さて、先週以下の記事で愛知県の公立中高一貫校の最新情報についてご紹介しました。

今回はその補足として、
探究学習重視型(SSH)の学校の進学実績
をご紹介します。
具体的には、
- 一次導入:明和高校・半田高校・刈谷高校
- 二次導入:豊田西高校・時習館高校
の5校です。
データについて
進学実績データはいつも当サイトでご紹介している
「生徒100人あたりの合格数」
をグラフ化しました。
これは、”できる限り学校の規模による影響”を少なくするためです。
単純な合格数比較だと、生徒100人の学校と生徒500人の学校を正しく比較しているとは言えないので…
時期としては、
2022年4月に大学に入学するための試験
についての実績を使用しています。(つまり、現時点で作成できる最新のもの)
また、今回設置される公立中高一貫校は私立中高一貫校と比較検討されるケースも多いと思いますので、一貫校化される公立5校に加えて、
- 東海高校
- 南山高校女子部
- 滝高校
- 愛知淑徳高校
- 南山高校男子部
- 名古屋高校(中学受験組)
の進学実績と併せて可視化しています。(日能研R4偏差値が概ね50以上のところ)
高校名と併記している偏差値は全県模試の合格者平均偏差値で、高校から募集のない学校は空欄としています。
進学実績比較
ここからが本題です。
今回は、
- 東大+京大
- 旧帝大+一工
- 名古屋大
- 早慶上理
- MARCH
- 関関同立
の合格数を比較してみました。
国公立
東大・京大
まずは国内最高峰の東大+京大の合格数比較です。
引用元:以下の各校ホームページ公表値より作成。なお、名古屋中は説明会で配布された中学受験組のみの数値を使用。
明和/刈谷/時習館/半田/豊田西/滝/南山女子/愛知淑徳/南山男子
この区分の結果を簡単にまとめると、
- 公立5校間でも差が大きい
- 明和は東海高校以外の中高一貫校よりも良い実績
- 刈谷高校、時習館高校は中学受験時のトップ校である南山女子・滝とほぼ同等の実績
といった感じ。
やはり公立王国といわれるだけあって、上位公立高校は東海高校を除き中高一貫私立校と同等かそれ以上、という実績を残しているのが印象的でした。
その他旧帝大+一工
東大・京大以外の旧帝大と一橋大、東京工業大学の合格数比較は以下の通り。
なお、予め言っておきますが、東海等のトップ校は
「このカテゴリ以下はその学校のメインの志望校じゃあない可能性がある」
ことをご留意ください。
つまり、各カテゴリ単体だけ見ても優劣がつけられない、という事ですね。(以前、「早稲田はウチにとっては滑り止め以下!受験もしない!」といったような強いお叱りのコメントをいただきまして…)
引用元:以下の各校ホームページ公表値より作成。なお、名古屋中は説明会で配布された中学受験組のみの数値を使用。
明和/刈谷/時習館/半田/豊田西/滝/南山女子/愛知淑徳/南山男子
この区分の結果を簡単にまとめると、
- 公立校の強さが際立つ
- 明和はトップの実績で、それ以外の公立校も中学受験時のトップ校である南山女子・滝以上の実績がある
といった感じ。
基本的な傾向は東大・京大と似ていますが、半田・豊田西の実績もかなり良い点が異なりますね。
名古屋大
前のその他旧帝大+一工と重複しますが、名古屋大だけ切り出してみました。
引用元:以下の各校ホームページ公表値より作成。なお、名古屋中は説明会で配布された中学受験組のみの数値を使用。
明和/刈谷/時習館/半田/豊田西/滝/南山女子/愛知淑徳/南山男子
こちらの傾向は”その他旧帝大+一工”の結果とほぼ同等。
というか、かなりの割合を名古屋大学の実績が占めていた、という事がわかります。
以前ご紹介した地元志向の強さがここにも現れていますね。
難関私立大
関東・関西の難関私立大の合格数実績も比較してみました。
なお、各中高一貫私立校はこの難関私立大の推薦枠をある程度持っているので、実績比較をすると有利な面があることは頭に入れておいた方が良さそうです。
早慶上理
早稲田・慶應義塾・上智・東京理科の4校の合格数実績比較は以下の通りとなりました。
引用元:以下の各校ホームページ公表値より作成。なお、名古屋中は説明会で配布された中学受験組のみの数値を使用。
明和/刈谷/時習館/半田/豊田西/滝/南山女子/愛知淑徳/南山男子
この区分の結果を簡単にまとめると、
- 国公立と比較すると公立校の実績が控えめ
- 明和は私立トップ3校よりは若干落ちるものの、淑徳・名古屋寄りは良い実績を残している
- 時習館も他の公立校よりは良い実績を残している
といった感じ。
私立大学は校風に影響を受ける(国公立志向が強いか否か)部分も大きいので、どう解釈するか難しいところですが、数字上は中高一貫私立トップ校が優位、という結果ですね。
また、(失礼ながら)意外だったのは時習館高校で、比較的私立大の実績が控えめとなる公立校の中では愛知淑徳・名古屋といった難関校よりも上の実績となっています。
SSH+国際バカロレア導入を目標に掲げるだけのことはある、といったところでしょうか。
MARCH
明治大・青山学院大・立教大・中央大・法政大5校の合格数実績は以下の通りとなりました。
引用元:以下の各校ホームページ公表値より作成。なお、名古屋中は説明会で配布された中学受験組のみの数値を使用。
明和/刈谷/時習館/半田/豊田西/滝/南山女子/愛知淑徳/南山男子
この区分の結果を簡単にまとめると、
- これまでのカテゴリと比較して中学受験時の難関校(愛知淑徳・名古屋・南山男子)の実績が良い
- 時習館高校の実績の良さが際立つ
といった感じ。
ここでの注目は時習館高校で、指定校推薦枠がある可能性が高い中高一貫私立校とほぼ遜色ない結果を残しているところです。
これまでのカテゴリの結果でも傾向は見えていますが、基本的には公立校は私立志向が強くないのですが、もしかしたら時習館高校は他校よりも私立志向が多少強めなのかもしれません。
今回のグラフには載っていませんが、菊里高校も時習館高校と同様に私立志向が他の学校よりも強かったりしました。
関関同立
関西の難関私立大である、関西大・関西学院大・同志社大・立命館大の合格数実績は以下の通りとなりました。
引用元:以下の各校ホームページ公表値より作成。なお、名古屋中は説明会で配布された中学受験組のみの数値を使用。
明和/刈谷/時習館/半田/豊田西/滝/南山女子/愛知淑徳/南山男子
このカテゴリにおける公立校の実績は指定校推薦枠を考えると
“中高一貫私立高と同等かそれ以上”
と言って良いのではないでしょうか。
もちろん、東海・滝・南女(+明和も)あたりは「ここはメインターゲットではない」という感じである可能性が高いので、単純比較が難しいカテゴリではありますが、少なくともこの層の大学に入れる学力の持ち主はかなり多い学校である、という事は言えるのではないでしょうか。
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以上、今回は、
愛知県の公立中高一貫校 続報2 補足 -第1次、第2次導入校の進学実績-
についてご紹介しました。
学校を選ぶ際の判断基準は人それぞれで、今回のデータのみで進路を判断することは難しいと思いますが、判断材料の1つとしてご活用いただければと思います。
皆さんの参考になれば幸いです。










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