さて、10月29日に行われた明和高等学校附属中学校 児童・保護者説明会の様子が動画で公開されました。
X(Twitter)で散々
「取材拒否された!」
と騒いだ身としては、説明会動画の様子が公開されたとあっては、まとめない訳にはいきません。
という事で、今回はこの説明会動画の内容から
- 説明資料に書かれていないこと
- 今まで出ていなかった新情報
を中心にまとめました。
説明会動画と説明会の資料は以下のページから確認可能です。
ちなみに、動画は音質が微妙で、聞き取れない・聞き取りづらい箇所が多々あったので、間違い等があったらコメント等でご教示いただけますと幸いです。
また、資料に関しては流石に全て引用するわけにはいかないので、皆様でダウンロードして確認しながら見ていただけますと幸いです。
(大事なところでは引用します)
説明会のまとめ
説明会の流れとしては、
- 明和高校校長挨拶
- 中高一貫教育制度の実施形態及び第一次導入校の紹介
- 愛知県における中高一貫教育導入の狙い
- 明和高等学校・附属中学校の概要
- 入学者選抜方法
- 質疑応答・諸連絡
の5つのパートに分かれていました。
それぞれ動画を見ながら説明資料に書かれていない内容・新情報をまとめました。
明和高校校長挨拶
基本的にこのパートでは
- 明和高校の歴史
- 明和高校の紹介(目指す生徒像等の話)
- 付属中の方向性
について簡単な紹介がありました。
まずは、
「明和中では明和高校の学びにつながる教育をする」
というお話が前提として話され、その後で学校の歴史等に入っていった、という流れでした。
明和高校の目指す生徒像はスクールポリシーに記載がある通り、
「地球規模で思考し、実利に留まらない深い教養、先を見通す力、広い視野をもち、困難な課題に対してもひるまず、たくましく立ち向かう人(総合的な知性をもったリーダー)」
としており、ここに繋がるよう、付属中では
「リベラルアーツ、幅広い教養と豊かな感性を軸とする文理融合の探究的な学びに取り組んでいく」
という方向性になったという説明がありました。
余談としてですが、全国普通科高等学校長会における文部科学省担当者の話として、
「日本経済学会連合会が行った「大学卒業者に期待される資質・能力・知識」の調査結果として
学生に期待する資質→主体性
学生に期待する能力→課題設定解決能力
学生に期待する知識→文系理系の枠を超えた知識
というのがあった。これで明和中が実施する予定のリベラルアーツ教育の方向性が間違っていない事を確信した。」
というお話を紹介していました。
中高一貫教育制度の実施形態及び第一次導入校の紹介
このパートと次のパートは教育委員会の担当者から説明がありました。
基本的に資料を読んでいるだけのパートで、説明も短かかったので、内容は割愛します。
(資料を読めばOKです)
愛知県における中高一貫教育導入の狙い
このパートも基本的に資料を読んでいるだけのパートでしたが、唯一、中高一貫教育導入の狙いとして掲げられている
「チェンジメーカー(の育成)とはなにか?」
というイメージを噛み砕いて説明していたのでご紹介します。
出典:明和高等学校附属中学校説明会資料より
噛み砕いた説明を簡単に書くと、
- 今の時代は技術が進歩し、考え方や価値観が大きく変化し、多様化している
- 今は正解がなかったり、人によって正解が違う、正解が変化する課題がある時代
- この流れは今後も加速していく
- このような時代では色々な人と協力して粘り強く考えて、今までの価値観に囚われないような新しい考え方、その時代における一番良い答え、皆が納得できる答えを見つけ出していく必要がある
- チェンジメーカーとは、この見つけ出した答えに対して行動に移せる人
という感じの説明でした。分かったような分からないような…
それ以外は基本的に18ページまでは資料の通り読んでいるだけに近い内容でしたが、注目すべきスライドがあるとすると資料の17ページ。
今回の公立中高一貫校が共通して育てたい人間像は以下の3つである、という説明が入っていました。
出典:明和高等学校附属中学校説明会資料より
これは、後述の2次選抜の面接のやり取りを行う際にベースとなる話なので、頭に入れておいて損はないと思います。
(資料14ページ~16ページにこの3項目の詳細説明も入っています)
明和高等学校・附属中学校の概要
このパートは明和中の教育内容のパートと、施設のパートに分かれていました。
明和高等学校・附属中学校の教育内容
(このパートは資料の20ページから49ページが該当)
まずは
「探究学習って何?」
というところから説明がありました。
(資料の20~22ページが該当します)
説明会では、資料の21ページにある葉っぱの画像のみがまず表示され、
- 画像を見て、どのような疑問が浮かんだか?
- その疑問をどのように解決するか?
- 調べ方、方法は正しいのか、得た情報は正しいのか?
- 時代や文化、科学、歴史と結びつけると、さらにどんな考えが生まれるか?
という問いかけがあり、
「こういった疑問を持つことが探究学習の入り口です」
という導入でした。
急に説明内容が「子どもも参加する説明会である」という事を意識した内容になったので少し戸惑いましたが、「探究学習」というイメージは掴みやすかった気がします。
そして、探究学習では
- 疑問を追求し続けること
- 答えを得るにはどうしたら良いか考えること
- その考えは正しいのか考えること
- 新たにどんな疑問が生まれるか考えること
- 疑問がどんどん広がること
- 何かと結びつけて考えたり、人と話し合うことで新しい考えが生まれること
こういったものが大事であり、明和中ではこういう探究学習を大切にしたい、という説明でした。分かったような分からないような…
資料の23ページでは出席している児童に対して、
「これから何が起こるのか?」
というような資料に書かれている問いかけがあり、
将来起こる課題や疑問に対して、課題解決するためには、
「文理や学科を超えた学び、世の中の成り立ちを分かるように学ぶ事が求められる」
→「だからリベラルアーツ!」
という流れで、中高6年間の教育理念である24ページの内容に繋げられていました。
出典:明和高等学校附属中学校説明会資料より
また、資料26ページでは”中学校で育てたい人間像”が示されており、これも面接を受ける際の前提情報となりそうです。
出典:明和高等学校附属中学校説明会資料より
資料の27ページ以降は基本的に資料の通り説明が進められました。
重要な内容や新しい情報としては、(私の好みも入りますが)
- 教科学習では「対話を重視した授業で、スピーチ力、合意形成を図る力、プレゼンテーション能力を育成する」という方針
- 外国語だけでなく数学でも少人数指導を導入予定
- 高校で実施している、”数学 夏の学校” “大学研究室訪問” “グローバルサイエンス交流会”等の取り組みに中学生も参加できるように検討中
- 高校生との交流を計画しており、「交流によって生徒主体の学校づくり、感性を磨き教養を深め、人間性を高めて欲しい」とのこと
- 高校から入ってきた生徒とのクラス分けや学習の進め方は今後検討する(まだ決まっていない)
- 中学校の部活は高校にある部活を中心に「地域中学の設置状況を踏まえて」検討中
- 来年から高校もブレザーになるので、中学も同じものを採用する予定
というのが説明されていました。
部活は私立の中学受験をする動機になる子どもが一定数居るぐらい重要なものです。
具体的に言うと、「中体連で認めれていない(=公立中でほぼ採用されない)ような硬式テニス等の部活がしたい」というのがありますが、明和は「地域中学の設置状況を踏まえて」という文言が入っているので、そのあたりはちょっと微妙なニュアンスでした。
明和高等学校・附属中学校の施設紹介
(このパートは資料の50ページから58ページが該当)
冒頭で、先日報道された、
「校庭から文化財が出たので予定よりも遅延する」
という説明があり、
- 新校舎は2027年4月供用開始
- 音楽棟は2026年6月供用開始
という新たなスケジュールの紹介がありました。
その他、資料に記載されていない話として、
- 部活は限られたスペースで制約があるなかで実施する
- 工事期間中の体育祭や部活動の一部は外部施設を使うことを検討
- プール等は既設のものを高校生と共用する
- 仮設校舎は冷暖房は完備
- 中学生の給食は基本的にホームルーム(教室)で食べる
という項目が説明されていました。
次に、新校舎の説明がありました。
これは資料に書かれていない内容が多く、以下のように1階~4階まで何が配置されるか細かい説明がありました。
全体としては、
「リベラルアーツ教育である視野を広げ、総合的に探究学習を活性化できるような施設となるように検討中」
とのこと。
【新校舎1階の施設】
- 日当たりの良い南面に中学生用のホームルーム(1学年分)
- 美術室
- 中学校職員室
- 保健室
【新校舎2階の施設】
- 日当たりの良い南面には中学生用のホームルーム(2学年分)
- 少人数教育用教室
- アクティブラーニングルーム
- 視聴覚室(高校生と共用)
【新校舎3階の施設】
- 高校生用ホームルーム
- 化学実験室(高校生用)
- 生物実験室(高校生用)
- 理科室(中学生用)
- 理科系の教員の職員室
【新校舎4階の施設】
- 高校生用ホームルーム
- 社会科室(高校生)
- 図書室(蔵書4.2万冊)
- 進路指導室(高校生用)
なお、2階と3階と廊下等の共用部分にも書架を配置する予定だそうです。
また、エレベーターを設置してバリアフリーに配慮しているそうです。
入学者選抜方法
このパートは資料以上の説明はほとんど無かったのですが、「資料通り」でも面白くないので、ページ毎にざっくりまとめます。
募集人員・ 出願資格・ 通学区域(資料61ページ)
簡単にまとめると、
- 各校80人を募集
- 80人は男子40人、女子40人というわけではない
- 愛知県立附属中学校は1校のみ志願可能(例えば、明和中半田中の両方を志願するのはNG)
- 通学区域は高校の通学区域に準ずる
という感じ。
男女のバランスは1:1ではない、というのは明言されていましたね。
入学者選抜のイメージ(資料62ページ)
ここは、簡単に言えば、適性検査でも人数を絞るよ、という説明です。
ここでは少し補足があり、
- 適性検査である程度人数を絞る2段階選抜は全国的に珍しい(埼玉県や広島県ぐらいだそう)
- 2段階選抜にしたのは、2次選抜の面接で時間をかけて資質をしっかりと見たいから
- 最終合格者は1次検査の結果も含めて総合的に判断する
という話がありました。
最後ポイントは、
「1次選抜を突破したらあとは面接のみで合否が決まるわけではない」
という事を意味するという事。
じっくり見る、と言っても面接は15分ですし、やはり適性検査の重要性は高そうです。
1次選抜:適性検査について(資料63ページ)
簡単に書くと、
- 2025年1月11日実施予定
(これは国立・私立中入試がスタートする日とのこと) - 適性検査は45分x2時限で実施
- 小学校で学習した範囲内(英語はなし)
- 複数の教科を組み合わせた複合問題が出る
- 知識・技能を単純に問うのではなく、思考力・判断力・表現力を測る形式
- 他県のように、短い時間で相手に理解してもらう「記述力の高さ」を問う事はしない
→作文や記述問題を排除した全問選択式を採用 - この方式で思考力や判断力・表現力をより純粋に測る事ができると考える
- 全国でも全問選択式は珍しい
- マークシートとするかは検討中
- 2023年12月にサンプル問題を公表予定
- サンプル問題は、選択式でどのように聞いてくるか分かるようにいくつか例を示す予定
という感じ。
愛知県の公立中高一貫校の狙いから考えて、全問選択式にして「記述力の高さ」を問う事はしないというのは分かりますが、「この方式で思考力や判断力・表現力をより純粋に測る事ができる」というのはちょっと理解できませんでした。表現力って選択式問題で測れるのか…?
2次選抜:面接について(資料64ページ)
こちらも簡単にまとめると、
- 2025年1月18日(土曜日)に実施
- 事前提出した志願理由書の内容を踏まえて出題
- 体験をベースにした「振り返り型」面接
- 志願理由書に書いた体験をベースに色々な観点から話を聞く
- 内容によっては、より突っ込んで質問することもある
- 集団面接ではなく個人面接
- 1人15分程度使った長めの面接を予定
という感じでしょうか。
まだ内容は公表されていませんが、この内容だと事前提出する志願理由書が非常に大事になりそう。
説明会では面接で重視する事として、以下の点を重視すると話がありました。
- チェンジメーカーや探究学習にとって重要な資質があるか
- 受験校の方針やカリキュラムを理解しているか
- 6年間探究的な学びを続けられる意欲があるか
- 志望動機
「受験校の方針やカリキュラムを理解しているか」については今回の資料も含め、学校からの情報発信を漏らさずカバーすることが大事になりそうですね。
なお、「チェンジメーカーと探究学習に大事な資質」については例が示されており、
- 色々と興味を持ってとことん突き詰めていく探究心
- 自分のことだけを考えるのではなく、相手の事も考え、理解し受け入れるような共感力や寛容性
- 粘り強さ
の3つが挙げられてしました。
ちなみに、調査書関連もこのパートで触れられており、
「調査書は不要で、通知表を「面接」の参考にする」
と言っていました。
通知表を「面接」の参考にするというのはこれまで言われていなかったので、重要な情報です。
(言い間違いかもしれませんが…)
余談ですが、ここでも微妙な話があり、
「学校での様子を知るため、調査書ではなく通知表にした」
という説明があったのですが、これはちょっと苦しい話ですよねぇ…(公立中高一貫校の検討会では「調査書」は学校の教員に負担がかかるからイヤ、という反発があり、通知表になったという経緯があります)
出願~入学手続きまでの流れ(資料65ページ)
ここはスケジュールの話なので、資料を見たほうが早いです。
トピックとしては、
- 合格発表後2日程度で入学手続き(入学確約書の提出)をしなくてはいけない
- 1月末までは繰り上げ合格があり得る
というあたりでしょうか。
質疑応答
質疑応答のパートでは、まずは併願についての補足説明がありました。
まとめると
- 愛知県の公立中高一貫校では国立・私立との併願は基本的に認めている
- ただし、入学手続き(入学確約書の提出)をした後の辞退は認めない
- 2025年の国立・私立の日程が発表になっていないので物理的に併願できない可能性はある
という感じ。
このあたりは、先日想定スケジュールをまとめた記事を書いていますので、以下の記事をご確認ください。

続いて、説明のあった質疑応答をご紹介します。
今回は事前にあった質問に対する回答を紹介する、という形式でした。
なお、今後受け取る質問も含め、その他の質問もHPにて随時更新予定だそうです。
Q:探究学習重視型だが、教科の学習には力を入れないのか?
A:教科の学習も探究的に取り組めるようにする。探究的な学習には基礎学力が必要。教科の学習にも力を入れる
Q:高校の内容を先取り学習することはあるか?
A:大学進学のための先取りはしないが、探究学習に必要な高度な内容は学習することがある
Q:来年度の説明会はいつ、どこで実施するか
A:1月末の予定。場所等の詳細が決まり次第HPでお知らせする。
これで説明会動画はは終了でした。
まとめ
そこまで新しい情報は無かったかな…というのが正直なところ。
ただ、「チェンジメーカー」や「探究学習」の具体的なイメージの話はこれまで出ていない内容だったので、1期生として入試を受けるのであれば重要な話も含まれていたのも事実。
主に2次選抜の面接準備を行う上では、前提となる考え方が多く説明された説明会だったと思います。
12月にはサンプル問題も公表され、試験内容も明らかになっていくと思うので、引き続き新たな情報があればご紹介します。
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以上、今回は
明和高等学校附属中学校 児童・保護者説明会の内容まとめ
についてご紹介しました。
皆様の参考になれば幸いです。
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