さて、前回は写真・動画データのバックアップ方法の種類についてざっとご紹介しましたが、今日はちょっと裏技的な方法である
「古いPixelを使ってGoogleフォトに無制限保存しよう!」
というお話をご紹介します。
実は古いPixelは2023年8月時点でGoogleフォトに無制限保存できる
表題の通りなんですが、Googleが出しているAndroidスマホの「Pixel」の古いシリーズは
“GooglePhotoへの無制限保存”
が現在でも可能です。(要圧縮設定)
各PixelシリーズとGoogleフォトの関係性は以下の通り。
要するに
「Pixel5以前のPixelシリーズを買えば圧縮は必要だがGooglePhotoへの無制限保存が可能」
という事です。
これは、Pixel5までなGoogleが自ら出すスマートフォンの強みとして
「一定期間は無圧縮無制限でGoogleフォトが使用でき、その後も圧縮すれば無制限に使える」
という特典がついていた、という経緯があったから。
元々、2021年5月31日までGoogleフォトは”誰でも画像・動画を圧縮すれば無制限に無料で使える”という仕様でしたが、2021年6月からは15GB以上は有料になりました。
しかし、Pixelシリーズは販売時に上記の特典を付けていたので、現在でも圧縮すれば無制限に無料で使えるというわけです。
画像の圧縮について
前述の通り、この無制限保存には「圧縮すれば」という条件があります。
具体的には無制限保存の「高画質設定」の場合
- 画像:1,600万画素
- 動画:フルHD(1920×1080)
という仕様で保存されます。
動画はフルHDまで圧縮されるので、最近スマホで主流になりつつある4K動画等の高画質動画はフルHDまで解像度が下げられるのですぐに分かります。
(スマホ画面で見る分には問題ないですが)
では、画像はどうか、というと、個人的には
「大きな紙に印刷するとか、拡大処理をしなければ分からないレベル」
だと思います。(もちろん感じ方、こだわり方は個人差がありますが)
Googleの説明的には「約60cm x 40cmまでの大きさの印刷までOK」という感じ。
具体的な画像で見てみると以下のような感じ。
【圧縮あり(386キロバイト)】
いかがでしょうか?
データ量的には10倍超の差があるのですが、普通に見るだけでは分からないのではないでしょうか。
そして何よりも、前回ご紹介したように
「Googleフォトは基本的に消えることはない」
というのが非常に大きく、画像や動画が永遠に失われてしまう事だけは回避できる、というのが1番のメリットではないでしょうか。
(余談)初代Pixelは無圧縮無制限保存が現在も続いているが…
実は初代Pixelだけは
「Googleフォトへの無圧縮・無制限保存が無期限で可能」
という特典が付いていたので、現在でも4K動画だろうがなんだろうが無限に無圧縮で保存できます。
ただし、こんな夢のようなスマホを実際に使おうとすると以下の2点がハードルとなります。
- 調達が大変
- 通常利用だと電波法違反になる
1点目はそもそも初代Pixelは日本未発売なので手に入れるのが難しいです。
eBayダイレクトショップ等で海外から個人輸入する事は可能ですが、古いスマホなので最近は中古出品も減ってきました。
そして2点目が本当にやっかいで、初代Pixelは日本未発売である関係で「日本で電波を発射して良い機器に登録していない(技適マークなし)」のです。
なので、通常は初代Pixelを機内モードではない状態にした瞬間に電波法違反になってしまいます。
一応、「総務省へ届出を行う」という解決策はあり、実際に海外端末で届出を行っている方はいらっしゃいます(参考サイト)
ただ、コレは普通の人にはかなりハードルが高いです。
届出以外にも「有線LANでネットに接続」という手段もありますが、こちらも機器調達+設定が少し面倒です。
もちろん、「無圧縮無制限にGoogleフォトに無料保存できる」という特典は、この2点のハードルを乗り越えるだけの価値があるんですけどね…
※参考画像で使用している初代Pixelは実験使用目的で上記の”総務省へ届出”を行った上で使用しています
古いPixelの価格
では、実際にGoogleフォトの無制限保存をやるとして、古いPixelの価格はどの程度なのか、というのをご紹介します。
中古スマホを購入できるところは色々ありますが、今回はイオシスさんで確認しました。
結果は以下の通り。
- Pixel 3a:7,980円
- Pixel 3a XL:9,980円
- Pixel 4:17,800円
- Pixel 4a:17,800円
最安で8,000円弱からありますが、少し台数は少ないですね。
今回の利用用途だと、「とにかく使えればOK」という感じなので、端末の状態はSIMロックも含めてあまり気にしなくて良いと思います。
具体的にどうやってやるのか
色々な目的と方法があると思うので、今回は以下の2パターンの設定例をご紹介します。
- 写真・動画はスマホでしか撮らない&画質にはこだわらないので安く保存したい
- メインの保存は外付けHDDに行い、保険としてGoogleフォトに保存する
前者の場合はメインで使用しているスマホから古いPixelに定期的に写真・動画を転送して、Googleフォトに保存していくイメージ。
メインスマホから写真を消してしまうと、Googleフォトに残るのは圧縮された画像・動画のみになります。
後者の場合、外付けHDDに無圧縮のきれいな画像・動画を残しつつ、念のためGoogleフォトに圧縮された画像・動画を保存しておくイメージです。
仮に天災・災害等でスマホや外付けHDDが全て壊れても、全てを失う事だけは回避できます。
なお、ここにAmazonPhotosを加えれば、写真データだけはきれいな画像で残せます。
1事前準備
1-1.Googleアカウントの新規作成
まず、どちらのパターンをやるにしても、
「写真保存用のGoogleアカウントを必ず新規に作成」
します。
これは、今回の方法はかなりイレギュラーな事をするので、最悪の場合Googleに怒られてアカウント削除、という事が起こる可能性がゼロじゃあないからです。
コレがメインのGoogleアカウントで起こるとダメージが大きいので、メインアカウントと紐づけていない新たなGoogleアカウントを作っておきます。
1-2.古いPixelのGoogleフォトをセットアップする
新たに入手した古いPixelを1-1で作ったGoogleアカウントでセットアップし、自宅のWiFiに接続しておきます。
その後、Googleフォトアプリを起動して、以下の2点を確認しておきます。
(Pixelシリーズは元々Googleフォトアプリが入っているはずですが、入っていない場合はアプリストアからインストールしておきます)
【バックアップがONになっているか確認】
まずは、自動バックアップがONになっているか確認します。
手順は以下の通り。
====
Googleフォトアプリの右上の自分のアイコンをタップ
↓
画面下の「フォトの設定」をタップ
↓
「バックアップ」をタップ
↓
画面右上のスイッチがONになっている事を確認
【画質設定の確認】
バックアップの画質が「保存容量の節約画質」になっているか確認します。
この設定を行っていないと、古いPixelといえど、無制限保存ではなくなってしまうので注意。
(なお、初代Pixelはこの設定メニュー自体がないです)
手順は以下の通り。
====
前項の手順の最後の画面で右上の戻るキーをタップ
↓
「バックアップの画質」をタップ
↓
「保存容量の節約画質」をタップ
↓
「選択」をタップ
以上で事前準備は完了です。
この設定をしておけば、古いPixelに入れた画像が自動的にGoogleフォトにバックアップされます。
スマホのみ&圧縮データ保存のパターン
2-1.古いPixelに「PhotoSync」アプリを入れる
使うスマホがAndroidだけなら別のアプリでも良いのですが、iPhoneも含めた将来的な自動保存機能も使うことを考えると「PhotoSync」が良いと思うので、今回はこのアプリを使います。
詳しい方なら他にも色々と無料でできるアプリがありますが、今回は分かりやすさ重視という事で…
まず、GooglePlayストアで「PhotoSync」と検索してアプリを入れます。
起動すると、ファイルのアクセス権等の許可を求められると思いますが、「許可」をタップします。
2-2.受信待機状態にする(古いPixelにのIPアドレスを調べる)
次に、受信待機状態にするとともに、送信時に必要になる可能性があるネットワークの情報も以下の手順で確認しておきます。
(アプリ起動だけで受信待機状態にはなるのですが、念のため。)
右上の◯の中に矢印が入ったようなアイコンをタップ
↓
「受信」をタップ
↓
「携帯・タブレット」をタップ
↓
表示されるIPアドレスとポート番号をメモする
メインスマホから画像を送る際は、古いPixelはこの画面にしておきましょう。
2-3.古いPixelのアプリ設定をする
このままだとスリープ時に古いPixelのPhotoSyncアプリが勝手に終了してしまうので、設定を変更します。
Androidの設定画面から
↓
「アプリと通知」をタップ
↓
「特別なアプリアクセス」をタップ
※出ていなければ一番下の「詳細設定」をタップすると出る
↓
メニューをクリックして「全てのアプリ」に変更
↓
「PhotoSync」を探してタップ
↓
「最適化しない」にチェックを入れて「完了」をタップ
これで勝手にPhotoSyncが終了されて受信できなくなることが無くなります。
また、可能であれば、古いPixelのIPアドレスも固定しておけると楽なんですが、WiFiルーターの設定方法はメーカーによって異なるので割愛します。
仮にIPアドレスが変わってしまっても、手順2-2の方法でIPアドレスを確認できます。
2-4.メインスマホにPhotoSyncアプリを入れる
これは手順2-1と同様です。
なお、iPhoneの場合はアプリ内課金で「プロ」版を買わないと画質が落ちるようです。
現在の値段は900円…高い…
Androidの場合は画像・動画の受信と送信だけなら画像劣化なしで、無料で可能です。
2-5.メインスマホにから古いPixelに画像を送信
まず、手順2-2に従って、古いPixelを受信待機状態にしてください。
次に、以下の手順を実行して、メインスマホから古いPixelに画像を送信します。
右上の◯の中に矢印が入ったようなアイコンをタップ
↓
「新しい」をタップ
↓
「携帯・タブレット」をタップ
↓
一覧に古いPixelが表示されればそれをタップ
されなければ「手動でデバイスを追加する」をタップ
↓
手順2-2でメモしたIPアドレスとポート番号をいれて完了をタップ
↓
一覧に古いPixelが表示されるのでタップする
2回目以降も、上記手順で新たに撮影した画像のみが送信されます。
2-6.古いPixelのバックアップ対象フォルダを追加(初回のみ)
初回のみ、以下の手順で受信した画像・動画をバックアップ対象に追加する手順が必要です。
なお、設定や環境変更等で、保存フォルダが変わる可能性もあるので、「古いPixelに送信したのにバックアップされていない」という場合は、以下の手順で全てのフォルダがバックアップ対象になっているかご確認ください。
Googleフォトアプリの右上の自分のアイコンをタップ
↓
画面下の「フォトの設定」をタップ
↓
画面最下部の「デバイスのフォルダのバックアップ」をタップ
↓
「Pictures」等、表示されたフォルダのスイッチを全て入れる
なお、このPhotoSyncアプリが真価を発揮するのは追加購入機能の「自動転送」機能で、充電時や特定のWiFiに接続した際に自動でメインスマホ内の画像・動画を送信してくれます。
しかし、設定等が複雑でかなり長くなってしまうので、今回は省略しました。(要望があれば別記事で書こうと思います)
外付けHDD&Googleフォトのパターン
事前準備の1-1と1-2が終わっており、スマホ以外で撮影した画像や動画もPCに取り込まれている前提の手順です。
3-1.PCへPhotoSyncをインストール
PCへPhotoSyncをインストールします。
インストールファイルはこちらからダウンロード可能です。
WindowsもMACでも使えます。
※これから先はWindowsでしか検証していませんが、多分MACも使い方は同じです。
3-2.受信フォルダの設定
インストールしたアプリを起動し、画面上に出る領域(多分画面右下に出る)を右クリックし、以下の手順で設定メニューから受信フォルダを指定します。
ここはスマホ以外で撮影した写真や動画を保存している外付けHDDのフォルダを指定すると良いと思います。
3-2.メインスマホからPCへ送信
基本的な手順は2-5と同様です。
「携帯・タブレット」をタップするところを「コンピューター」をタップすれば良いだけです。
なお、この時、PCのPhotoSyncアプリは起動状態にしておいてください。
3-3.古いPixelをPCにつないてファイル転送可能な状態に
古いPixelをUSBでPCに接続し、USB接続状態を以下の手順でファイル転送可能な状態にします。
すると、PCのエクスプローラーに「Pixel」の表記が出てきます。
3-4.古いPixelの中に画像ファイルを入れる
3-2で出現したエクスプローラーの「Pixel」をダブルクリックし、「内部共有ストレージ」→「DCIM」→「Camera」の順でフォルダを開いていきます。
ここに、手順3-2で受信したメインスマホからの写真・動画ファイルや、デジカメ等で撮った写真・動画ファイルを入れれば、後はGoogleフォトが勝手にバックアップしてくれます。
注意事項
さて、ここまで長々と書いてきましたが、古いPixelを使ったパターンの注意事項としては
「いつまでこれが可能か不明である」
ということ。
端末の調達にはお金がかかりますが、買った直後にこの方法による無制限保存が不可能になる可能性もあります。
そのため、「できればラッキー」ぐらいの意識でやってみると良いと思います。
余談ですが、今回の記事作成のために初代Pixelの調達&総務省への届出を行ってみましたが
“苦労に見合ったリターンは確実にある”
と感じています。
だって初代Pixelはデジカメで撮った写真はもちろん、4K動画だって本当に無制限に無劣化で保存できるわけですから…
====
以上、今回は
子どもの写真バックアップをどうするか? Part2 古いPixelを使った裏技
についてご紹介しました。
もし、
「有料でも良いなら古いPixelを使った今回の裏技の設定をお手伝いしますよ」
って言ったら需要あるんでしょうかね…ちょっと興味あります。
とにかく、
子どもの写真バックアップは後悔する前に絶対にやりましょう!!!
皆様の参考になれば幸いです。
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