某連載記事を書いていて、
「明和中(愛知県の公立中高一貫校)の情報をまとめた記事って無いんじゃあないか?」
ということに気づいたので、2023年末までに発表された内容をまとめる事にしました。
なお、この記事は2024年1月12日時点の情報をまとめたものです。
最新情報は必ず以下の愛知県教育委員会のHPをご確認ください。
学校について
今回一貫校化される学校とその方向性、開校時期、通学可能エリア等をまとめると以下のようになります。
以下に各項目の補足説明を書いていきます。
なお、上記以外にも外国にルーツがある生徒向けにも豊田市の衣台高校が一貫校化される予定ですが、こちらは上の枠組みとは少し異なり、「連携型」で2025年~2026年の開校を目指して調整していくとのこと。
豊田市にはかつて外国にルーツがある生徒向け・帰国学生向けに”南山国際高校”という私立中高一貫校がありましたが、2023年3月31日で閉校となっています。
余談ですが、私が学生の頃、南山国際の生徒との学校間交流を行う機会があり、話をしたことがあります。(もう何十年も前の話ですが…)
話をしてみて学校のルールや生徒の雰囲気は通常の(日本の)学校とは全く異なる印象を持ちました。
このあたりを考えると、こういう取り組みは非常に大事だと思います。
開校時期について
開校時期は第一次導入と第二次導入の2期に分かれています。
それぞれの開校時期は
- 第一次導入校:2025年4月開校
- 第二次導入校:2026年4月開校
となっており、入学試験は開校3ヶ月程度前に行われるようです。
なお、開校時期だけだと分かりづらいですが、それぞれ対象になるのは
- 第一次導入校:2012年4月2日以降に生まれた生徒
- 第二次導入校:2013年4月2日以降に生まれた生徒
と書くとイメージしやすいでしょうか。
名古屋で注目度の高い明和中は第一次導入校なので、2025年4月開校、2012年4月2日以降生まれであれば受験可能です。
通学エリアについて
今回の公立中高一貫校は愛知県に住んでいればどの学校も受験できるわけではありません。
これは、今回一貫校化される高校の多くは通うことができるエリアが限定されており、それを崩すと混乱が生じるから、という理由のようです。
つまり、高校受験時の制約がほぼそのまま適用され、
- 尾張地区
- 三河地区
の2エリアの概念が公立中高一貫校でも導入される事になります。
尾張地区と三河地区のイメージおよび各校の位置関係は以下の通りです。
なお、津島高校と愛知総合工科高校の2校は、高校受験時にエリアの制限がない学科がベースとなっているため、愛知県に住んでいれば誰でも受験する事が可能です。
しかし、上のマップの通り、三河地区の東側から通うのはかなり辛い位置関係ですね…
タイプについて
上の表でご紹介した11校は大きく分けて以下の5つのタイプに分かれています。
(※分類名の一部は名古屋子育て情報局で独自に命名)
- 探究学習重視型(SSH)
- 探究学習重視型(グローバル)
- 探究学習重視型(SSH+グローバルの一部)
- 不登校対象
- 高度ものづくり
このあたりの話は以下の記事に詳しく書いていますが、以下にざっくりとした説明を書いておきますね。

探究学習重視型(SSH)
これは最もわかりやすく、高校でSSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定されている学校がこのタイプになっています。
方向性的には、いわゆる”探究学習”を中心に行い、中学生のうちから必要であれば高校の分野も含めた「深い」学習をする、という感じ。
名古屋で注目度が高い明和中はこのタイプです。
教科学習としては、
- 少人数・習熟度別指導を導入
- 中学校と関連深い高等学校の内容に中学校段階から触れる
- 探究を深めるための先取りは行うが、大学受験に特化した先取りはしない
という説明がなされており、教育委員会はあまり好きな表現ではなさそうですが、最も大学受験に向いているタイプです。
上記内容は言葉だけだとイメージが掴みづらいですが、導入方針案では以下のような図が添付されていました。
引用元:愛知県 中高一貫教育導入方針(案)より
なお、
「SSH指定校だから理数系に力を入れるのかな?」
と思っていたら、明和中は理系重視じゃあないという事が分かっており、SSHの”科学技術や理科・数学教育を重点的に行う”という点と矛盾しているのがちょっと気になるところ。
明和中では”リベラルアーツ”が掲げられており、「文理融合の探究的な学び」を重視する方向性で、実際に中1で通常よりも増やされている授業は音楽・美術・総合の3科目だったりします。
探究学習重視型(グローバル)
このタイプの学校で実施される探究学習は
「国際バカロレア」
がキーになっており、この内容を踏まえた探究的な学びを実施するようです。
ちなみに、「国際バカロレア」という言葉は具体的な内容はイメージし辛いと思いますが、少なくとも導入方針案では以下の通り説明が入っており、これが愛知県が伝えたい”国際バカロレア”のイメージのようです。
課題論文、批判的思考の探究等の特色的なカリキュラム、双方向・協働型授業により、世界 150 以上の国・地域の 5,000 校以上で実施。
高校レベルのディプロマ・プログラム(DP)で、国際的に通用する大学入学資格(IB 資格)を取得し、その成績によって世界の大学への入学が可能となる。
なお、国際バカロレアの導入イメージは以下のような図で説明がなされています。
引用元:愛知県 中高一貫教育導入方針(案)より
ちなみに、分かりやすいメリットとしては、このタイプの学校を卒業した場合「国際バカロレア入試」の受験資格を得られるところ。
実は国公立大や有名私立大でも「国際バカロレア入試」を行っているところがあり、例えば国立だと横浜国立大学、私立だと慶応やICUなどが実施しています。
なお、「国際バカロレア」に認定されている一条校(いわゆる一般的に「学校」と称されるもの)は日本に60校程度しかなく、愛知県だと名古屋国際中・高のみです。
そう考えると、「国際バカロレア入試」が選択できるのは希少価値があるのではないでしょうか。
探究学習重視型(SSH+グローバルの一部)
これは時習館高校のみが該当します。
愛知県の分類的にはSSH型ですが、「中学校・高校への国際バカロレアの導入を目指す」という記載があり、後述のグローバル探究実施校の内容も取り入れられる方向性のようです。
計画通りに進めば、
SSHタイプの探究学習を行いつつ、IB資格を得て国際バカロレア入試の受験資格を得られる
という美味しいとこ取りの内容になりそうです。
(詳細が発表されていないのでなんとも言えませんが…)
不登校対象
このタイプは掲げられている表題の通り、不登校児を対象とした学校。
入試はなく、併設中学校への学校体験や本人・保護者との面談で入学が決まります。
教育内容として発表されているのは
- 他県の「不登校特例校」の事例を参考にして今後検討
- 高校では、学び直し、少人数、個に応じた指導、通級による指導を導入
- 通信教育による単位認定や、メタバース・VRを活用した教育支援も検討する
といった感じで、まだ検討段階のようです。
なお、通学出来るのは「尾張学区」に住んでいる生徒のみとなっています。
高度ものづくり型のプラン
このタイプは第二次導入から開校されるプランのため、詳細が発表されていませんが、教育の内容イメージとして、
- デジタルトランスフォーメーションをリードする人材を育成するのが目標
- 中学校ではAIやデータサイエンスを体験的に学び、コンピュータサイエンスへの興味・関心を高める
- 高校では、1年後期からAIやIoTについて専門的に学び、2-3年ではデータサイエンスに取り組む
といった事が想定されているようです。
取り組み例や6年間のイメージも以下の図が公表されています。
引用元:愛知県 中高一貫教育導入方針(案)より
なお、この学校には「県内全て」が通学区域として指定されているため、愛知県に住んでいれば、尾張地区、三河内区問わず進学することが可能です。
場所も星ヶ丘駅~東山公園駅の間でアクセスも悪くなく、名古屋市内から通いやすいと思います。
愛知県は産業が強い地区であることを考えると、個人的にはこの分野に注力する学校が出来るのは非常に好ましく思います。
贅沢を言えるのであれば、どちらかというと千種高校等の上位~トップ校で導入した場合どうなったのか、というのを見てみたかった気がします。(人気が高まりそう)
入学者選抜(入試)について
このパートでは、第一次導入校の説明会で話された内容をベースにまとめています。
第二次導入校では変更があるかもしれないのでご注意ください。(特に探究学習重視型以外の学校は注意)
募集人員・出願資格
募集人員等については以下の通りとなっています。
- 各校80人を募集
- 男子40人、女子40人というわけではない
- 愛知県立附属中学校は1校のみ志願可能(例えば、明和中半田中の両方を志願するのはNG)
- 私立中との併願が可能
各校80人、というのは注目度を考えるとかなり少ない人数だと感じています。
私立中との併願が可能なのは地味ながらサプライズで、合格したら絶対に入学しなければならない名大附とは違う方向性です。
ただ、”入学手続きを行った後の辞退は不可”という制約はあり、後述の入試日程の事を考えると
明和中に受かった後、南山女子や東海中の結果を待ってどちらに行くか決めるというのは事実上難しい可能性が高い
と思います。
そうなると、第一志望は東海・南山女子、第二志望は明和というパターンは難しくなりそうです。
入試の方法
入試は2段階選抜となっていて、
- 一次選抜:学力試験
- 二次選抜:面接
という形で進められます。
ポイントは、一次選抜の学力試験で定員の2倍(160人)程度まで絞られる、というところ。
この形式を採用している都道府県は非常に少ないそうです。
一次選抜について
一次選抜についてざっくり書くと、
- 全問選択式
- 適性検査は45分x2時限で実施
- 小学校で学習した範囲内(英語はなし)
- 複数の教科を組み合わせた複合問題が出る
- 知識・技能を単純に問うのではなく、思考力・判断力・表現力を測る形式
- 他県のように、短い時間で相手に理解してもらう「記述力の高さ」を問う事はしない
→作文や記述問題を排除した全問選択式を採用 - マークシートとするかは検討中
- この方式で思考力や判断力・表現力をより純粋に測る事ができると考える
という感じ。
やはり全問選択式である、というところが一番のポイントだと思います。
なお、既にサンプル問題は公表されており、そのあたりのお話は以下の記事にまとめています。

既述の”160人程度まで絞る”というところと併せて考えると、サンプル問題よりもかなり難しい内容になる可能性が高いです。
完全に根拠レスな個人的予想ですが、難しくするといっても限度があるので、方向性的には”難しい問題が解ける子”よりも”取りこぼさない子”が有利になるような気がしますね…
やっぱり何度考えても選択問題で表現力を測る、というのは意味不明です…
二次選抜について
こちらも簡単にまとめると、
- 事前提出した志願理由書の内容を踏まえて出題
- 体験をベースにした「振り返り型」面接
- 志願理由書に書いた体験や通知表の写しをベースに色々な観点から話を聞く
- 内容によっては、より突っ込んで質問することもある
- 集団面接ではなく個人面接で15分程度使った長めの面接を予定
- 最終合格者は1次検査の結果も含めて総合的に判断する
という感じ。
まだ細かい記載内容は公表されていませんが、事前提出する志願理由書が非常に大事になりそうです。
なお、面接では以下の点を重視すると話がありました。
- チェンジメーカーや探究学習にとって重要な資質があるか
- 受験校の方針やカリキュラムを理解しているか
- 6年間探究的な学びを続けられる意欲があるか
- 志望動機
「受験校の方針やカリキュラムを理解しているか」については、学校からの情報発信を漏らさずカバーすることが大事になりそうですね。
調査書について
公立中高一貫校でよく話に挙がる調査書ですが、
「通知表の写しでOK」
という事が決まっています。
前述の通り、これは面接の参考資料や最終合格者決定の際の要素のひとつとしてつかわれるようです。
説明会では
「学校の普段の様子を知るには調査書よりも通知表の写しのほうが良いと思った」
的な説明がありましたが、逆のような気がするのは私だけでしょうか…
正直に中高一貫校導入検討会で学校側からの反発があったって言えば良いのに…
入試日程
一期生の入試日程は既に発表されており、以下の通りとなっています。
【1次選抜】
試験日 :2025年1月11日(土曜日)
合格発表:2025年1月15日 または 16日
【2次選抜】
試験日 :2025年1月18日(土曜日)
合格発表:2025年1月23日 または 24日
私立中高一貫校との併願を考えると、それぞれ以下のような日程が想定されます。
この想定が正しいとすると、
県外早期受験校および名古屋女子の試験日程が被る
という事になります。
実際、名電中の説明会で上記の公立中高一貫校との日程被りについて確認したところ
「名電中入試は明和中学と日程は被らない予定」
とコメントをいただけたそうです。
(フォロワーさんから情報提供いただきました)
まだ公開情報ではないので確実じゃあないですが、これは非常に貴重な情報で、
少なくとも名電中の方針としては明和中学と併願可能にする
という意志を持っており、上で紹介した想定スケジュールになる可能性が高まったと言えます。
その他の情報
明和中関係の補足情報(教育方針等)
明和中は新校舎の工事が遅れる事がアナウンスされており、
- 新校舎は2027年4月供用開始
- 音楽棟は2026年6月供用開始
という新たなスケジュールの紹介がありました。
新校舎が完成するまでは仮設校舎で授業等を行うそうですが、以下のような話も発表されています。
- 部活は限られたスペースで制約があるなかで実施する
- 工事期間中の体育祭や部活動の一部は外部施設を使うことを検討
- 仮設校舎は冷暖房は完備
なお、中高一貫校の魅力のひとつとして
「高校受験が無いので好きなこと(部活)に没頭できる」
というのがありますが、現時点で部活動がどうなるかは未定だそうで、私立中高一貫校で人気が高く、明和高校にも存在している”硬式テニス部”が中学にもできるのか?みたいな話は続報を待つ必要があります。
その他、明和中の教育方針については説明会で少し詳しい内容が案内されました。
前のパートで触れていますが、明和中は
「リベラルアーツをキーワードとした文理融合の探究的な学び」
というのが軸に据えられています。
SSH対象校だからといって理系重視の教育ではなさそうなので、そのあたりは頭に入れておいた方が良いかも。
明和中の教育方針等が話された説明会については、以下の記事で書き起こしに近い詳細レポートを書いているので、ご興味があればどうぞ。

各校の大学合格実績について
今回中高一貫校化が決まった学校は県内でも上位の学校が多いです。
今回の一貫校化される予定の学校の大学合格実績と、私立中高一貫校の大学合格実績を比較すると以下のようになります。
なお、今回のデータについては、以下の点が注意点となっておりますのでご留意いただきご確認ください。
- 時習館、名大附以外は各校のHPにて公表されている数字を使用
- 時習館、名大附はサンデー毎日増刊の数字を使用
- 100人あたりの数字を算出するベースとなる卒業生の数は、公立校の場合詳細な人数が不明のため、各校の”普通科”の募集人数としている
各校のHPは以下の通りです。
東海中→こちら
滝→こちら
南山男子→こちら
名古屋中→こちら※中受組の数字は説明会配布資料に記載
南山女子→こちら
愛知淑徳中→こちら
明和高校→こちら
半田高校→こちら
刈谷高校→こちら
豊田西高校→こちら
時習館高校→こちら(※現時点で未更新)
名古屋大学教育学部附属高校→こちら(※単年の実績なし)
東大・京大の合格数実績
東大・京大の合格数実績は以下のようになりました。
引用元:サンデー毎日増刊 大学入試全記録 2023年度版、各校説明会の配布資料、各校HPで公表されている数字より作成
一貫校の中では東海と明和が頭一つ抜けている感じ。
その次に滝、刈谷、南山女子、時習館と続いていきます。
やはり私立の偏差値50前後の学校(南山男子・名古屋・愛知淑徳)と公立校の差はあるように感じますね。
名古屋大学の合格数実績
名古屋大学の合格数実績は以下のようになりました。
引用元:サンデー毎日増刊 大学入試全記録 2023年度版、各校説明会の配布資料、各校HPで公表されている数字より作成
こちらは東大・京大よりも公立校の優位性がより際立つ結果になっています。
滝・南山女子はトップの公立校と比較するとほぼ遜色ない結果を出していますが、やはり偏差値50前後の学校(南山男子・名古屋・愛知淑徳)は公立との差が大きいです。
早慶上理の合格数実績
関東私大のトップ校である早慶上理の合格数実績は以下のようになりました。
引用元:サンデー毎日増刊 大学入試全記録 2023年度版、各校説明会の配布資料、各校HPで公表されている数字より作成
早慶上理は完全に私立一貫校が優位です。
もちろん、単純な学力だけじゃあなくて、指定校推薦や地元志向の強さの差がこの結果に結びついている部分もあるかと思います。
とはいえ、統計的な話で言えば、やはり”関東のトップ私立大を目指すなら私立中高一貫校が優位”という傾向はありそうですね。
全部載せると長くなってしまうので割愛していますが、これ以外にも旧帝大+一工・名市大・MARCH・関関同立などの比較もしています。
ご興味があれば以下の記事をどうぞ。

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以上、今回は
2023年末までに発表された明和中(公立中高一貫校)の情報まとめ
をご紹介しました。
かなり長くなってしまいましたが、これまでの情報の殆どを詰め込みました。
実はこれ以後、公立中高一貫校に関する大きな情報公開はしばらく無い予定ですが、もうちょっと情報がほしいと思うのは私だけでしょうか…
皆様の参考になれば幸いです。














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