとめ】
- 春日丘、名女は管理教育型で大学受験を一般入試で考えているならオススメ
- 春日丘は管理教育によって生徒全体を引き上げて、その中で上位層が国公立大に挑むイメージ
- 名女はどちらかというと理系が強く、上位層を管理教育で引き上げるイメージ
- 名電は愛工大進学保証が魅力的で、仮に他大学に挑戦して合格できなかったとしても愛工大には100%進学できるのが強み
- 金城、椙山はいわゆる”お嬢様”的なイメージがあるが、方向性が違う
- どちらかというとポテンシャルとしては金城の方が上だが、椙山は高校入学組が入ってくる環境変化あるのが特徴
- 名古屋と南山男子は管理教育型か自由な校風かで違いがある
- 愛知淑徳は同偏差値帯の2校と比較すると授業がゆっくり進むのが特徴で、ついていけない子が出にくいカリキュラムになっている
- (先生個人の意見として)スクールライフを満喫したいなら南山男子・愛知淑徳がオススメ
受験校選びについて
環境変化でも少し触れた、受験校選びについて少し深掘りしてみました。
ちなみに、このパートのやりとりの前提となっている2023年の入学試験の日程は以下のようになっていました。
つまり、受験序盤において、男子は名電、愛知、春日丘の3校、女子は名電、愛知、春日丘、金城の4校から受験校を選ぶ必要があるのです。


そして名電は2回目の試験を廃止するなど、受かりにくくなっています。
実際、以前は50%得点できていれば入学できましたが、今年のボーダーは58%なので難化していますね。


ちなみに、組み方によっては共学3校(愛知、名電、春日丘)を併願可能なパターンもありますが、名電などは2回受験したほうが有利なので、名電を受けるのであれば他2校との併願ではなく2回受験をおすすめしています。


このルールを考えると、やはり2回受験の方が有利なので、名電を受けるのであれば2回受験を、という話になります。
なお、これは名女の2回受験をも同じルールです。

各ご家庭で受験校を決める決め手はどんなものがありますか?

それ以外は完全に好みの領域になってくるので一言では言いづらいですね。

塾の基本方針としてはやはり大学受験を念頭に置いた指導をしているので、
- 国公立大一般入試をしたい
→春日丘 - 理系の勉強がしたい
→名電 - 自分で進んで勉強できる子
→愛知
という方向性で話す事が多いです。


これは、愛知中から愛知高校に進学後のクラス分けで選抜クラスは1クラスしかないんですが、このクラスに入れる上位40人に入れるか、という事です。
なので、愛知中に進学する子には「愛知は入ってからしっかり勉強する事が大事」と伝えていますよ。
【受験校選びのまとめ】
- 愛知を受験せず、名電、春日丘を受ける子が増えてきている
- 名電は受験回数を減らした影響もあってか難化中
- 受験校選びは好みだが、悩んている場合は大学受験を念頭に置いて考えるべき
- 具体的には
国公立大一般入試:春日
理系重視:名電
自力で勉強できる:愛知
という方向性のことが多い - 愛知中はトップ40(選抜クラス)に入れるかが非常に重要で、入学後にしっかり勉強できる子におすすめしている
補足
名女の受験者数について
名古屋女子大学中は受験者数がかなり伸びていて、ここ数年だけでも2020年は延べ780人だったのが、2022年には972人になっています。
これは、先日ご紹介した、名古屋女子大学中の合格者数推移データを見てもハッキリ出ており、立ち位置の変化が起こっていることを示しています。
名古屋中の偏差値について
インタビュー内で出てきた名古屋中の偏差値推移は以下の通り。
引用元:日能研結果R4偏差値より作成
上記の通り、先生にお話をいただいた”2017年の東海中定員削減”以降、名古屋中の偏差値が上昇トレンドに変化しています。
漏れ伝わっている話だと、2023年もこの傾向は続いているようで、南山男子との明確な差が出ているとか…
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以上、今回は
[プロの先生に聞いてみた!]西塾車道校 川邊先生インタビュー part3 受験環境の変化と学校について
をご紹介しました。
次回はこのシリーズのラストとなる予定で、
最近の入試傾向と入学する学校選び、試験後にやるべきこと
という内容をご紹介する予定です。
皆様の参考になれば幸いです。
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