2023年7月28日に2025年実施予定の愛知県公立中高一貫校の入試概要が出ましたのでご紹介します。
ちなみに、愛知県の公立中高一貫校に関する検討会は、
「県立高等学校再編将来構想具体化検討委員会」
を親会議とし、公立中高一貫校に特化して具体的な検討を行う部会として
「中高一貫教育具体化検討部会」
というのが設置され、そこで具体的な検討が行われています。
(公的機関の検討会では、親会議→検討部会→PT(プロジェクトチーム)やWG(ワーキンググループ)の階層構造で検討が行われる事が多いですが、正直分かりづらいですよねぇ…)
県のHPには上記検討会の資料等がまとめられたページがあるのですが、
「意思決定の途中経過が公になることにより混乱が生じるおそれがある」
という事を理由に、議事録を含めて詳細は非公表です。
一応、各検討会の後には記者ブリーフィングが行われているようなのですが、一般市民はその内容を知ることができません。
今回の情報については、2023年7月28日に開催された、
“2023年度第2回「県立高等学校再編将来構想具体化検討委員会」”
を受けて、NHKが記者ブリーフィングをベースに報道したものです。
元の記事は以下をご確認ください。
(そのうちリンク切れになると思いますが…)
※8/3追記
さすがに公式の資料も概要版が出ていました。
こちらからどうぞ(PDFファイルです)
第一次導入校(探究学習重視型4校)の入試概要
箇条書きでまとめると以下のようになります。
- 抽選はしない
- 適性検査+面接の2段階選抜
- 適性検査で定員の2-2.5倍に絞る
- 適性検査は小学校の学習範囲から教科横断的な問題を出題
- 適性検査から英語は除外
- 適性検査は全問選択式
- 面接はリフレクション型
- 調査書は通知表の写しで代用
- 試験は12月から2月上旬までの土曜日か日曜日に実施
それぞれ、これまでの経緯を含めて見ていきましょう。
抽選はしない
突然出てきたように思える”抽選”ですが、2023年4月25日に実施された”2023年度第1回「県立高等学校再編将来構想具体化検討委員会」“において、委員の意見として以下の意見が出ていた事もあり、検討されていたようです。
- 受験の過熱化を危惧している
- 思考力・判断力・表現力等を総合的に測るという言葉は、耳障りは良いが、難問を出題している全国の傾向が、受験の過熱化を招いている
- これを避けるために抽選などの大胆な発想で検討してほしい
ただ、抽選は生徒の能力や努力と関係ないところで結果が決まるので、生徒に不公平感を与えたり、ショックを受けたりする危険性があるので、個人的にはこの対応は賛成ですね。
適性検査+面接の2段階選抜
どうやら、流れとしては
適性検査で定員の2~2.5倍まで絞る
↓
適性検査を突破した生徒に対して面接を実施
という事になりそうです。
ただ、調査書(=通知表)による絞り込みがどの段階で行われるかまでは、今回の報道では言及されていません。
小学校の学習範囲から教科横断的な問題を出題
これは予想通りの内容で、教科を区別しない問題が出るということで、名大附等の国立中高一貫校と同様の方向性で問題が作られる事を意味します。
また適性検査でありがちな作文的な問題は後述の”全問選択式”が本当にそうだとすると、存在しない事になります。
これは、各塾のカリキュラムに大きな影響を与えそう…
適性検査から英語は除外
適性検査において英語は試験の内容から除外されるとのことです。
既に公立中高一貫校対策教室を行っている塾でも英語は”ほぼ無視”といった状況でしたが、その想定通りとなりました。
除外する理由の説明は特に報道されていません。
以前、西塾の先生へのインタビューで
「私立中高一貫校で入試に英語がないのは自分の学校のカリキュラムに自信があるから」
つまり
「入試対策で変な癖をつけて欲しくない」
という意向が入っているという話がありましたが、公立のテストで英語を除外する理由は何なのか気になるところです。
また、今回の発表対象外ではありますが、第二次導入校には「探求型+グローバル教育」となっている時習館高校もあるので、このあたりもどうなるか気になりますね。
適性検査は全問選択式
今回の発表で一番驚いたのがコレです。
適性検査は全問選択式だそう。
個人的には非常に違和感がある決定で、以前から説明されていた今回の入試(適性検査)の狙いは
「思考力・判断力・表現力・課題解決力を測る」
となっています。
全問選択式でこのあたりの判断ができるのか結構微妙だと思うのですが…
なお、この内容に関わる検討委員の意見としては、以下のものが出ていたようです。
※5月23日に行われた「2023年度第1回中高一貫教育具体化検討部会」より(第2回検討部会資料内で第1回会議で出た意見として掲載)
- 小学生は、教科横断的な問題に慣れていない
- 国立・私立の受験対策と教科横断的な問題の受験対策の両方が行われ、小学生に負荷がかかるのではないか
- 基礎・基本のレベルにすると、点数に差がつかないのでは
今回の「全問選択式」という決断は、上記意見の1点目と2点目に対応したものであると思われますが。
一方で、3点目の「差がつかない」というところは選択式にすることで、より問題点として出てきてしまう気がするのですがどうなんでしょうね。
まぁ実際のところは、2023年度第1回県立高等学校再編将来構想具体化検討委員会でも、
「採点作業などで、多大な労力を必要としない方法とすることが必要」
と釘を刺されていたので、その影響が大きいかもしれませんね。採点する先生方の負担を軽くしたかっただけかもしれない…
面接はリフレクション型
リフレクション型入試の意味としては、今回の報道では
「受検者にみずからの体験をもとに内面を振り返ってもらう形式」
だそうです。
この面接の目的は、
「探求型の学習に取り組む資質や意欲などを判断する」
だそうです。
なお、今回の発表では「求めている生徒像」も発表されており、以下の3つが示されています。
- 答えのない課題に対して、問いを立て続けることができる生徒
- 多様性を尊重し、互いの良さを生かすことができる生徒
- 積極的にチャレンジし、粘り強く取り組むことができる生徒
この3点自体は、以前から示されていた内容ですが、今回、ベースに面接で何を見るか?というところも以下のように発表されています。
- チェンジ・メーカーの育成や探究学習にとって重要な資質(探究心、共感力、寛容性、粘り強さなど)を見る
- 志願者の体験を基にやり取りしながら資質を見出していく「リフレクション(振り返り)型」により行う
- 導入校の教育方針やカリキュラムを理解し、中高6年間、探究学習をしっかり学び続けようとする意欲や志望動機を見る
このあたりを考慮した回答が瞬時に出るか、というところがポイントになりそうです。
なお、”リフレクション”というと、聖霊のVAP試験が真っ先に思い浮かびます。
聖霊中のHPではこの”リフレクション力試験問題”が公開されており、実際の内容を聞くことができます。
2023年の内容では
「あなたは今までに自分にありがとうと思ったことはなかったですか?振り返ってリフレクションシートに書きましょう」
といった問題が出ており、傾向としては似ているように思います。
こういった方向性の質問が、面接で実施されて選抜される、というイメージでしょうか。
ちなみに、面接に関しても、「2023年度第1回中高一貫教育具体化検討部会」で意見が出ており、
“面接のためのトレーニングがなされるのでは”
と懸念されていました。
聖霊のVAPでも対策塾があったりするので、2回目の入試以降は塾での対策は間違いなく行われると思います。
調査書は通知表の写しで代用
これは、各検討会で毎度
「小学校現場への負担が抑えられる仕組みとすることが必要」
といった事を繰り返し指摘されていたので、それに対応した措置であると考えられます。
試験は12月から2月上旬までの土曜日か日曜日に実施
こちらはまだ日程に幅はありますが、「2023年度第1回中高一貫教育具体化検討部会」の意見で、
“新年度の準備を進めるため、入学者を早く決めてもらいたい。”
という意見が出ていました。
これは完全に個人的な予想ですが、国立との併願回避という意味を込めて、試験は
1月上旬に実施
という事になるんじゃあないかな、と思っています。
※名大附の入試は1月上旬の事が多い
今後について
第一次導入校(探究学習重視型4校)開校までのスケジュールについては以下の予定になっています。
なお、スケジュールは「第1回県立高等学校再編将来構想具体化検討委員会(2023年4月25日開催)」の配布資料をベースに作成しています。
2023年のスケジュール
この内容は少し詳しい情報があり、具体的にどのような内容になるか判明しています。
10月末~11月にかけて開催される保護者説明会の日程も今回発表されており、以下の通りになっています。
この説明会は事前申込制で、詳細は8月末に発表されるとのこと。
競争率がかなり高くなりそうなので、忘れずに情報をチェックしたいところです。
その後、12月のサンプルに問題が公表されます。
この発表は各塾がカリキュラムを組むうえで非常に重要ですし、注目度が高くなりそうです。
2024年以降のスケジュール
2024年以降は細かい情報が与えられておらず、与えられているのは概要のみです。
学校名については、検討会において明和高校を例として以下の3パターンが例示されています。
- Aタイプ:中学・高校パターン
→愛知県立明和中学校・高等学校 - Bタイプ:高校・附属中学パターン
→愛知県立明和高等学校・附属中学校 - Cタイプ:完全別名パターン
→愛知県立明和高等学校/愛知県立明和中学校
個人的にはどの名前でも良いような気がしますが、一部の愉快な方々の働きにより名前だけで小学校の統合が遅延した例もあるので、県としては慎重になりたいのでしょうね…
それ以降の予定は詳細が公表されていませんが、重要な内容は23年の12月までに公表されると思って良さそうです。
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以上、今回は
[速報]2025年 愛知県公立中高一貫校入学試験概要
についてご紹介しました。
個人的には、公立中高一貫校の入学試験のねらいとして、
「受験テクニックや知識量を測るのではなく、知識・技能を活用した思考力・判断力・表現力・課題解決力を測る」
という事を掲げるのであれば、
前例主義的に適性検査を実施するのではなく、年4回程度グループワークでも実施して判断すれば良いのでは?
と思うんですが、やっぱり難しいんでしょうかね。
次回は11月により詳細な情報が出るようです。
その際には、再度まとめを作る予定です。
皆様の参考になれば幸いです。







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