名古屋の子供の進路マップ

前回までの3回で、高校入試を軸とした子供の進路についてまとめさせていただきました。
今回は、もう少し広めの視点で、名古屋市の子供が取れる進路の選択肢がどの程度あるかについてまとめたいと思います。

(参考)高校入試のお話はこちらです
Part1:合否ルール
Part2:学校選択
Part3:まとめ

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全体感

幼稚園~大学入試までの全体感はこんな感じになります。

基本的には私立なのか公立なのかを軸に分類しています。

具体的なルート例

ちょっと複合していて分かりづらいので代表的な流れを使って説明します。

なお、各ルートで書かれているメリットやデメリットは難関大学、上位大学を狙うという前提が入っているのでご留意ください。

最も一般的なルート

私立or公立幼稚園/保育園

公立小学校

公立中学校

私立or公立高校

大学
というルートです。

これが1番一般的なルートだと思います。

●費用
合計:543万円(公立高校)
合計:696万円(私立高校)

内訳は下記の通りで、文科省作成の学習費調査から1万円以下を切り上げで算出しています。

  • 幼稚園:約65万円
    ※幼児教育は2019年から無償化が始まったので多少の差額はあるが公立の費用で統一
  • 小学校:193万円
  • 中学校:147万円
  • 高校(公立):138万円
  • 高校(私立):291万円

引用元:文部科学省平成30年度子供の学習費調査の結果について

●入試
このパターンの入試は以下のものがあります

【入試①:幼稚園入園試験】
私立幼稚園の場合、何らかの選考が入ることがほとんどです。
ただし、筆記テスト的なものがあるパターンはあまり聞かず、面接や行動観察メインのものが多いです。
入園のために専門の塾や家庭教師が必要だという話もあまり聞きません。

特殊な例としては、

  • 卒園生か在園児からの紹介でしか入れない幼稚園
  • 2歳までにあるプレ学習の教室に通っていた子が優先の幼稚園

というのが存在しているため、私立に入れたい場合は、居住地から通える幼稚園の情報は2歳ぐらいまでには調べておいた方が良いです。

【入試④:高校入試】
前回までのシリーズで説明した入学試験です。
推薦の場合は中学2年、一般の場合は中学3年生時の実技を含めた普段の成績が40%程度加味される試験です。
ミスの少なさを競う特色が強いものになるため、精神的な負荷はかかると思います。

【入試⑤⑥:大学入試】
基本的には⑤と⑥はほぼ同一の試験です。
しかし、⑥の場合、上位私立高には「指定校推薦」と「内部推薦」という選択肢が増えます。

指定校推薦は、私立大学側から一定の成績水準を満たすことを条件に、高校へいくつか推薦枠を付与するものです。
大学によって基準は異なりますが、基本的には高校1年~3年の成績の平均値が条件を満たしていれば応募でき、高校側が応募者のなかから(基本的には成績上位の生徒を)選抜します。

この指定校推薦は、一部の学校を除いて推薦枠を取れればほぼ合格できるというもので、学内の争いを勝ち抜いて推薦枠さえ取れれば大学入試はほぼ終了という非常に有利なものとなります。試験も面接だけか、追加されても小論文程度です。

指定校推薦は一部の公立高校もあるにはあるらしいですが、やはり上位私立高校が早稲田や慶応といった難関大学の推薦枠を持っているようです。

もう1つの内部推薦はいわゆるエスカレーター式で付属の大学に進学できるものですが、正直なところ東海地区で内部推薦が意味を持つのはギリギリ南山大学が入るかどうかぐらいなので、積極的に利用されるものではないです。(南山大学自体は良い大学ですが、いわゆる「全国的な難関大学」という扱いではないので…)

なお、厳しいことを言えば、愛知県の私立高校の上位校は中学から進学できる学校が多く、仮にこのルートから私立高校へ入ったとしても、指定校推薦を取れるような上位成績を取るのは厳しいです。
これは、私立高校の上位校は基本的には中高一貫校としてのカリキュラムが組まれており、高校1年の時点で半年、1年先の学習をしていることが多いためです。
そのため、高校からの入学組には非常に厳しい環境と言わざるを得ません。(もちろん、無配慮というわけではなく、高校1年時は別クラス、という学校もありますが、それでも厳しいことに変わりはありません)
近年は高校からの入学を停止している学校も増えています。

●メリットとデメリット
このルートのメリット、デメリットをまとめるとこんな感じでしょうか。

==メリット==

  • 学費が比較的安い
  • 小学~中学まで9年間ほぼ同じ友達と過ごせる

==デメリット==

  • 高校入試後、1-2年ですぐに次の大学入試に備える必要がある
  • 学力以外も問われる高校入試を突破する必要がある
  • 居住地により小中学校の環境や内申点を取る難易度に大きな差がある
  • 指定校推薦を狙うのが難しい

中学受験ルート


中学から私立に通う、というルートです。
詳細は別途書く予定ですが、愛知県では私立中学に通う生徒数の割合は5%程度(※1)となっており、やはりメジャーではない進路となっています。

※1の数は下記の数字より算出しています

愛知県の中学生の全生徒数:206,921人
愛知県の私立+国立中学の全生徒数:10,959人
(国立も入試があるため数に含めました)

引用元: 令和2年度学校基本統計速報

●費用
合計:971万円

内訳は下記の通りで、文科省作成の学習費調査から1万円以下を切り上げで算出しています。

  • 幼稚園:約65万円
    ※幼児教育は2019年から無償化が始まったので多少の差額はあるが公立の費用で統一
  • 小学校:193万円
  • 中学校:422万円
  • 高校(私立):291万円

引用元:文部科学省平成30年度子供の学習費調査の結果について

ただし、ここには中学受験費用は含まれていません。

●入試
このパターンの入試は以下のものがあります

【入試①:幼稚園入園試験】
一般的なルートと同じ入園試験です。
ちなみに、個人的な感覚として、幼稚園の時点である程度規則を守ることなどをしっかり教えてもらえる私立幼稚園に通ったほうが、下記の入学試験③の勉強を行う際にはスムーズに入れるような気がします。

【入試③:私立中学入学試験】
この試験は現在(2020年)の時点では国語・算数・理科・社会の4教科で選考が行われるものです。
現時点で選考には英語やプログラミングといった科目、実技科目は入っていませんが、一部英検2級等の上位資格を参考資料とする学校もあります。

当然、専門の塾に通う必要があり、名古屋の場合は4年生か5年生から塾に通う子が多いようです。
費用は塾によって異なりますが、6年生の1年間で100万円以上はかかるぐらいの出費は覚悟しておいた方が良いです。
(もちろん、もっともっと費用をかける、かかることもあります)

なお、メジャーな学校の例を出すと、
男子:東海、南山男子、名古屋中
男子:南山女子、愛知淑徳、金城、椙山
共学:滝、愛知
といった学校がメインになってくると思います。

【入試⑥:大学入試】
前述の通り、一般入試、指定校推薦、内部推薦のどれかの試験を受験して大学に進学することになります。
このルートの特徴として、中高一貫校に通うことが基本となるため、高校2年までにおおよその高校生のカリキュラムが終わっているケースが多く、大学受験対策に時間を使うことができる点が挙げられます。
もちろん、予備校に通わなくて良いというわけではないですが。。。

●メリットとデメリット
このルートのメリット、デメリットをまとめるとこんな感じでしょうか。
ほぼ中高一貫校に通うメリット・デメリットになっています。詳細は中学受験に触れる際に詳しく説明します。

==メリット==

  • 肉体的、精神的成長著しい中学3年生の1年間を有意義に過ごせる
  • 中学以後は居住地に左右されない学習環境・交友関係を築くことができる
  • 中学~高校まで6年間境遇の近い友達と過ごせる
  • 中高一貫校の場合は中学からある程度規模の大きな文化祭に参加できる等、勉強以外に学ぶべきことを学ぶ機会が多い
  • 中学と(指定校推薦を狙わない場合の)高校で実技科目にそこまで必死にならなくて良い

==デメリット==

  • 一般的なルートよりも費用がかかる(300万円以上多い)
  • 遊びたい盛りの小学校高学年での受験勉強は本人にも親にも負担がかかる
  • 中学入学以後も勉強が楽になるわけではなく、むしろ普段の勉強にかかる負担が増える
  • 愛知県の私立中学は共学校の選択肢が少なく、距離が遠いところに通うかレベルを落とす必要がある

小学受験ルート


小学校から私立に通う、というルートです。
詳細は別途書く予定ですが、愛知県では私立小学校に通う生徒数の割合は中学のケースよりも更に低く、1%未満(※2)となっており、相当レアな進路となっています。

※2の数は下記の数字より算出しています

愛知県の小学生の全生徒数:410,481人
愛知県の私立+国立小学校の全生徒数:2,783人
(国立も入試があるため数に含めました)

引用元: 令和2年度学校基本統計速報

なお、愛知県の私立小学校は下記3校しかありません。
・南山大学附属小学校
・椙山女学園大学附属小学校
・名進研小学校

●費用
合計:1,738万円

内訳は下記の通りで、文科省作成の学習費調査から1万円以下を切り上げで算出しています。

  • 幼稚園:約65万円
    ※幼児教育は2019年から無償化が始まったので多少の差額はあるが公立の費用で統一
  • 小学校:960万円
  • 中学校:422万円
  • 高校(私立):291万円

引用元:文部科学省平成30年度子供の学習費調査の結果について

ただし、ここには小学校受験費用は含まれていません。

●入試
このパターンの入試は以下のものがあります

【入試①:幼稚園入園試験】
これまでのパターンと同じ入園試験です。
小学校受験をする場合、毎日通って様々な習慣を身につけるという意味では、この幼稚園選びは重要だと思いますが、小学入試対策としては専門の塾に通うのは必須です。

【入試②:小学校入学試験】
私立小学校の入学試験はかなり特殊なものかつ、学校ごとに違ったものになっているので具体的に示すのは難しいのですが、

  • 長いお話の後にその登場人物の特徴にあった絵を選ぶ課題
  • お片付けや整頓等の普段の生活習慣を見る課題
  • パズルや迷路等の思考力を見る課題

といったものがあり、いわゆる計算問題や文字が書けるか否かを問うような課題は出ないことが多いようです。

そして最も特徴的なのは面接が親子で行われ、ここでの親の振る舞いが重要視される傾向にあるということです。
細かい話はここでは触れませんが、親も普段の生活を含め受験対策の勉強をする必要があります。

概ね年中頃から専門の塾に通って勉強し、受験することになります。

【入試③:私立中学入学試験】
意外かもしれませんが、一定数の私立小学校の生徒は外部の私立中学を受験します。
学校別に傾向は異なりますが、

  • 名進研小学校は中学がないので受験する子供がほどんどである
    (なお、名進研が作った小学校にも関わらず、中学受験のために学校とは別に塾に通う子供が多いそう)
  • 南山小学校は女子は愛知県最高峰ということもあり外部受験率は高くないが、男子は外部受験する子も多い
  • 椙山はそのまま中学へ進学する子が多い(7割程度)が、外部を受験する子もいる

といった感じです。

なお、内部情報のためはっきりした記事が出ているわけではないですが、南山小学校の場合はかつては希望者は全員持ち上がりで南山中学への進学を可能にしていたという話もありましたが、現在は中学校への内部進学の基準が厳しくなり、小学校の成績によっては持ち上がりで南山中学の女子部・男子部に進学できないケースもあるようです。

【入試⑥:大学入試】
ここは中学受験ルートと同様です。

●メリットとデメリット
このルートのメリット、デメリットをまとめるとこんな感じでしょうか。
なお、基本的に中学以後のルートは中学受験ルートと同じになるため、重複が多いです。

==メリット==

  • 金銭的なハードルが高いこともあり小学校から築ける人脈が将来役立つ可能性がある
  • 小学校から居住地に左右されない学習環境・交友関係を築くことができる
  • 小学校からセキュリティやカリキュラム、アフタースクール等がしっかりした整った学校に通うことができる
  • 肉体的、精神的成長著しい中学3年生の1年間を有意義に過ごせる
  • 一貫校の場合は小学校~高校まで12年間境遇の近い友達と過ごせる
  • 中高一貫校の場合は中学からある程度規模の大きな文化祭に参加できる等、勉強以外に学ぶべきことを学ぶ機会が多い
  • 中学と(指定校推薦を狙わない場合の)高校で実技科目にそこまで必死にならなくて良い

==デメリット==

  • 一般的なルートよりもかなり費用がかかる(1,000万円以上多い)
  • 私立小学校に入学したからといって中学進学に関わる苦労がなくなるわけではない(外部進学や受験の可能性がある)
  • 小学・中学入学以後も勉強が楽になるわけではなく、むしろ普段の勉強にかかる負担が増える
  • 愛知県の場合、小学校から大学まで私立での共学エスカレーターという選択肢はなく、途中で外部受験しない場合は必ず男女別学となる
  • 何らかの事情により中学から公立に通うことになた場合、学校に馴染むのに苦労する可能性がある

まとめ

いかがでしたでしょうか。
各ルートの費用の違いは
一般的なルート→中学受験ルートの差額が3-400万円+α(中学受験の塾代)
中学受験ルート→小学受験ルートの差額が800万円程度
となっており、この各差額とメリットを天秤にかけてどうか、というところだと思います。

どちらにしろ、このような選択肢があるということを早くから認識しておくと、
「実技科目が苦手なこの子には私立中学が合っていたかもしれないけどもう間に合わない」
といったような事態は避けられる可能性が出てきます。

特に、小学生~中学生の子供は周りの環境にかなり影響されやすいこともあり、どのような環境が適していて、どのような進路を取るべきかは慎重に考えるべきではないでしょうか。

皆様の参考になれば幸いです。


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