名古屋人の地元志向の強さと生活について part2 -生活の豊かさ-

さて、結構間があいてしまいましたが、今日は以前ご紹介した、「名古屋人の地元志向の強さと生活について」のPart2として
「実際に他の地区と比べて生活水準等は他県と比べてどうなの?」
というところをご紹介します。

前回記事はこちらからどうぞ。

名古屋人の地元志向の強さと生活について part1 -地元志向の強さ-
名古屋人の地元志向の強さについて、大学の進学状況(県内進学、県外進学割合)や就職希望地域から、巷で言われている事が正しいのかを確認してみました。

前回、統計データからも名古屋人は地元志向が本当に強い、という事が統計からも分かりましたが、
「名古屋から離れなくても他県と遜色のない暮らしができるのか?」
といった事が分かると思います。

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世帯年収の比較

いきなりド直球ですが、やはりまずは先立つものがないと…という事で、
「名古屋に住んでいる人の収入」について調べてみました。

なお、分析で使用している「中央値」については馴染みがない方も多いかと思いますので、最下部に補足説明を入れておきました。

データについて

今回は主要政令指定都市+東京23区の各区における世帯年収の中央値を算出して調べてみました。
なお、データは「住宅・土地統計調査」という統計調査にて公表されている各市区町村毎の世帯年収データを使用して算出しました。
(分布から中央値を算出する際は按分比例で算出)

名古屋の世帯年収はどうか?

算出してみた結果は以下の通りです。

少し分かりづらいですが、

  • 黒い●:それぞれの政令指定都市の各区の世帯年収中央値
  • 赤い:各政令指定都市全体の世帯年収中央値

でプロットしています。
さらに、イメージをつけやすくするために、上記プロットの最大値と最小値を四角で囲い、その都市の世帯年収幅を強調しました。

政令指定都市+東京23区の世帯年収中央値

引用元:2018年住宅・土地統計調査より作成

結果、流石に関東一極集中が進んでいるため一都三県の巨大都市と比較すると見劣りしますが、それ以外の都市と比較すると名古屋市は頭一つ抜けています。
さらに言えば、東京、横浜の突出している4区(東京都千代田区、東京都中央区、横浜市都筑区、横浜市青葉区)を除外すると、ヒト、モノ、カネが集められている関東圏の都市と遜色ない水準であるのは誇って良い結果と言って良いと思います。

上記の事から、
名古屋市から出なくても関東圏と遜色ないレベル収入水準を得ることは可能
と言えるのではないでしょうか。

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都道府県別の経済的豊かさの分析結果

これは、2021年に国土交通省で行われた
国土の長期展望専門委員会
にて、分析・提出された資料に入っている指標です。

色々と複雑な計算等が絡むので説明が難しいのですが、簡単に言えば、

  • 豊かさは年収(収入)だけで判断されるものではないだろう
  • 地方毎に物価や生活費が異なるので可処分所得を要素に入れる
  • 都市部は通勤等の移動が長く、その分の機会損失を考慮に入れるべき

という考えで算出されたものです。

具体的には、都道府県別に中央世帯(※1)の可処分所得から各都道府県の生活費(※2)と引いて、さらに通勤の機会費用を引いた金額を「豊かさ」と定義して比較したものです。

※1:中央世帯とは、各都道府県ごとに可処分所得の上位40%~60%の世帯
※2:「食料費」+「住居費」+「光熱水道費」

1.都道府県別可処分所得

可処分所得、つまり
「自分で自由に使える手取り収入」
を都道府県別に見ると、以下のようなランキングとなっています。

なお、この計算では突出して数字が高かったり低かったりする人の影響を軽減する方法として、前述の中央値を使うのではなく、中央世帯、つまり可処分所得の上位40%~60%の世帯の平均値を使っています。

都道府県別中央世帯の可処分所得ランキング

引用元:国土の長期展望専門委員会(第13回)資料より作成

上記の通り、愛知県は40.4万円で6位となっており、全国でも上位の水準です。
グラフで緑色になっているのは、大都市(東名阪+福岡札幌広島仙台)を有する都道府県ですが、そこだけを比較しても愛知県がトップです・

2.都道府県別基礎支出

基礎支出は、各都道府県別に
「食料費」+「住居費」+「光熱水道費」
を足し合わせたものです。

つまり、物価が高かったり、家賃が高かったりする場合はこれが高くなるわけで、収入が多くてもこの数字が高いと、教育費や旅行費用など、最終的に自由に使えるお金が少なくなる、というわけです。

これは少ないほうが良いので、少ない順に上位のランキングとしています。

都道府県別生活費ランキング

引用元:国土の長期展望専門委員会(第13回)資料より作成

上記の通り、愛知県は15.9万円でそこまで高い順位ではないです。
注目すべきは1都3県の生活費で、下位を見ると43位以下(首都圏+京都)の支出額がそれより上位と比較して差が大きく、やはり1都3県の生活費は高い、というのが現れていると思います。

3.自由に使えるお金

これまでに出した可処分所得から基礎支出引いて、
「自由に使えるお金の多さ」
をランキングにすると以下のようになります。

都道府県別フリーキャッシュランキング

引用元:国土の長期展望専門委員会(第13回)資料より作成

結果として、愛知県は愛知県は24.5万円で7位となっており、全国でも上位の水準で、緑色の大都市を有する都道府県と比較するとかなりの差があります。

この時点で、愛知(名古屋)は「自由に使えるお金」という観点で全国でも上位、大都市という括りで考えると相当恵まれている環境である、と言えるのではないでしょうか。

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4.通勤時間による機会損失の数値化

上記の結果だけでもかなり興味深いのですが、「国土の長期展望専門委員会」では上記の自由に使えるお金という要素に加え、
「大都市の通勤時間の長さによる損失を数値化できないか?」
というもう一歩踏み込んだ分析をしています。

簡単に言えば、通勤時間が長いと家族の時間や他に使える時間が減るので、「豊かさ」を考える際にはその損失を考慮に入れるべき、という考え方です。

これは細かい計算は複雑なので割愛しますが、

  • 都道府県別通勤時間
  • 1ヶ月当たり出勤日数
  • 都道府県別1時間当たり所定内給与

をかけ合わせて、通勤時間というものの損失金額を出している、というイメージです。

この都道府県別損失額は以下の通りになっています。

都道府県別通勤時間による機会損失ランキング

引用元:国土の長期展望専門委員会(第13回)資料より作成

当たり前と言えば当たり前なのですが、やはり大都市であればあるほど通勤時間は長くなるので機会損失金額も大きくなります。
(グラフでも緑色の大都市を有する都道府県の順位が低い)

しかし、やはり関東圏が突出して高いのは行き過ぎた集中の弊害が現れた結果ではないでしょうか。

5.経済的豊かさ

「国土の長期展望専門委員会」では経済的豊かさを、
3.で算出した”自由に使えるお金”から4.で算出した”通勤時間による機会損失”を引いたもの
と定義しています。

イメージが掴みづらいので愛知県の例だとこんな感じです。

経済的豊かさのイメージ

可処分所得から生活費と通勤時間による損失金額を引いて「豊かさ」を算出する

少し「この結果を出すために数字をいじくり回した結果」という印象が否定できない分析ですが、とりあえずこの計算を全都道府県で実施した結果は以下の通りです。

都道府県別経済的豊かさランキング

引用元:国土の長期展望専門委員会(第13回)資料より作成

やはり通勤時間の関係で”自由に使えるお金”の場合よりも順位は落ちましたが、それでも愛知県は全国14位、緑色に塗られている大都市(東名阪+福岡札幌広島仙台)を有する都道府県ではトップです。

まとめ

これまでの結果から、愛知・名古屋の収入・生活については以下のことが言えるのではないでしょうか。

  • 収入面では突出したして高いエリアを除外すれば関東圏と遜色ないレベル収入水準を得ることは可能
  • 中央世帯の可処分所得は全国でも上位で大都市を有する都道府県ではトップ
  • 生活費や通勤時間の長さによる損失は大都市のためそれなりに高いが、他の大都市よりは抑えられている
  • 総合的に考えた「経済的豊かさ」では全国トップクラスの水準を誇る

つまり、
生活水準・豊かさは全国でも上位なので、地元から出なくても充分良い生活ができる!
と言えるのではないでしょうか。

以上、今回は
名古屋人の地元志向の強さと生活について part2 -生活の豊かさ-
をご紹介しました。

皆様の参考になれば幸いです。

(補足)中央値について

こういう年収比較だと、「平均値」がよく使われますが、格差が広がっていると言われている現状では正しい比較にならない可能性もあるので、今回は「中央値」を採用しています。

中央値は馴染みがないので、中央値と平均値のイメージを作ってみました。

まず、仮に住民が単身者7人の村があったとして、各住民の年収が以下の通りだったと仮定します。

平均値の場合、この7人の年収をすべて足して、人数(7人)で割る事になります。
7人の年収合計は5,100万円なので、
平均値は5,100÷7≒約729万円
となります。

上記の通り、平均値は誰も居ない場所になっており、個人的にはこの数字がこの村の収入を表しているとは思えません。

中央値の場合は、収入の高い順に並べてちょうど半分の人数の場所が中央値、という事になります。
今回の場合はDさんですね。

格差が大きい場合は中央値を使ったほうが、その集団のイメージをつかむためには適していると思うので、前半の分析ではこの中央値を使っています。


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