第2章 世界で巻き起こるフードイノベーションの全体像
将来性を鑑みて、今、世界のあちこちでフードテック企業が台頭してきているようです。しかしながら、一言に「フード」すなわち「食」といっても、それに関する業界は幅広く、多種多様なため、その全体像を把握することは大変困難であるのではないでしょうか。
本書ではまず、私たちにも分かりやすいようにと、日本のフードテック企業を具体的に紹介しています。一部、抜粋してみます。
まずは「ベースフード」(引用元: https://basefood.co.jp/)。「からだに必要なもの、全部入り」のキャッチフレーズで、26種類のビタミンやミネラル、たんぱく質、食物繊維などを含んだ、完全栄養のパンとパスタを販売しています。
次に紹介された企業は、「スナックミー」(引用元: https://lp.snaq.me/)。「毎月変わる100種類以上のスナックから食べきりサイズ(約20~30g)で8つお届け」をコンセプトに、ナチュラルで美味しいスナックの定期購入サービスを行っています。初回に「おやつ診断」をすると、好みに合わせたスナックが届きます。また、食べた後にアプリで評価することもでき、嫌いな食材や気に入ったスナックを登録しておくと、次回から自分好みにあったスナックが選別されて送られてくるようです。
人工光型植物工場を推進する企業として挙げられたのは、「プランテックス」(引用元: http://www.plantx.co.jp/)。独自のクローズド・ユニット方式とセンサーの活用により、科学的に農業を管理(光・空気・養液)し、省資源・高品質・衛生的な食材を生産しています。
フード・イノベーション・マップ 2.0
フードテック企業がどういうものかがイメージで来たところで、シグマクシスにより作成された「フード・イノベーション・マップ 2.0」が提示されました。これは、食文化の進化において、その企業が位置する現在地を明確にし、これから狙うべき分野や、組むべき相手が誰であるかの道標として描かれたマップです。詳しくは、本書をご購入し、皆さんの目でこのマップをご覧になっていただきたいのでが、概略を説明すると、このマップは大まかに三つの階層に分かれています。
一番上の階層は、「生活者体験」となっており、私たちに一番身近な部分であるといえましょう。「食」にまつわるモノを購入する場面や、調理する場面の進化がこの領域に当たります。また、実際に食べるシーンにおける、内食と外食のイノベーションの領域でもあり、食品ロスを低減するような環境に配慮した技術もここに入ります。前項の企業紹介でいう「ベースフード」が主にこの領域の企業といえるでしょう。
第二階層として定義された「実現する技術/仕組み」とは、データ化・効率化された「食」や「食シーン」を、ITを駆使して分析することや、実際にロボットや調理機器により運用するための技術開発の領域です。個人一人一人の嗜好を反映し、パーソナルなスナックを提供する「スナックミー」は、主にこの領域の企業でしょう。
第三階層は、「センシング技術&先端素材」です。「食」を下支えする食料生産そのものの技術革新や、生産地からの効率的な物流、調理のプロセスのデータ化など、センサーなどでデータに落とし込む領域であり、「プランテックス」はこの部分のイノベーション企業だといえると思います。
近年、食に関するトレンドは、ますますスピードを上げて進化しています。しかしながら、フードロス問題は言うまでもなく、貧困によって高カロリーな加工食品を接種することから起こる健康被害、孤食が引き起こす栄養価や満足度の不足など、解決しなければならない問題が変わらない以上、ベースとなる潮流も大きく変化はしません。
加えて、楽しみとしての「食」とは何か。例えば、「何のために料理し、食事をするのか」という当たり前な質問に対しての解答、まさに食の価値の再定義も必要なのではないでしょうか。料理は決して、「やらなければならない苦痛な仕事」ではないと思います。性別や世代を超えた家族や友人が集まり、食べるだけではない、多種多様な目的をかなえるための場を提供できる、素晴らしいツールです。
フードテック企業により、問題解決と概念進化が同時に達成されることを是非とも期待したいと思います。




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