名古屋市(=愛知県)の公立高校の受験ルールから子育てについて考えるシリーズ第3回目です。
前々回は合否ルールについてご紹介し、
前回は学校選択についてご紹介しました。
今回は入試の特徴のまとめと子育て視点での考察を行いたいと思います。
愛知県の高校入試の考え方について
個人的には、愛知県の公立高校入試は
ミスのない器用な子を選抜する
試験であるように感じます。(全国の高校入試で同じかもしれませんが)
これは、前々回でも少しご紹介した内容ですが、
- 試験問題がミスの少ない子を選抜するようにできている
- 進学校でも内申点を占める割合が最低でも35%ある
というところから感じたことです。
ミスのない子が向いている入学試験
今回、改めて試験問題(こちら)を確認したのですが、傾向として
- 1教科22点満点のため問題数が少ない
- 問題自体の難易度が高くない
というのは間違いないと思います。
こういった難易度が低く、問題数が少ないテストの場合、1つのミスが致命的となります。
つまり、学力のレベルというよりは知識の幅広さとミスの少なさが問われるテストということです。
実技もそつなくこなす器用さが必要
さらに、内申点の約45%は実技科目です。
実技科目は
「音楽」「美術」「保健体育」「技術・家庭」
の4科目ですが、この科目についても内申点において、4以上をコンスタントに取らなくては上位校に進学するのは不可能です。
この実技は、筆記だけで成績がつくわけではないので、子供には間違いなく器用さが求められます。
内申点40点はどういうイメージかちょっと説明します。
仮に、実技でない5教科がオール5だったとして、合計25点です。
残りの15を実技4教科で取るとすると、オール4に近い成績を取る必要があります。
運動が得意でない子、音楽が苦手な子、美術センスが高くない子、色々な子供がいると思いますが、それでも「4」以上を求められるのです。
さらに、この器用さは実技以外でも求められるのです。
色々な意味での器用さも必要
さて、名古屋市の中学校の内申点のベースとなる成績は「絶対評価」となっていますが、名古屋市の中学校の「絶対評価」は「相対評価ではない」という意味で使われているに過ぎません。
絶対評価というと、
「ある一定の得点基準があり、基準を満たした場合は5、満たしていない場合はそれ以下…」
といったようなイメージを持つかと思います。
しかし、成績判断の状況として、
- そもそも成績がテストだけで判断されているわけではない
- 提出物の提出状況といった定量的なものだけでなく「授業態度」といった項目も評価対象
- 一部の学校を除いて評価基準は公表されていない
という現状があり、生徒側はなぜ自分の成績がそうなったのか全く分からず、付けられた成績が100%納得できるわけではない状況がしばしばあるそうです。
さらに、名古屋で学習塾長をされている方のブログにも内申点に関する気になる記述があり、
- 学校の先生は、学力以外も総合的に判断して、評価を+1または-1の幅で変更できる裁量があります。この判断基準や過程も非公開です。
- 忙しい部活に入っているという理由で、全科目の評定が全体的に底上げされるという、評価のハロー効果(本来は防止しなければならない)も散見されます。
- 総合的に現状をとらえると、「内申は学校の先生に気に入られたもの勝ち」という、一部の保護者様の間で広がっている噂が、単なる噂とも言えず、どうも正しそうです。
引用元: 個別指導学院ヒーローズ塾長ブログより
という指摘が入っています。
もちろんこれが100%正しいと言い切ることはできませんが、その他学習塾等をされている方のブログでも同様の意見が散見されており、やはり先生に気に入られる器用さは重要な要素ではないでしょうか。
特に実技科目は先生の趣向に合う、合わないというのもあるため、「実技でオール4以上」を獲得するためにはこういった器用さは必須です。
ちなみに、個人的な経験として、愛知県の公立高校の最上位校に進学した人から
- 各担当の先生の誕生日を知っているのは当然
- 3年生は絶対に先生に逆らえない
- 内申点の提出が終わると授業が荒れる
という話も聞いたことがあります。
(先生の誕生日のエピソードを聞いたときにはゾッとしました。。。)
学校間格差もある
こういった事情から、名古屋で子育てをする場合、
「教育熱心な学区は内申点の観点では不利になるかもしれない」
という事は常に頭に入れておく必要があります。
愛知県には沢山の公立中学があり、当然その環境によって学校間の学力差というものは存在します。
しかし、公立高校の受験における内申点で得点調整を行うなどの学校間格差の是正を行うといった公式発表はなされていません。
そのため、教育熱心な学区は内申点が取りにくい、というのは事実であり、越境入学者が多いような人気校の小中学校に通わせるという選択を安易にしてしまうのは危険です。
ただし、まだ精神的に成熟していない小中学生の子供は環境による影響を大きく受けるので、荒れた環境で小中学校の9年間も過ごす、というのも望ましいことではないように感じます。
長期的な視点で計画を立てる
じゃあどうすれば良いんだよ!というツッコミが入ってきそうですが、このシリーズを通して言いたいのは、
様々な選択肢を取れるように準備をしよう
ということです。
先程からご説明している通り、上位の公立高校への進学は「ミスの少なさ」と「色々な意味での器用さ」が求められるといった特徴的なものです。
こういった要素は子供の性格等で向いている、向いていないというのがハッキリと出ますし、各ご家庭の考え方とも合う、合わないはあるのではないでしょうか。
では向いていない子には上位校への進学は難しいのかといえばそうではありません。
もちろん、金銭的な負担のハードルはありますが、私立中学校、私立小学校という選択もあるのです。
正直なところ、以前よりは増えたとはいえ、名古屋では私立小中学校の受験は一般的ではありません。
しかし、この可能性について知っているのと知っていないのでは取れる選択肢の幅が大きく違ってきます。
例えば中学校から私立に通った場合、実技も含めてオール4や5を必死に取らなくてもそのまま高校へ進学出来ます。
そして大学入試は上位校であっても、必ずしも全ての教科ができることが求められるわけではありませんし、実技は推薦を取らない限り無関係です。
当然、このような私立学校へ進学しない(できない)、という可能性もあります。
そういった公立中学へ進学する可能性も考慮しつつ、住居選びや教育プランなどを考え、子供の性格や成長に合わせた最適な選択ができるよう、できる限り選択肢を増やすのが良いかと思います。
まだまだコンテンツは少ないですが、この将来的にサイトがこの長期プランの検討に役立つようになれるように頑張っていきます。
長文かつ少々偉そうな内容で恐縮ですが、皆様の参考になれば幸いです。
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