今回は大手中学受験塾の合格実績推移の続きで、共学編とまとめです。
男子校編・女子校編は以下をご確認ください。


今回の内容をまとめると以下のようになります。
- 共学校も男子校・女子校と同様の傾向で、名進研の不調と他3塾の好調がハッキリと見える
- 東海・南山女子・滝の難関校は名進研の不調、他3塾の好調ぶりが最も早く、ハッキリと出ており、応用問題分野での対応力の差が出ているように感じる
- 愛知淑徳・南山男子・名古屋の中堅-難関校はトップ校ほどではないが傾向としては同様になっている
- 愛知・金城・椙山の中堅校、特に金城と椙山はまだ名進研の強みが残っており、基礎分野における優位性や中堅校におけるノウハウの蓄積を感じさせる
- 実績推移からも浜学園・馬渕教室のトップ校重視の傾向はハッキリと出ているが、浜学園は一部学校で変化の兆しも見えるため今後に注目
前提条件の注意点
本記事は各塾の合格者数推移を出していますが単純な数字の大小にはあまり意味がない、というところには注意が必要です。
前回細かく書いたので、詳細は割愛しますが、
というあたりはご留意いただけますと幸いです。
今回対象とする塾と学校
今回対象とする塾と学校は以下の通りです。
なお、推移を見るのは
2013年~2022年
の10年間としました。
ただ、2018年の名進研の合格者数データがどうしても見つからず、そこは破線でつなげています。
申し訳ございません。
対象とする塾(再掲)
名古屋には中学受験塾が沢山ありますが、今回は大手とされる
- 日能研
- 名進研
- 馬渕教室
- 浜学園
の4つを対象としました。
各塾の特徴等をまとめるとかなり長くなってしまうのでそれはまた別の記事に回しますが、各校の2013年→2022年における名古屋市内の校舎数は以下のように変化しています。
引用元:各塾における以下のページの名古屋市内校舎数より作成
日能研/名進研/馬渕教室/浜学園
※浜学園は2013年2月にいりなか校が開校しているが上記校舎数からは除外している
※馬渕教室は2018年10月に名古屋進出
対象とする学校
今回は共学校編ということで、
- 滝
- 愛知
の2校を対象としました。
本来、共学校はもう少し多いのですが、各塾の進学実績が揃っているのはこの2校だけでしたので、この2校となりました。
主要私立中学の合格実績推移
滝中
引用元:各塾における以下のページの合格者数より作成
日能研/名進研/馬渕教室/浜学園
※馬渕教室は2018年10月に名古屋進出
各中学受験塾の滝中学における合格実績は上記の通りとなりました。
東海地区では男子校の東海、女子校の南山女子と並ぶ難関校の滝ですが、傾向は他の難関校と同様になっています。
ザックリとまとめると、
- 2013年時点では日能研に対して倍近くの差をつけていた名進研の合格者数が顕著に減少している
- 名進研の2022年合格者数の落ち込みが特に大きく、合格保証制度を入れた1期生の結果としては寂しい結果
- 日能研と浜学園は順調に合格者数を増やしており、特に校舎数を考慮すると浜学園の伸びが大きい
- 馬渕教室も2022年の合格者数の伸びが大きく、今後に注目したい
といった感じです。
まとめの項目で詳しく触れますが、難関校の傾向はどこも似たような形になっていることが特徴的です。
愛知中
引用元:各塾における以下のページの合格者数より作成
日能研/名進研/馬渕教室/浜学園
※馬渕教室は2018年10月に名古屋進出
各中学受験塾の愛知中学における合格実績は上記の通りとなりました。
愛知中は受験日程が早めに組まれている事や、特待生認定が得られるかどうかで今後の受験の指標ともなるため、受験する生徒が多く、学校側も合格者数を多く出す関係で、各塾の合格者数も多く出ています。
ザックリとまとめると、
- 名進研の合格者数が4割減少しており、難関校と似たような傾向
- 日能研は合格者数を倍以上に増やしており、減少している名進研と完全に逆転した
- 浜学園はあまり伸びていなかったものの、2022年の合格者数は顕著に増加しており、今後もこの傾向が続くか要注目
- 馬渕教室も合格者数を伸ばしてはいるものの浜学園ほどではない
といった感じです。
こちらも後で触れますが、似たような偏差値の金城、椙山とは若干傾向が異なり、名進研⇔日能研の逆転が2019年-2020年にかけて起こっていますね。
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まとめ
難関校の傾向
概ね日能研R4偏差値が60前後の「難関校」と言われる
- 南山女子
- 東海
- 滝
のグラフをまとめると以下のようになりました。
引用元:各塾における以下のページの合格者数より作成
日能研/名進研/馬渕教室/浜学園
※馬渕教室は2018年10月に名古屋進出
大きな傾向としては似通っており、
- 2倍以上の差があった名進研⇔日能研の合格者数が2019年には逆転しており、最も早い時期に明暗が別れている
- 教室数の関係で絶対数は多くないものの、浜学園と馬渕教室も合格者数を大きく伸ばしていて好調である
- 逆転後は日能研差を広げ、浜、馬渕の猛追もあり、名進研の傾向としては厳しい状況が続いている
といった感じです。
ただ、東海中はのみはまだ名進研の減少傾向が多少和らいでおり、来年どうなるか注目です。
繰り返しになりますが、2022年は名進研は関東の超難関校向けの塾であるSAPIXのカリキュラムを取り入れた1期生であり、かなり勝負の年だったことは間違いないと思いますが、結果は上記の通りでした。
SAPIX関連は名進研もかなり推しており、下記の通りホームページには特別ページと対談動画まで用意しています。
引用元:名進研ホームページより
また、SAPIXのカリキュラムを取り入れたSクラスの実績も合格実績のページに記載されており、
Sクラスが設置されている八事校のSクラス生は東海・南女・滝のどれかに全員合格した
という触れ込み通りの結果を出したようです。
引用元:名進研ホームページより
上記の通り実績も積み上がってきており、今後細かな調整により合格者数が大きく伸びる可能性も充分あるため、今後どう変化していくか注目です。
中堅~難関校の傾向
概ね日能研R4偏差値が50前後の中堅~難関校である
- 愛知淑徳
- 名古屋
- 南山男子
のグラフをまとめると以下のようになりました。
引用元:各塾における以下のページの合格者数より作成
日能研/名進研/馬渕教室/浜学園
※馬渕教室は2018年10月に名古屋進出
大きな傾向としては難関校と同じです。
異なる点を挙げると、
- 名進研⇔日能研が「完全に逆転した」と言えるようになったのはここ1-2年
- 浜学園・馬渕教室は難関校ほど合格者数を伸ばしていない(南山男子以外)
といったところでしょうか。
生徒数(=選択肢に入れる人)が多い名進研と日能研の実績はこのカテゴリでは難関校よりも合格者数の逆転が遅いですが、その理由として可能性があるものとしては
- 成績上位の生徒はすぐに日能研に流れたが、この層の生徒流出は遅かった
- 上位クラスが関東・関西の超難関校受験を見据えたカリキュラムになっている日能研は、東海地区のこの層の学校への適応が遅れた
のどちらかだと思います。
また、南山男子の合格者数において、2022年に浜学園が数字を大きく伸ばしているのは、男子校分析の記事で、少し触れた「地区に対する適応が進んだ可能性」以外にも、
「名古屋中に合格できず、東海ではなく南山男子に流れた生徒が多かった」という可能性があるため、来年どうなるか注目です。
上記の南山男子の除けば、やはり浜学園と馬渕教室は入塾試験が比較的厳し目に設定されている事からも見える通り、難関校(東海地区で言えば南山女子・滝・東海)を狙う塾であり、このレベルの学校をメインで狙う層は多くないのではないかと思われます。
前にも少し書きましたが、この層の学校は「見るからに難問」というよりは「基礎~基礎をベースにした少しひねった問題」が出やすい傾向にあるため、普段からどういった問題を解いているか、という影響を受けやすいと思います。
そういう意味では、塾がこの層の学校を意識したカリキュラムになっているか否かは難関校よりも出やすいと思うので、合格実績の推移を参考にする意味は大きいと個人的には思います。
中堅校の傾向
概ね日能研R4偏差値が40-50前後の中堅校である
- 愛知中
- 金城学院中
- 椙山女学園中
のグラフをまとめると以下のようになりました。
引用元:各塾における以下のページの合格者数より作成
日能研/名進研/馬渕教室/浜学園
※馬渕教室は2018年10月に名古屋進出
大きな傾向としては同じですが、他のカテゴリと最も異なるのは、
「名進研がトップを保っている」
というところだと思います。
これは、中堅-難関校のところでも書きましたが、もしかしたら中堅校の問題傾向と基礎領域に対する対応力は名進研の方が一枚上手の可能性があります。
ただ、傾向としては追いつかれつつありますし、なにか大きな変化がなければ難関校等の傾向と同様、日能研に追い抜かれてしまう可能性は高いと思います。
浜学園、馬渕教室に関しては、馬渕教室はそもそも椙山の結果を公表していないですし、浜学園も大きく数字を伸ばしていない事から、前述の通りこの層の学校はメインターゲットにしていないのだと思います。
愛知中はどちらかと言うと中堅~難関校の傾向に近いですが、これは偏差値的にも若干ではありますが他2校よりも高いので、そのあたりが影響しているのではないかと思います。
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全3回に渡って中学受験塾の合格実績がどう変化したかまとめましたがいかがでしたでしょうか。
個人的には予想以上に名進研⇔日能研の逆転が急速に起こっており、浜・馬渕といった関西系の塾の合格実績の伸びも大きかった印象です。
本記事は年1回ですが、今後も定期的にまとめる予定です。
今回は以上です。
皆様の参考になれば幸いです。
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