Twitterで少し先出ししましたが、今回は大手中学受験塾の合格実績推移についてご紹介します。
2月10日に概ね東海地区の中学受験が終了し、各大手塾の合格実績が揃ってきたので作ることにしました。
今回は男子校編です。
2023年分も含めた最新版を公開しました。
以下のリンクからどうぞ!

女子校編と共学校編は以下をご確認ください。


最近中学受験ネタばかりで申し訳ないですが、そういう時期、ということでご容赦ください…
今回の内容をまとめると以下のようになります。
- 長年No.1だった名進研が他3校の猛追を許しており、合格保証やSAPIXメソッド導入といった新施策の効果は未だ見えない
- 男子校においては日能研が2022年でNo.1の数字になり、傾向としても上昇傾向で好調である
- 浜学園は東海地区ではオーバースペックと言われていたが中堅校でも実績を伸ばしており要注目
- 馬渕教室は名古屋進出から日が浅いが、東海中でも順調に実績を伸ばしている
前提条件の注意点
合格者数が多い塾=優秀な塾ではない
今回のデータを出すか否かは非常に迷いました。
というのも、各塾の生徒数(受験者数)は非公表となっており不明、という状況のなかで、合格者数のみを出してしまうと誤解を生む危険性があるからです。
つまり、
「合格者数」という数字は各塾で同じ価値を持っているように見えるが、実際は展開している校舎数や生徒数が異なるため、その価値は大きく違う
というところが適切に伝わるか心配だった、ということです。
そのため今回は、以下の3点を充分ご留意いただけますと幸いです。
- 各塾の生徒数(受験者数)は大きく異なるため合格者数の数そのものの比較にあまり意味はない
- 上記の関係から、合格者数が多い塾=優秀な塾ではない
- 見るべきは推移の傾向で、合格者数が増加傾向か否かである
また、今回のデータ作成は、「各中学受験塾の合格者数の数字は1年間限定で公開され、次年度のテストが終わると消されてしまう」という状況に対して後年のためにデータを残す、という意味もあります。
柔軟な対応の有無と受験生から選ばれているかが大事
上記ポイントに「合格者数が増加傾向にあるか否かが大事」と書いていますが、これは、
- 刻々と変化する受験環境に対して柔軟な対応が出来ているか
- 受験生から選ばれているか(シェアを伸ばしている)
という事に繋がるためです。
というのも、各塾のカリキュラムが各校の合格に役立っているか・求められているものの変化に対応出来ているかどうかは、合格者数が伸びているか否か、というところが判断基準の1つになりますし、合格者数を伸ばすための母数(=受験生数)は受験生から選ばれないと伸びていきません。
以前、塾に年間支払う金額のイメージをまとめましたが、塾を選ぶ側も安い金額ではないことは分かっているので、それなりに調べた結果、ちゃんと理由があって選ばれている、と考えることが出来ますので、合格者数が増加傾向にあるか否かが大事だと考えています。
今回対象とする塾と学校
今回対象とする塾と学校は以下の通りです。
なお、推移を見るのは
2013年~2022年
の10年間としました。
ただ、2018年の名進研の合格者数データがどうしても見つからず、そこは破線でつなげています。
申し訳ございません。
対象とする塾
名古屋には中学受験塾が沢山ありますが、今回は大手とされる
- 日能研
- 名進研
- 馬渕教室
- 浜学園
の4つを対象としました。
各塾の特徴等をまとめるとかなり長くなってしまうのでそれはまた別の記事に回しますが、各校の2013年→2022年における名古屋市内の校舎数は以下のように変化しています。
引用元:各塾における以下のページの名古屋市内校舎数より作成
日能研/名進研/馬渕教室/浜学園
※浜学園は2013年2月にいりなか校が開校しているが上記校舎数からは除外している
※馬渕教室は2018年10月に名古屋進出
対象とする学校
今回は男子校編ということで、
- 東海中
- 南山男子
- 名古屋中
の3校を対象としました。
主要私立中学の合格実績推移
東海中
引用元:各塾における以下のページの合格者数より作成
日能研/名進研/馬渕教室/浜学園
※馬渕教室は2018年10月に名古屋進出
男子における最難関である東海中の合格実績は上記の通りとなりました。
東海中に対応したクラスは各塾が最も力を入れるところでもあるので、ハイレベル分野における各塾の実力が出るのではないかと思います。
ザックリとまとめると、
- 名進研の減少傾向に歯止めがかかっていない
- 名進研以外の3校は順調に合格者数を伸ばしている
- 特に馬渕の伸び幅が大きく今後に注目
といった感じです。
あまりネガティブな事は書きたくないですが、名進研は日能研はもちろん、浜学園や馬渕教室と比較すると厳しい結果となっており、特に2022年はSAPIXメソッド+合格保証(※)を導入して生徒を募集した1期生にも関わらず、数字として大きく伸ばしていない、というが少し気になります。
※名進研の最上位Sクラス認定者は南山女子・東海・滝の3校に合格できなければ返金するという制度がある
また、浜学園と馬渕教室は元々関西を中心に展開している塾で、
- 浜学園:2003年名古屋進出
- 馬渕教室:2018年名古屋進出
といった感じで、そこまで名古屋地区における歴史は長くないですが、順調に合格者数を伸ばしています。
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南山男子
引用元:各塾における以下のページの合格者数より作成
日能研/名進研/馬渕教室/浜学園
※馬渕教室は2018年10月に名古屋進出
東海に比べると合格者数の絶対数が少なく見えますが、これは大手塾以外が多いわけではなく、南山男子は東海に比べると募集数が少なく、さらに余剰合格者が少ない(定員以上の合格者をあまり出さない)事が関係しています。
ザックリとまとめると、
- 2022年に初めて日能研が名進研を抜いた
- 浜学園の伸びは特筆に値する
といった感じです。
南山男子は、長い間名進研がトップでしたが、2022年についに日能研と逆転しました。
また、個人的に驚いたのが浜学園の合格者数の伸びで、そもそも浜学園が厳しめの入塾試験がある関係から、東海中と同日入試が基本の南山男子を目指す層が少ない傾向にありました。(馬渕教室も同様の可能性が高い)
また、浜学園(と馬渕教室)は関西が母体である関係で、ベースとしての考えが灘中合格ということもあり、
「浜学園の算数は難しすぎて東海地区に合わない」
と言われていました。
東海中を目指すのであればハイレベルな算数は無意味ではないと思いますが、どちらかと言うと基礎問題がベース(※)となっている南山男子や後述の名古屋中でも合格者をキッチリと伸ばしているのは、浜学園において東海地区におけるノウハウが蓄積され、その成果が出てきているのではないかと感じています。
今後の動向が気になりますね。
(※中学受験は偏差値58をラインとして、それ以上の偏差値は応用問題が増え、それ以下の偏差値は基礎問題が多いとされる。)
名古屋中
引用元:各塾における以下のページの合格者数より作成
日能研/名進研/馬渕教室/浜学園
※馬渕教室は2018年10月に名古屋進出
こちらはやたらと合格者数が多いように感じますが、名古屋中は受験日程が比較的早い上、日程が被っている学校がなく、東海地区で中学受験をする男子の多くが名古屋中を受験する関係で、定員よりも大幅に合格数を出すためです。
基本的な傾向は東海や南山男子と同じですが、やはり注目すべきは、
環境が変化する中で合格者数を大きく伸ばしている日能研
ではないでしょうか。
以前ご紹介した通り、名古屋中は近年偏差値が上昇しており、難易度も上昇しているという変化が起こっています。
この変化に対して2019年より日能研が明らかに合格者数を伸ばしている、というところで対応力の高さが出ているのではないでしょうか。
その他、南山男子ほどではないですが、浜学園も合格者数を伸ばしています。
馬渕教室はデータが少ないのでこれからに注目ですね。
まとめ
冒頭の繰り返しになりますが、男子校における大手中学受験塾の傾向としては
- 長年No.1だった名進研が他3校の猛追を許しており、合格保証やSAPIXメソッド導入といった新施策の効果は未だ見えない
- 男子校においては日能研が2022年でNo.1の数字になり、傾向としても上昇傾向で好調である
- 浜学園は東海地区ではオーバースペックと言われていたが中堅校でも実績を伸ばしており要注目
- 馬渕教室は名古屋進出から日が浅いが、東海中でも順調に実績を伸ばしている
と言った感じです。
今回は以上です。
皆様の参考になれば幸いです。
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