昨日、2025年4月に開校予定の愛知県公立中高一貫校について、以下の内容が新たに発表になりましたので速報としてお伝えします。
- 中学校の名称
- 各学校が目指す教育
- 入学試験の概要(定員、日程等)
なお、今回の情報は以下のページの内容をまとめたものです。
情報更新等があるかもしれないので、最新情報は上記ページをご確認ください。
また、第二次導入校や通学可能区域など、これまでまとめてきた公立中高一貫校に関する記事はこちらにまとめたのでご興味があればどうぞ。
各中学校の名称
公立中高一貫校の検討会で色々なパターンの名称が案として出ていましたが、最終的には以下の名前で確定したようです。
- 愛知県立明和高等学校附属中学校
- 愛知県立半田高等学校附属中学校
- 愛知県立刈谷高等学校附属中学校
- 愛知県立津島高等学校附属中学校
なお、”一貫校”として中学と高校を一体で表す場合は、
「愛知県立明和高等学校・附属中学校」
というように「・」(なかぐろ)が入るそうです。ややこしいな…
各学校が目指す教育
今回の4校は同じ公立中高一貫校でも目指す教育が明確に異なっているようです。
探究学習重視型3校における、各校が目指す教育やその内容をざっくりとまとめると以下のようなものになっていました。
引用元:【知事会見】県立中高一貫校(第一次導入校)の概要について 別紙1より作成
今回の資料からは意外と各校の考え方に差があるように見えました。
以下に、ざっくりと各校の内容を書きます。
愛知県立明和高等学校・附属中学校
6年間の教育理念としては
幅広い教養と豊かな感性を備え、多様な他者と協働し、新たな価値や目的を創造できる人材を育成
となっています。
明和中は“リベラルアーツ”がキーワードになっているようで、様々な科目を広く学ぶ、という文理融合的な理念が根底にある様子。
これは、”標準よりも授業時間を増やしている科目”に美術や音楽が含まれていることからも読み取る事ができます。
その他には、
- 「対話」を重視した授業を全教科で実施
- 教科間のつながりを意識した授業を実施
- 総合的な学習の時間に、音楽コースや高校の生徒との交流を実施
- 中高合同での文化祭
というのが個人的に目を引きました。
特に文化祭で高校生と一緒に企画を考えたり運営を行ったりするのは、中高一貫校の醍醐味でもあるので嬉しい内容だと思います。
なお、ここで言うリベラルアーツとは
「特定の分野のみを学ぶのではなく、文理の区別なく幅広い分野を学び、定まった答えのない課題を解決していくために必要となる、多様性への理解を含む広い視野と幅広い教養を身に付けることを重視する教育。」
だそう。
つまり、イメージ的には高校入試(の内申点獲得)に必要な
実技を含めた全教科まんべんなくオールマイティにできる子
を育成するような方向性に見えます。
なお、高校の方向性も似たようなものが維持されており、
「スーパーサイエンス×リベラルアーツを軸とする文理融合の探究的な学び」
が挙げられています。
言いたいことは分かるのですが、そもそもSSH(スーパーサイエンスハイスクール)は”科学技術や理科・数学教育を重点的に行う高校”が指定されるもの。
これと、リベラルアーツという考え方をどう組み合わせるのかいまいち想像がつかないのは私だけでしょうか。科学技術や理科・数学教育を重点的に行うのか、まんべんなく幅広い分野を学ぶのかどっちなのか…?
詳細は補足資料の以下のスライドをご確認ください。
引用元:【知事会見】県立中高一貫校(第一次導入校)の概要について 別紙1より抜粋
愛知県立半田高等学校・附属中学校
6年間の教育理念としては
高い専門性と多角的な視点を持ち、挑戦し続けることにより新たな社会を創出する人材を育成
となっています。
半田中は“課題探求”がキーワードになっているようで、課題を見つけ、それを解決し成果を発表する力を養う事が目標であるように見えます。
標準よりも多く授業時間を確保しているのは、”総合”の他に1年生・2年生は理科と数学が上乗せされていることから、明和の「実技を含めた全教科まんべんなく」という方針とは違うようです。
その他には、
- 高校のSSH事業と連携した外部人材の活用
- 課題を設定する力やデータ分析の手法、メディアリテラシー等を習得
- 海外提携校との交流、海外現地研修、アウトプットを重視した英語学習
というのが個人的に目を引きました。
学校の教員の方々は”教員しかやってこなかった”という方が大半なので、「外部の人材から学べる機会」はほとんど無かったりします。
そういう意味では、実際に(学校以外の)社会を経験した人から学ぶことができるのは良い事ではないでしょうか。
また、データ分析、メディアリテラシーは昨今重要視されているところですし、英語学習も受験英語とは異なった方向性である”アウトプット”を意識しているのは良い方向性だと思います。
なお、高校では
- アントレプレナーシップ(起業家精神)育成
- トップサイエンティスト育成
- グローバルリーダー育成
が軸として示されています。
SSH指定校らしく、”トップサイエンティスト育成”が入っており、どちらかと言うと理系重視のイメージがありますね。
詳細は補足資料の以下のスライドをご確認ください。
引用元:【知事会見】県立中高一貫校(第一次導入校)の概要について 別紙1より抜粋
愛知県立刈谷高等学校・附属中学校
6年間の教育理念としては
「私たちの実現したい未来」に向けて、高い志と責任感をもち、世界を視野に入れて活躍し、時代を創ることのできる人材を育成
となっています。
刈谷中は特に強調されているキーワードはないですが、資料を見た限りだと、理数分野の基礎力をベースに文理融合型の探求活動を養う、という方向性だと感じました。
目を引いた項目は、
- リサーチ力、プレゼンテーション力、コミュニケーション力等を育成
- 中高合同の行事の実施
- SSH事業や国際交流事業など中学生が高校の企画に参加
の3項目。
リサーチ力、プレゼンテーション力、コミュニケーション力は社会に出たら必須の能力ですが、これまでの学校教育ではあまり触れられてこなかったので、ここを意識した教育が受けられるのは嬉しいところ。
また、繰り返しになりますが、中学生時代から高校生と合同行事があり参加できる、というのは中高一貫校の醍醐味なので、明言されているのは良ポイント。
高校では
自然科学と人文・社会科学の双方のアプローチから課題解決する文理融合型探究活動
が軸として示されています。
詳細は補足資料の以下のスライドをご確認ください。
引用元:【知事会見】県立中高一貫校(第一次導入校)の概要について 別紙1より抜粋
入学試験日程
かなり先の話にはなりますが、今回は入学試験の日程も発表になっています。
国立・私立中の入試日程との関係性も合わせてまとめてみました。
2025年愛知県公立中高一貫校入学試験日程
入試は
- 1次選抜
→全問選択式のペーパーテスト - 2次選抜
→リフレクション型の面接試験
の2段階で行われます。
日程はそれぞれ以下の通り。
【1次選抜】
試験日 :2025年1月11日(土曜日)
合格発表:2025年1月15日 または 16日
【2次選抜】
試験日 :2025年1月18日(土曜日)
合格発表:2025年1月23日 または 24日
合格者数
各選抜の合格者数は
1次選抜:160人程度
2次選抜:80人
となっており、1次選抜で定員の2倍の人数まで絞り、2次選抜の面接で定員の80人を合格とするようです。
国立・私立との併願について
今回発表になった試験日程から、中学受験が必要な3種の学校(公立中高一貫校・国立中・私立中高一貫校)の併願について少し考えてみました。
併願のパターン
先日行われた説明会によると、
「合格後の入学手続きをするまでは辞退可能」
という内容でした。
つまり、これは日程がかぶらなければ、国立および私立の学校と併願可能であることを意味します。
ただし、名大附中の入試は過去の日程から考えると公立中高一貫校と日程が被る可能性が高いです。
私立中高一貫校の試験日程との関わり
さて、では
「公立中高一貫校と私立中高一貫校を併願する」
というパターンの場合、現在の私立中日程のどこに入るか、というのを考えてみたいと思います。
2025年1月の最初の土日は4日と5日ですが、この日程で入試が行われるとは考えづらいので、恐らく1月11日が2025年の入試スタートだと思います。
(大成・星城・市邨・高蔵・名古屋女子あたりがこの日程)
この前提で、各校が現在のスケジュールのまま動かさなかったと仮定すると、以下の場所に公立中高一貫校入試が入る事になります。
【男子】
男子の場合は以下の想定になりました。
男子の場合は
県外の早期受験校と被る
という状況になる可能性が高く、そこまで大きな影響はなさそうです。
【女子】
女子の場合は以下の想定になりました。
女子の場合、
県外の早期受験校と名古屋女子大学中の試験が被る
という状況になりそう。
名女は近年受験者数が増えており、人気が上昇しています。
公立中高一貫校との併願を考える場合は名女の受験は諦めなくてはならない状況になるかもしれません。
ただし、近年は入試日程が変更になることが多いです。
例えば、2021年入試では金城の試験結果が発表になる前に愛知淑徳&椙山の入試日が来てしまうという変更や、名電・金城・愛知の入試が1週後ろ倒しになったりしています。
愛知淑徳&椙山の入試日は2022年から1週後ろ倒しになり、金城の試験結果が発表になる前に愛知淑徳&椙山の入試日が来てしまう状況は解消されましたが、名電・金城・愛知の入試日程は2021年に変更された1月下旬のまま変わっていません。
以下の画像は上記変更前の”2020年版の入試日程”に公立中高一貫校の入試日程を入れたものです。
(※2020年は日付と曜日が2025年と合致しています)
上図の通り、名電・愛知・金城が公立中高一貫校の2次選抜に被る、という事になるので、併願する場合は悩ましい状況になりそうです。
個人的には、2020年版の日程になるとは考えていませんが、
“2020年版の日程になる可能性=名電・金城・愛知の入試日程が公立中高一貫校の2次選抜と被る可能性はゼロじゃあない”
ぐらいの認識は持っておいた方が良いかもしれません。
(追記)名電中説明会での回答によると…
※11月13日更新
フォロワーの方に情報提供をいただきました。
名電中の説明会で上記の公立中高一貫校との日程被りについて確認したところ
「名電中入試は明和中学と日程は被らない予定」
とコメントをいただけたそうです。
(情報提供ありがとうございます!!!)
まだ公開情報ではないので確実じゃあないですが、これは非常に貴重な情報で、
少なくとも名電中の方針としては明和中学と併願可能にする
という意志を持っている事になります。
この前提であれば、上記考察における“2024年日程ベース”の想定通りになる可能性が高まったと言えそうです。
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以上、今回は
[速報]愛知県公立中高一貫校 2025年入試日程が発表になりました!
についてご紹介しました。
皆様の参考になれば幸いです。
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