今回から街分析シリーズで
「名古屋の交通安全分析」
を何回かに分けてご紹介したいと思います。
前回シリーズは”事件”、つまり「治安」についての分析でしたが、今回は”事故”ということで。
- 名古屋の交通事故は他の都市に比べて多いのか?
- 名古屋のどこで交通事故が多く発生しているのか?
というのを見ていきたいと思います。
なお、愛知県は交通事故の死亡者数が多い、という話はよく聞きますが、今回の分析は政令指定都市&東京23区の比較をしています。愛知県で真に運転が荒いのは郊外の都市、と言われますがどうなんでしょうか…
使用するデータ
交通事故のデータ
使用するデータは警察庁の
「交通事故統計情報のオープンデータ」の2020年~2022年の3年分のデータです。
なぜ3年分を使用するか、というと、死亡事故などは件数が少ないので偏りが出てしまう危険性があるから。
なお、上記のページで公開されているデータは、日本全国で発生している交通事故(年間約3万件)の詳細データが1件ずつ確認入っているのですが、今回は「事故内容」という項目が
- 1(=交通事故発生から24時間以内に死者を出した交通事故)
→死亡事故 - 2(=治療を要する負傷者を出した交通事故)
→負傷事故
として扱います。
道路の長さのデータ
いつも通り、
「単純な交通事故発生件数だけの比較はフェアじゃあないのでは?」
という観点から、都市別比較では道路の長さも考慮に入れます。
幸い、政令指定都市と東京23区は”道路実延長”という道路の長さのデータがあります。
政令指定都市は「道路統計年報2022」を使用し、東京23区は「東京都公道延長面積表」を使用しました。
データのイメージ
実際に今回のデータを使用して交通事故の発生状況をマッピングすると以下のようになりました。
(※3年分の負傷事故・死亡事故をプロットしています)
出典:交通事故統計情報のオープンデータより作成
上記イメージは人対車のみの事故を可視化したものです。
負傷事故に関しては、件数が多いので青色プロットを透過化し、青色が濃いところが事故発生件数が多いエリア、というイメージになっています。
死亡事故に関しては透過化していないので、1つの丸が1件の事故、という感じ。
都心部の事故が多いというのがわかりますが、死亡事故は都心部よりも郊外が多い感じですね。
名古屋の交通事故に関する詳細分析は次回行います。
東京23区・政令指定都市の交通事故数ランキング
今回はここからが本題。
いわゆる「大きな都市」と言われるところの交通事故の発生状況がどうなっているのか比べてみました。
全交通事故件数比較
全交通事故の件数を単純に比較してみました。
ここで言う”全交通事故”というのは、車対車の事故、人対車の事故両方含めた件数、という事です。
死亡事故+負傷事故の比較
まずは死亡事故および負傷事故を両方足し合わせた件数を見てみましょう。
出典:交通事故統計情報のオープンデータより作成
当たり前ですが、発生件数が多いところは人口が多い傾向があります。
ただ、これだけだとフェアじゃないので、道路の長さを考慮して、
「道路100kmあたりの年間事故発生件数」
も出してみました。
出典:交通事故統計情報のオープンデータより作成
道路の長さを考慮すると大阪市がトップに。
名古屋もワースト4位ということで、残念ながら交通事故の発生件数としては多い都市、という事がわかります。
死亡事故のみの比較
冒頭でも触れましたが、
「愛知県は交通事故死亡者が多いから名古屋もそうなんだろう」
というイメージが根強いので、死亡事故数のみの比較もしてみました。
出典:交通事故統計情報のオープンデータより作成
基本的には死亡事故+負傷事故の傾向と似ていますが、横浜市が少し多い傾向です。
単純な件数では、名古屋は大阪・横浜・東京23区よりは少ないですね。
こちらも、フェアな比較とするため、
「道路100kmあたりの年間死亡事故発生件数」
を出してみました。
出典:交通事故統計情報のオープンデータより作成
こちらで注目すべきは
- 関東圏の件数が多い傾向
- 名古屋はそこまで多くない
- やはり大阪は突出している
という3点でしょうか。
さいたま市以外の関東の政令指定都市は総じて下位(件数が多い)に来ており、単純な件数比較とは印象が違います。
なお、23区は”首都高”という魔境があるので多くなっているのかと考えてしまいそうですが、実はそうではないです。
(そのあたりの分析は次項で…)
また、名古屋は真ん中ぐらいに来ており、世間のイメージとは異なり特に死亡事故が多いわけではない、という事が言えるのではないでしょうか。
人対車事故比較
さて、前項の分析は”車対車”の事故も含んでいましたが、“子育て”を考えるのであれば、
「事故に巻き込まれるリスク」
が重要。
そこで、人対車の事故がどうなっているのか、というのも見てみました。
死亡事故+負傷事故の比較(人対車事故)
まずは人対車の事故で、死亡事故および負傷事故を両方足し合わせた件数を見てみましょう。
出典:交通事故統計情報のオープンデータより作成
23区がダントツに多いのは相変わらずですが、横浜市も前項の総事故件数がワースト4位だった事を考えると多いように感じます。
残念ながら名古屋も件数としては多く、ワースト3位です。(大阪市よりも多い…)
こちらも、道路の長さを考慮して、
「道路100kmあたりの年間事故発生件数」
を出してみました。
なお、母数となる道路の長さからは高速道路の長さを除外して計算しています。
出典:交通事故統計情報のオープンデータより作成
車対車を含めた場合は大阪がトップでしたが、人対車のみのランキングだと23区がワースト1位。
名古屋も”少ない”と言えるような順位ではなく、下位に来ています。
死亡事故のみの比較(人対車事故)
次に、人対車の事故における死亡事故も分析してみました。
出典:交通事故統計情報のオープンデータより作成
こちらも、基本的には車対車を含めた分析と傾向は似ています。
23区が突出しているのは他の分析と同様で、どうしても人が多いので増えてしまうのは仕方がないのかもしれません。
名古屋もワースト4位になっています。
こちらも、フェアな比較とするため、
「道路100kmあたりの年間死亡事故発生件数」
を出してみました。
出典:交通事故統計情報のオープンデータより作成
こちらで注目すべきは
- 関東圏の件数が多い傾向
- 23区と大阪が突出している
- 名古屋はそこまで多くない
という3点でしょうか。
人対車ということで、高速道路の事故はほとんどが除外されている事を考えると、23区の件数が多いのは首都高が原因ではなさそう…
“歩いていて事故に巻き込まれるリスク”を考えると23区と大阪市は他の都市よりも良くない、というのがハッキリ出ています。
名古屋は真ん中より少し下という感じで、巷で言われる
「名古屋は交通事故を考えたら最悪のエリアで…」みたいな話は統計上は違っている
という事がわかりました。
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以上、今回は
名古屋の交通安全ってどうなの? Part1 他の都市との比較
というのをご紹介しました。
皆様の参考になれば幸いです。













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