「フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義」 備忘録 -Part06-

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第4章  「代替プロテイン」の衝撃

代替プロテイン市場は、かつてない盛り上がりを見せています。植物性プロテイン参入企業は、2018年の15社から2020年には200社(The Global Alternative Food Awards発表)と、2年で10倍以上に増えています。
主だったベンチャー企業として挙げられるのは、植物性プロテインを使用したハンバーガー用パティを製造販売する、アメリカのインポッシブルフーズ(引用元: https://impossiblefoods.com/)や同じくアメリカのビヨンドミート(引用元: https://www.beyondmeat.com/)です。
もちろん、既存の大手食品メーカーも植物性プロテイン市場に次々と参入してきており、その成長性と社会性に目を付け、ビル・ゲイツ氏を始めとする多くの資産家が活発にこの分野に投資しているようです。
日本においても、2018年に大塚食品が大豆ベースの代替肉ハンバーグ「ZEROMEAT(ゼロミート)」の販売を開始し、2020年からは食肉大手のスターゼンとともに業務用の販売も始めています。また、業務用チョコレートなどで世界シェア3位の不二製油は、1950年代から大豆原料の食品素材の開発を始めており、食品メーカーに対して業務用の大豆タンパクを提供し続けています。さらに培養肉分野では、カップヌードルの「謎肉」でも知られる日清食品と東京大学がタッグを組み、本物の肉の構造を再現して培養ステーキ肉を完成させるべく、研究を重ねています。

さて、それではなぜ、植物性プロテイン市場はこれほどまでに盛り上がっているのでしょうか。そこには、

「どうやって世界100億人に胃袋を満たすのか?」 (本文 p092)

という重大な問題が根本にあります。世界の人口が爆発し、貧困層から中間層へシフトしていけば、当然、肉の消費量はアップします。しかしながら、タンパク質の主な摂取源としての畜産は、需要に対する供給リスクだけでなく、様々なリスクを抱えているのです。
例えば、牛は本来、草食動物ですが、安価で入手しやすいトウモロコシが主に飼料として使われています。この例が示すように、畜産業者は、できるだけ早く、また大きく家畜を成長させて、コストパフォーマンスの高い食肉として出荷できるように、配合飼料や抗生物質、ビタミン剤を使っています。

1957年当時、鶏はふ化から57日目は905グラムだったのに対し、2005年では同じ57日目で4,202グラムにまで成長するという。 (本文 p092)

この数字を見るだけでも、あまりに異様な成長速度です。家畜の体に負担がかかっているだけではなく、それを摂取している人間にも影響があるのではないか、という懸念があります。

また、どれほど効率的に早く育てようとしても、動物である以上、莫大なエネルギーを必要とするので、植物に比べると環境負荷は非常に高いことも問題に上げられます。一例をあげると、地球上の人類が生活する上で一日に消費する資源として、水200億リットル・食料10億トンが必要ですが、それに対して家畜としての牛(15億頭)は、水1,700億リットル・食料600億トンが必要です。

代替肉の進化を「5段階」で分類

これまでの代替肉と、今注目を集めている代替肉はどのように違うのでしょう。この本では代替肉には5段階のレベルがあると書かれています。

①代替肉レベル1 「肉の代用品」
豆腐ハンバーグなど、肉を他のものに置き換えていて、味わいからして肉ではないことが明確なもの。

②代替肉レベル2 「肉もどき」
乾燥大豆ミートやセイタン(麩などの小麦のグルテンを主原料にした食品)など、肉の触感を中心に再現したもの。ただし、肉の香りはせず、調理法も水で戻すなど、肉とは異なる喫食体験となる。

③代替肉レベル3 「肉に近い喫食体験」
ベジバーガー(原材料として肉を含まないパティを用いたハンバーガー。通常は、野菜、豆果、ナッツ、きのこ、大豆、小麦、卵などから作られる。)など、肉の触感だけでなく味も再現しようとしたもの。ただし、肉の香りはしない。

④代替肉レベル4 「肉と同じ調理~喫食体験」
代替肉の現在地。インポッシブルフーズやビヨンドミートに代表される植物性代替肉。鮮肉として販売され、調理すると赤みが茶色く変化し、肉汁と香りが広がるなど、調理体験まで肉と同じ。ただし、現在の製造工程では、塩分が多いなど、必ずしも健康的な食品とは言えない。

⑤代替肉レベル5 「肉以上の機能性」
代替肉の目指すレベル。調理・喫食体験が本物の肉と変わらないうえに、肉以上の栄養素や保存性があり、健康的な価値も担保されているもの。

なぜ、代替肉レベル5を目指すのでしょうか。それは、この分野の市場の巨大さにあります。18年の代替プロテイン市場は22億ドル(約2,400億円)と推計されますが、レベル5代替肉が開発されれば、食肉市場1兆7,000億ドル(約184兆8,500億円)がターゲットとなりますし、関連市場も、乳製品市場7,189億ドル(約78兆1,440億円)、鶏卵市場1,624億ドル(約17兆6,530億円)と莫大です。さらに、植物性代替肉であれば、宗教面で肉食が制限されている市場へのアクセスも期待できます。

以上のように、経済的なメリットとともに、地球環境問題の解決の新たな可能性を持つ代替プロテインという分野は、今後、さらなる発展を遂げるでしょう。この章では、具体的な企業名と取り組みを上げて紹介していますので、是非とも、ご購入をお勧めします。

次章では、キッチンOSについてご紹介いたします。


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